第126話 天長二年の旅立ち

文字数 5,868文字

いいいですか?せーの。

という合図と共に真新しい木の匂いが充満する講堂内の四隅に一斉に明かりが灯され、現れたのは…

壇の上の東西南北で武器を構える四天王。

東北を守る多聞天と持国天の間には四羽の鵞鳥(がちょう)が支える蓮華に乗った梵天と、南西を守る広目天と増長天の間に、像に乗った帝釈天。

壇の中央で蓮華座に結跏趺坐(けっかふざ)し、宝冠を被り、瓔珞(ようらく)(首飾り)、臀釧(ひせん)(足飾り)、腕釧(わんせん)(腕飾り)を身に着け、

左手親指を中に入れて人差し指を立てた拳を作り、立てた人差し指の二節から上を右手で握り込む、智拳印。という「最上の智」を表す印を結んで半眼でこちらを見渡す金剛界大日如来を中心に阿閦如来(あしゅくにょらい)、宝生如来、阿弥陀如来、不空成就如来からなる五智如来。

その左側、

後背に火炎を纏わせ右手で剣を構えて教えに背く民衆を導き内外の諸魔を降伏する憤怒の形相を持った不動明王を中心に金剛夜叉明王、降三世明王、軍薬利明王(ぐんだりみょうおう)、大威徳明王からなる五大明王。

右側、

上半身裸で女性的な曲線美を持ち瓔珞(ようらく)臀釧(ひせん)腕釧(わんせん)の装飾具を付けているものの、宝冠を被っていない修業中の釈迦王子の姿を模した金剛波羅密多菩薩を中心に金剛薩埵菩薩、金剛宝菩薩、金剛法菩薩、金剛業菩薩からなる五大菩薩。

天上界から現世を見守る如来と
現世と仏界の狭間に居て衆生を導く明王。
そして未だ現世で修業中の人間である菩薩の存在を目で見て手で触れられる身の丈十尺近くの二十一体の仏像として空海が顕現させた密教の世界が、

確か、にここに在った。

「これは素晴らしい…」

とまるで曼荼羅から抜け出してここに現れたかのような仏像たちに圧倒されて思わず半歩下がるのは帝の名代として東寺の視察に来た東宮大夫、藤原三守。

「空海阿闍梨よ、よくぞここまでのものを作り上げてくれた」

と三守は眼に涙を浮かべて国家鎮護の僧である空海に最大限の感謝と労りの言葉をかけた。

いえ…と空海は首を振り、

「拙僧一人ではここまで出来ませなんだ。ここに控えている仏師たちの皆さんの助力あってこそなのです」

と傍に控えているこの国最高の仏師、椿井双(つばいのならぶ)をはじめ奈良の各寺社から派遣された二十人足らずの仏師たちにその労りを向けるよう今は真言宗の檀那(だんな)(サンスクリット語でダーナ。支援者の意味で旦那の語源)となっている三守に促した。

それもそうである、と頷いた三守は
「特に外形の意匠を手掛けた仏師よ、実に美しいものを拵えてくれた…そなた、名は?」

は、と双の隣で金髪に烏帽子を被った仏師は顔を上げ、

田辺牟良人(たなべのむらと)と申します」

と名乗った胡人の仏師、ムラートこと牟良人の柔らかな面差しの美貌と晴れた日の空のような青い目に三守は惹きつけられ、

決してこの時代の最新流行である唐風ではなく天竺や胡の様式を取り入れた仏像の装飾を、天平の昔風に戻ったようでありながらそれが却って仏教伝来の頃の輝きを持って新しく感じさせる牟良人の仕事ぶりを、

「成程、西方からの風がここに帰着したわけだ」 

と総じて評価した。

「総仕上げまではまだまだだが、今月からこの講堂でも修法が行われる。仏師たちには休暇と褒美を与えるゆえ皆、ゆるりと休むがよい」

との三守の言葉に仏師たちは今日まで三年間、
ほとんど休まずに羯磨曼荼羅(かつままんだら)(立体曼荼羅)制作に取り組みこれでやっと故郷に帰れる…と安堵して泣き出す者。
 
予想以上の褒美にさすがは我らの檀那(だんな)さまだぜ!と三守に向かって拝む者。

と様々な反応を見せる中で牟良人は、急に長期の休みを貰っても子らはまだ小さくて里帰りという訳にもいかないし、

さて、どうしようか?

