第70話 阿修羅

文字数 5,634文字

「さて…あなたには『この子』がどんな表情に見えるのかしら?」

その美しい御方は漆を塗り固めて出来た像の前に私を連れだして、試すように質問なされた。

ぎゅっと眉根を寄せて前方を見据える少年の顔をした阿修羅は、まるで怒りを内に溜めているように見え…

そのまま伝えるとその御方は、

「あなたの心の中には怒りがあるのね」

と自分でも気付かなかった本心をずばりと言い当てて下さったのだ。


「平城宮の改装工事で奈良にも人が増えました…工事に当たる木工座の職人、道を整備するための人足。それ目当てに物売りが市を開き、旧都もひさかたぶりの賑やかさです」

興福寺の阿修羅像を見上げながら徳一が隣に並ぶ老僧、実忠に語りかけるとふいに、

「お前にはこの阿修羅のお顔が何に見える?」

と我が師で親がわりでもあった老僧に問われ、

「何かに恐れを持っているようにも見えますが」

と率直に答えた。そうか、と実忠は含み笑いを洩らし、

「お前が恐れているのは、最澄が作ろうとしている天台宗の戒壇だろ?」

とずばりと本心を言い当てられた徳一は眉根を寄せて…阿修羅よりも険しい顔になった。

なぜこの時代、最澄がこれ程までに奈良仏教の僧侶たちから憎悪されていたのか?

五十年以上も前に流行った法華経の教えを今更引っ張り出してさも我が論であるかのように高説を垂れるからか。

それとも「全ての衆生は救われる」という最澄の論と、
「全ての衆生が彼岸にたどり着きたいわけではない」という法相の教えは合致せず、

何処にも落とし処の無い無駄な論争に仏教界を引きずり込んだからか。

若輩者のくせに桓武帝に取り入って内供奉十禅師(ないぐぶじゅうぜんし)という過分な役職を与えられたからか。

いや違う、徳一が最澄を恐れているのは…最澄が天台宗独自の戒壇を求めているからだ。

戒壇。

そこに昇るのは僧尼令(そうにりょう)に規定された国家公認の僧侶になる証。

最澄は我が弟子を戒壇に上げて我が手で受戒を授けることを最終目標にしている…

権力を欲しがっている危険な人物。

と奈良仏教の僧たちから見なされていたからである。

「最澄に戒壇を許可したら奈良の仏教はこの先どうなる!?」

と最初に激怒したのは受壇の権限を持つ律宗の僧侶たちであった。

あれは延暦の時代だったからもう15年くらい前になるか。大安寺から逃げ出した若い正僧が比叡山で新しい宗派を立ち上げようとしている…という噂を先輩の僧から聞いた時は、

新しい宗派?そんなのひとりでは無理さ。

と鼻で笑ったものだ。が、最澄の真の目的が戒壇の設立と受戒の権限だと解った時…

僧侶にあるまじき野心ではないか!

と腹を立て、最澄の思うがままにさせては奈良仏教は危ない。

自分より若いくせに帝に取り入って出世するやり方は僧侶ではなく貴族のそれではないか!
と嫌悪さえした。

実際、最初に会った時の最澄の印象は背が高く細身で人と眼を合わせるのが苦手な、気が弱そうな男。

というものだったが、

いざ論戦となるとまるで何者かが取り憑いたかのように饒舌になり、
「では貴方は、人には五種類あって現世でそれぞれの役目を果たすように生まれついている。と仰いますがねえ…それでは救いが無い。というものです!
法相の教えは、民の心に響かないんだ!」

と言ってのけるではないか!

生まれて初めて、徳一の闘争心に火が点いた。

「最澄、お前の言葉は全て詭弁である!」と鋭い舌鋒で徳一は最澄の論に噛みついた。

こうして後の世に

三一権実諍論(さんいつごんのじつのそうろん)、と呼ばれる徳一と最澄の生涯をかけた論争が始まったのである。

何度か論争している内に徳一は、もしかしたら最澄は…

個人的な理由で東大寺を強く憎悪しているのではないか?

と話の内容が華厳の教えに触れた時に人が変わったように激昂する最澄を見て思うようになったのである。

「最澄の戒壇を恐れている、と言われればそうです」

と徳一は実忠の問いに素直に答えた。

「最澄は一見、水のように落ち着いた男です…しかし論戦の時は炎が燃え盛るみたいに怒り…まるで傍に誰もいないかのように自説をまくしたてるのです。
あの炎には不純物が混じっています。最澄を増長させるのは危険です」

実忠は視線を阿修羅の面から徳一の横顔にずらし、青い瞳に優しい笑みをたたえて我が養子に、
「わしは決めたぞ徳一、空海を東大寺に呼ぶ」
と宣言した。

「し、しかし空海は今は帝の寵僧で宮中に…!いくら実忠さまでも」

とうろたえる徳一に、

「なあに、その内呼ばなきゃいけない事態になるさ」
と済ました顔で東大寺権別当は言ってのけたのだ。

「徳一、この阿修羅像は元々は恐ろしい悪鬼の面をしていた。
それを光明皇后さまが『こんな恐ろしい形相をした神を、弱った民が受け入れてくれる筈が無い』と天竺人の仏師にわざわざ作り直させたのだ」

「そのような話初めて聞きました…」

そういえばお若い頃の実忠さまは光明皇后さまの寵僧だった聞いたことがあるが、実忠が光明皇后との思い出を語るのはこれが初めてだった。

この少年のような美しい(おもて)の下に悪鬼が?

と徳一は改めて阿修羅像を見つめたが、阿修羅は相変わらず眉を顰めて何を考えているかわからない表情をしている。

「ちょうどお前の位置にわしが控えていた。50年以上も前のことだ。

今のわしの位置に光明皇后さまが立っておられて、
お前には『この子』がどんな表情に見える?とお聞きになられた。
怒っているように見える、と申し上げたらお前の中には怒りがあるのね?と心中を見透かされたよ…

『この阿修羅は見ている者の心を映し出す鏡なのよ』と皇后さまは仰せになられた。徳一、阿修羅とはなんぞや?」

「は、阿修羅は元々天竺の婆羅門教(ばらもんきょう)では悪鬼、仏教では八部衆に属する守護神で、帝釈天に敗北した悪鬼が改心し眷属になったものと」

「違うよ、阿修羅(アフラ)とは元々拝火教(ゾロアスター教)の最高神で光の神だ。
湖の言葉でアフラ・マズダ-と呼ばれるこの世で最も古い一神教の神なのさ…なあ徳一、

宇宙はたった一つの光から生まれた。

という説を是とするなら、この阿修羅(アフラ)廬舎那仏(るしゃなぶつも)も大日如来も同じようなものと思わんかね?」

そこまで聞いて徳一は、

空海を東大寺に呼ぶ。

と言った実忠の真意を悟り、陽気な声で

「この徳一、修二会(しゅにえ)が楽しみで仕方ありません。久方ぶりに心が晴れました!」と言って本堂から立ち去ろうとしたが急に立ち止まり、

「光明皇后さまは何故、阿修羅像を『この子』とお呼びになっておられたのですか?」

と心に引っ掛かっていた事を口にした。

「光明皇后さまはこの像に幼くして身罷られたわが子、基皇太子(もといこうたいし)の面影を重ねておられたのだ…」

そう答えて阿修羅像を見上げたまま合掌する実忠の背中が、とても寂しげだった。

「そうでございましたか」

と涙で声を潤ませた徳一も阿修羅像に合掌し、深く瞑目した…。


代々伝わる家宝の龍笛を丹念に手入れし、懐にしまうと橘逸勢は、

「では行って参る」

と妻、高階浄子(たかしなのきよこ)とことし3才になった長男の達保(たつやす)に挨拶してから宮中に参内するのが彼の日課だった。

帰京してすぐに逸勢は当時はまだ皇太弟であられた神野親王に請われ、侍講(じこう)扱いで神野の書の家庭教師となり、また雅楽寮(うたまひのつかさ)に仕える楽人たちの指南役という職を与えられて我が身一つで働いて、橘家の家計を支える身となっていた。