と頬を掻いたところで「三守どのが高野山生まれのお前の話を聞きたいと仰せだが、一緒に来るか?」と空海から誘われ、そのまま東寺近くにある三守の別邸で酒肴の膳を馳走になり、聞かれるままに故郷高野山での暮らしや家族の事、

さらに酔った勢いで不動明王の意匠で空海に散々駄目出しを食らい続け、

「お前が肚の底から畏れ、この者には従うしかない。とまで思った相手は誰やっ!?」

と激しい剣幕で迫られた処でやっと兄ファルークこと田辺波瑠玖の姿かたちと怒った形相を絵に著して見せると、

「うむ、それや!お前の心の不動明王であるファルークを形にするんや!」

とやっと許可を得て不動明王作成に取り掛かった事を真夜中まで上機嫌に語った。

翌朝、牟良人が二日酔いの頭の疼きで目覚めた時には既に宿舎の自室でことし三才の長男が遊んで欲しそうに自分を覗き込んでいる。

その後ろで九才年下の妻マリカこと丹生茉莉花媛(にうのまりかひめ)が「もう…明け方に真魚さんに担いでもらって帰ってきたのよ」と呆れつつも酔い覚めの水を椀に注いで持ってきてくれた。

ああ、俺ゆうべ記憶失うまで酔ってたのか。

と恥ずかしくなり「で、真魚さん何て言ってた?」と尋ねると妻は「ムラートは酔うとお喋りやな、でもお祝いだからええか。って」
何を何処まで話したか覚えていない牟良人はやっと起き上がって水を飲み、

「まあいっか」と長男を膝の上に抱き上げた。

お祝い、と空海が言った通り天長二年(825年)春。淳和帝妃正子内親王は十五才の若さながらも無事皇子を出産し、誕生七日目に

恒貞(つねさだ)
と名付けられた。
後の恒貞親王の誕生である。

「正子に似て美しい子だな」

と齢四十の初老と呼ばれる年齢で思いもかけず子を授かった淳和帝はお乳を飲んだばかりで眠たそうにしている恒貞のふくふとした頬を指でそっと撫で、

今上帝である朕と内親王である正子との間に生まれた恒貞は皇族の血統上、我が甥で皇太子の正良より格上。

この子が長じて正良の次の天皇に推されることがないようにしなければ。

と妻子や乳母たちに囲まれて幸せを甘受しながらも後に起こる皇位継承の問題を淳和帝は憂慮し、彼の崩御後それが承和の変という最も酷な形で的中してしまうのである。

この時代、皇位継承は兄弟間で行うのが慣例だったが桓武天皇と弟早良親王が揉めて起こった藤原種継暗殺事件しかり、平城天皇と嵯峨天皇が起こした薬子の変しかり、遡っては天武天皇と兄天智天皇の子大友皇子が起こした壬申の乱しかり、

兄弟間で皇位継承が行われた直後に揉めて政治の混乱に陥った先例は、親子間継承よりも多い。

こうして皇子誕生という慶事で始まった天長二年は春、夏と大過なく過ぎて人々が冬ごもりの準備を始める秋。

平安京右京の西市の一区画で衣料を扱う胡人の一家が居た。

「ちょうどお山での冬ごもりに必要なもの入りましたよ」

と店頭で毛皮を並べる褐色の肌の店主は胡人の拝火教徒、康羂索(こうけんさく)。二年前、唐長安で道士たちによる他宗派弾圧が起こり拝火教である彼も妻子と共に商船に乗ってこの国に逃れた。

都で出会った同じ拝火教徒の牟良人を通して空海に助けを求め、空海が朝廷に直談判したお陰で古来より大陸から来た渡来人に与えられる

(はた)

という姓を朝廷より賜り帰化した商人の男である。

彼が扱う衣類はどれも質が良いと評判でこの時店に来た泰範の前に並べた毛皮も丈夫で毛が密に揃ったものばかりなので「うむ、これを三着いただきましょう」泰範は満足げにうなずいた。