人というのは不思議なものだ。留学前は病弱で武術も出来ない役立たず。と他家の子弟から馬鹿にされていた我が身が、唐で学びを終えて帰国してからは…

橘秀才(きつのしゅうさい)どの、橘秀才どの。ともてはやされ、やれ唐の最新流行の書を教えてくださいだの楽を教えてくださいだの請われ、貴人にものを教える立場になっている。

「箔を付ける、とはこういうことなんだな。私度僧あがりのお前も、落ちぶれ貴族の私も今こうして帝に仕える身となっている」

「へえ、遣唐使さまさまで。お互い面の皮もえろう厚くなりましたな」

「では、確かめてやろうか? 」

「こちらこそ」

とむんずと頬をつねり合って笑う逸勢と空海を見て嵯峨帝は、

命を懸けて海を渡り、異国の地で共に学びあった遣唐使の絆というのはかように深いものなのか!

と目の前の二人を羨ましく思った。

「さて、そろそろ」という嵯峨帝の合図で逸勢と空海はは、と前庭に降りて所定の位置についた。

前庭に敷かれた地布(絹製の縁布)には14人の奏者がそれぞれの楽器を手に持って準備している。

最前列に釣鉦鼓、楽太鼓、鞨鼓。二列目には向かって右側に琴、左側に琵琶。
そして三列目には龍笛、篳篥、笙の奏者が3人ずつ。

琴を担当するのは嵯峨帝の異母弟で中務卿佐味親王(なかつかさのかみさみしんのう)。そして空海は琵琶を抱いて(ばち)を構え、逸勢は龍笛、藤原三守は篳篥、良岑安世は笙に唇を当てて音を出し、雅楽寮の楽人たちと共に調律を始める。

ひととおり調律が終わると残暑の陽射し照り付ける前庭は不気味なくらいしん、と静まり返った…

御簾の向こうの嵯峨帝と妃の高津内親王、(きつ)夫人(ぶにん)嘉智子、(とう)夫人緒夏(ぶにんおなつ)多治比夫人高子(たじひぶにんたかこ)と明鏡をはじめとする宮女たちに向かって、

橘逸勢が口上を述べる。

「わたくし、(きつ)の逸勢は唐土で留学生として楽を学びたる頃、手すさびにこの空海阿闍梨に琵琶の手ほどきを致しました。
暑気払いの管弦の宴という晴れの舞台で我が弟子に演奏させていただけるとはまことに光栄のきわみ…」

と一礼する演奏者たちに嵯峨帝がお声を掛ける。

「逸勢」
「は」
「せっかく空海が琵琶を弾く、という面白き趣向の宴なのだから、曲は『あれ』しかないだろう、と朕は思うのだが」

「は…では、これより陪臚(ばいろ)を献上し奉りまする」

と逸勢が家宝の龍笛に唇を当てて鞨鼓と共に二拍子と三拍子からなる唐楽の夜多羅拍子(やたらびょうし)からなる音色で先導し、続いて吹物(ふきもの)(管楽器)の奏者たちの勢いのある音が地上から空中へ駆け上り、弾物(ひきもの)(弦楽器)奏者のかき鳴らす深い音色が心に染み渡る。