毎度有難いことで、と感じの良い笑みを浮かべて代金を受け取る羂索に、古より砂漠を渡って大陸で商売をする胡人の人当たりの良さと商売上手を目の当たりにした泰範は感心して「うまくやっているようで何よりですね」とねぎらいの言葉をかけた。

そんな滅相もない、と羂索は笑顔のまま泰範の耳元に口を寄せ、

(あなた程の高僧ならば寺に商品を持ってこさせて選ばせ、通常の五、六倍の値で買うのに、わざわざ店頭に来て定価で贖うとはしっかりしたお客だ。

見栄のために金を使わない。

それは世知辛い世間を生きていくための大事な智慧だと思いますよ)

その羂索の言葉に泰範は、少年の時分に親を失い寺に入るまで人に言えない苦労をしてきた自分の過去を見透かされたようで、

さすが、世界一の都長安で色んな人種の客相手に商売してきた男は違うなあ。

と思わずひやりとした…

「そ、それよりご子息の成長ぶりと順応ぶりもめざましいものいだと思いますよ」

と店頭で別の客の接待をしている羂索の息子でことし十六才の奈留背(なるせ)に話の矛先を変えた。

「主にお子が生まれたばかりなので肌触りの良い柔らかい布が要るの」
「それならこの綿がようございますよ、奥様」
「あらやだ、奥様だなんて~」

と買い出しに来たシリンと娘のミナに実に感じ良く接客しているナルセは西方の砂漠から来た胡人の特徴である青みがかった褐色の肌に艶のある黒い瞳の端正な顔立ちをしているので質の良い布、というよりは彼目当てに来る女性客が絶えない。

言い使った布地を購入したシリンは、
「実は冬になる前に天野の里に帰るの。故郷のファルーク兄様からナオジョテ(拝火教の洗礼。十二歳ごろに行う)を受けさせたいから子供たちを連れて帰ってくるように、って文が来て」と羂索に話した。

「ナオジョテ!それはめでたい!」

この国に自分たちよりも歴史の古い拝火教徒が居て彼らは儀式を行うマギの血統であり、さらにナオジョテを行う聖地が高野山にある、と聞かされて以来、羂索は驚くことしきりでいつか機会があったら高野山に行ってそのマギの子孫たちに会ってみたいと思っているのだが。

「…でも、天野の胡人たちも秦一族との結婚がどんどん増えて、私たち三兄妹の子供たちの世代で血が途絶えてしまいそうだから最後のナオジョテになるだろう、って」

遠い昔、回教(イスラム教)による迫害から逃げ、大陸を渡って遥か極東の島であるこの国で厳格に血と教えを守ってきたマギの血統も絶えるのか。と目を落としそうになる。

「案外、そうでもないかもしれませんよ」
と羂索が目線で示してくれた先にはことし十歳のシリンの娘ミナと、羂索の息子ナルセが特に親しげに語らう様子。

「あら、まあ」

いつの間に。とシリンは思った。

「拝火教徒同士だし、ナルセもいい若者だし。この縁組は悪くないし、それどころか大歓迎じゃない?」
と買い物から帰って嬉しそうに夫の騒速に報告すると夫はしばらく考えごとをし、

「それってナルセをうちの婿にって事だろ?羂索どのから跡継ぎを奪っていいものかなあ?それにミナもまだ十才と幼いし、当分先の話だ」と渋い顔をした。

二人が好き合っているかも定かではないし、娘の縁組を進めるのは急すぎる。それに、息子を手離す辛さを羂索どのに味わわせるのは気が引ける。

と暗に言って妻をたしなめる夫の意見に今年の正月、十二才になった次男の志留辺(しるべ)を武官の巨勢清野に弟子入りさせる形で息子を手離したシリンは「そうね、焦っていたし軽率だったわ」と素直に謝った。