「まあ…なんと素晴らしき楽なのでしょう!」と妻たちが喜んでくれているので嵯峨帝は空海の進言でこの管弦の宴を実行して良かった。とは思った。

しかし、この宴の真意は…


「なんて騒がしいんだ!あの楽をやめさせろ!」

と頭から敷物を被って耳を抑える平城上皇と、その御身の上に被さり攻撃的な楽の音から主を庇うのは尚侍藤原薬子。

「よりによってこの時に楽をするとはなんて無粋な…今すぐあの楽を止めよ!」

と薬子が周りの宮女たちに命令するが、
「神聖な楽を止める権限は私たちにはありませぬ故」とわざと外を向いて宮女たちは上皇と薬子を無視した。

薬子は縁側に立って楽を聴き入る中納言、葛野麻呂を縋るように見たが、
「女たちの言う通りだ。今上の帝主催の宴を中止する力は私たちには無い」とすげなく返された。

やめろ、やめてくれ…と歯を食いしばって耐える平城上皇をかき抱きながら、

もう宮中に、私たちの味方は居ない。という事実を目の当たりにし、薬子は慄然とするのだった。

「上皇さまは夜は眠りが浅いゆえ、昼過ぎから夕方まで午睡なさいます」

と平城上皇の寵姫、伊勢継子から聞き出した上皇さまの生活習慣を、この際利用させていただき一刻も早く内裏から出て行ってもらおう。と空海がわざとこの刻限を選んで宴を開き、

楽を以て上皇さまを睡眠障害に陥らせる。という直接手を下さず相手を肉体的精神的に弱らせる策を嵯峨帝に上奏したのは半月前。

それを聞いた嵯峨帝は最初、
「なるほど、午睡を取らなければならない兄上にとって楽は、騒音にしかならない、が、ちと陰湿すぎやしないか?」
と実行に難色を示したが、

「僭越ながら帝、先んずれば即ち人を制し、後るれば即ち人に制する所となる、という故事に倣いましょうや。親政を執りたい、というご意思があるのならまずは勝たなければ」

と空海にしては珍しく強い口調で言われたので、そうであるな。同じ内裏に住まう自分より同等もしくは上に立つ上皇さまを、

もう兄としてではなく、敵として認識して手を打たなければ。

と決意すると嵯峨帝は顔を上げ、「ではこれは、と思う楽人を選んで早速稽古につけよ」と準備をさせて今回の管弦の宴に至ったのである。

実は選ばれた楽人は…
伊予親王の政変で、何の理由もなく解職された伯父の橘安麻呂、兄の橘永嗣の代わりに憤る橘逸勢。

陰謀で実家の藤原南家を貶められた藤原三守。

大好きだった兄、伊予親王を失った安世。

薬子の兄仲成の狼藉に遭い、左目の上に一生消えない傷を負わされた佐味親王。

そして、唐留学に一番出資してくれた恩人、伊予親王を失った空海。

皆、平城上皇と外戚の藤原式家に傷を負わされ、相手への報復の意思を肚に抱えている者たちばかりだった。

陪臚(ばいろ)

この曲は聖武帝の御代に婆羅門僧正として名高い菩提遷那(ぼだいせんな)と林邑(ベトナム)僧の仏哲によって伝えられた…

戦いの出陣の時に演奏される曲なのである。

奏者たちは剣の代わりに笛を持ち、とりすました顔で琵琶を弾く空海は、己が内に秘めたる阿修羅を解放し、攻撃的な音色で内裏におわす「敵」を苦しめ続けた。

因みに陪臚(ばいろ)の曲名の由来は毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)のサンスクリット語での呼び名、

ヴァイローチャナのヴァイロから名付けられたものとされている。

そう、空海が掲げる密教の最高神、大日如来も梵語ではマハーヴァイローチャナと呼ばれ、密教では毘盧遮那仏も大日如来も同じものとされている。

陪臚(ばいろ)。それは
空海自らが奏者となって攻勢に出る曲として最も相応しい曲なのである。

「あの曲は陪臚(ばいろ)ですな」

と右大臣内麻呂と雑談していた征夷大将軍、坂上田村麻呂は顔を上げ、後宮から聞こえる力強い音色に聴き入った。

あれは蝦夷遠征に出立する時であった。

桓武帝が俺たち朝廷軍に向けて雅楽寮総出で陪臚(ばいろ)を演奏し、出陣の舞いで先勝の祈りを俺たちに授けて下さったのだ。

…あの勇ましい響き。なんと懐かしい!

「どうなされたのだね?将軍どの」

「なに、この田村麻呂…老骨ながら武人としての血が騒ぎましてな」

と田村麻呂は目元にふてぶてしい光を宿し、ちらりと白い歯を見せて笑った。

後の世に薬子の変。あるいは平城太政天皇の変と呼ばれる、

壬申の乱以来の皇族同士の戦いの火蓋は、こうして切って落とされたのである。
















































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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