「天野の里にはミナも連れて行ってナオジョテを受けさせる。これで二人とも拝火教徒だ。あとは本人同士の気持ち次第、だろ?」

シリンははっと顔を上げ「そうね…そうよね!」と弾んだ声で答えた。そして主の阿保親王の生まれたばかりの御子の産着を縫う作業はこの日一段と捗った。

天長二年秋、空海は弟子真如こと高岳親王を連れて高野山に帰ることを許され、同行する弟子は高岳と彼の教育係兼お目付け役である泰範、秘書役の真済。

そして…

「長く阿闍梨にお仕えしている我が高野山に入らないままなのは納得いかないしお山に入るまでは死ぬに死ねません!」

と駄々をこねて強引に同行することとなった今年五十八才の弟子、杲隣(ごうりん)と、

「玉依の姉君も麓で暮らすことを許されたんだし、我も高野山に骨を埋める覚悟はしたぞ」

と既に籠を背負って旅の準備万端の齢七十を過ぎた空海の叔父、阿刀大足(あとのおおたり)

これに護衛役の賀茂騒速とその家族、さらに奈良での仕事も休みに入った牟良人一家が加わり、老若男女の大所帯の旅立ちとなった。

出発時から自分をちらちら見る空海に「何だ、真魚。我の顔に何か付いておるのか?」
「阿闍梨は我の方も見てはるんですよねえ、大丈夫やて」
と怪訝な顔をする大足と杲隣に向かって、

「つまりは既に御老体のお二人を長旅に連れて何かあったら、と我が師は心配なさってるんです。張り切ると倒れるからゆっくり行きましょうよ」

と空海でも言いにくいことを年若い高岳がずばり、と指摘してくれた。

さすがは親王、言葉に遠慮が無い…と泰範は妙なところで感心した。

相手が親王なので怒る事も出来ず、ご老体二人は言われるとおりに歩を緩めた…

今年正月、十二になった賀茂志留辺(かものしるべ)は巨勢清野の養子になり、彼を烏帽子親として元服を果たした。

武官の出世の道である検非違使の新入りとして武術の鍛錬と雑用に追われる日々を過ごし、

「実の両親と別れてもお前は私の息子のつもりでいるからいつでも帰っておいで」

と父の主である阿保親王邸を訪ねたのは元服で家を出てから実に十ヶ月ぶりのこと。

「まあまあ、志留辺もすっかり立派になって」

と赤子を抱いて迎えて下さったのは阿保親王の正妻、伊都内親王。

「あなたの両親が旅立って以来、我が殿ったら寂しがって泣いてばかりなんですの。是非会って元気付けてあげて下さいね」

父上皇にも先立たれ、弟も空海と共に高野山に旅立ち、最も信頼する従者一家に出ていかれた阿保親王は何もやる気が起こらず、息子行平王の前でもため息を吐いて泣く日々を過ごしていた。

「父上、そんなに泣いてばかりいたら目の玉が溶けますよ」
 
「だって…だって家族のほとんどが一度に居なくなってしまったんだぞ寂しいではないか」

とまだ七才の行平王に背中を撫でて慰めてもらう阿保親王に伊都が「シルベ殿が来ましたわよ」と声を掛けるとシルベか!?と顔を上げた阿保親王は涙に濡れた顔に喜色を浮かべた。

「親王さま、まだ私が居ますからそんなにお泣きにならないで下さい」

懐紙で涙を拭いながらうんうん、とうなずく阿保は急に何かを思いつき、

「あの子を連れておいで」と乳母に言い付けた。

やがて母親の伊都に抱かれ連れてこられた赤子は夏の終わりに生まれた阿保親王の第二皇子。

「名を業平(なりひら)、という。まことに勝手なお願いだがシルベよ、私に何かあったときこの子が辛い思いをしないように仕えてくれないか?」
そう阿保がシルベに懇願した時、母の腕で寝ていた赤子がぱちり、と目を開き目玉だけを動かしてシルベの顔を見た。

シルベの目線と生後ニヶ月の業平王の目線が交差し、二人はしばらく見つめ合う形になった。

やがてひとつ頷いたシルベは人差し指で業平王の手を取り、

「業平さまを主としてお仕えいたします」

と宣言し、業平は小さな手でシルベの指をきゅむ、と握った。

業平王こと後の在原業平と賀茂志留辺。

今後の人生のほとんどを共に過ごす二人の小さな主従関係は、この時こうして結ばれたのである。










































































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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