第24話 佐伯家の人びと•玉依

文字数 3,803文字

「言っとくけど、あんたみたいな汚い乞食坊主にやる食いもんなんてねえよ」

とにべもなく農夫は言い放った。

「ですがいまもいでらっしゃるものは?」

ああん?と言いながら農夫はすくい上げるようにもいで「これは梨だが、あんたが食えるようような代物じゃねえ」

「では、食えない梨なのですか」と煤けた法衣を纏った青年は微笑みながら問うた。

「酸っぱい梨だからあんたにはやらねえよ。それより子連れで物乞いなんかしてねえで働け!」

と農夫は托鉢の二人の目の前でがりっと梨を一口かじって、おお、酸っぱい酸っぱい!と大仰に吐き出して見せた。

「行きましょう叔父上、なんて因業なじいさんなんでしょう!」

と農夫の吝嗇さにさすがに呆れた知泉は、とっとと目的地の寺に行こう、とばかりに叔父の袖を引いた。

ま、いても仕方がないな。とつぶやいて歩き出す青年は佐伯真魚。

自らの法名を「空海」と改めて間もない私度僧である。

さっきからにやにや笑っているので智泉から怪訝な顔をされ、

「ああ、酸っぱい梨でも大事に育ててそれを買うてくれる者がいるんか。と思うと可笑しくてな」

とふふ…と声を立てて笑った。ああ、叔父上はどんな状況でもお気楽なんだな。と感心してしまう。


時は延暦19年(800年)の、夏の終わりの頃。室戸岬での荒行を終えた空海は

「こんな痩せこけた恐ろしいなりで実家に帰る訳にはいかん」

とまず剃刀で髭を剃って髪を短く刈ってから室戸岬を出発し、体に肉を付けるまでという理由で土佐、伊予、阿波、を巡って寺の軒先を借り、火を焚いて野宿したり、時には農家からの歓待を受けたりと、のんびりと托鉢の旅を続けているように見えた。

が、この賢い僧侶見習いの少年は、叔父が実家のある讃岐を後回し後回しにしていることにとっくに気付いていた。

体つきなんて、たった一か月で元に戻っていらっしゃるじゃないか!

「つまり叔父上は、佐伯の実家に帰りづらいんですね?」

と智泉が胸に仕舞っていた言葉を叔父の背中にぶつけると、空海の両肩の筋肉があからさまにぴくっ、と上下した。空海はまず立ち止まって空を見て、次に地面を見てそれから甥っ子の方を振り返り、

「さ、さあ、鑑真和上ゆかりのお寺までもうすぐやで!」

と足早に歩きだす。

「もう、おじうえー!」半年も叔父空海の修行の旅に付き合っている内に智泉も、叔父を追いかけるほど俊足になっていた。


「長旅で喉がお乾きでしょう」と屋島寺(香川県高松市)の住職が出してくれた梨は、明らかに途中で断られた農家のものであった。

空海と智泉は一瞬複雑な表情を浮かべてから「有難くいただきます」と合掌し両手で梨を掴んで皮ごとかぶりついた。

甘い果汁と柔らかい果肉が喉から体中に染みわたりたちまち体中の疲れが癒えていく。

「残念ながら当寺ではあなた方を泊めたりはしませんよ」

出された梨を全部平らげて人心地ついている空海と智泉に、住職は穏やかな笑顔のまま冷水のような言葉を浴びせた。

「あなたが子連れで近辺をうろうろしているのは、もう辺りに知れ渡っています。佐伯氏の倅、今日中にご実家に帰る事ですな」

仕方あらへんな…空海は観念してお堂の天井を仰いだ。


讃岐国多度郡の郡司の妻、玉依(たまより)は宵の明星が空に瞬くころ、外に出て15で家を出た息子の無事を祈るのが毎日の習慣になっていた。

真魚が大学寮に合格した時には「貴族のご子弟がたが通う学び舎に豪族の子が入って、いじめられはしないかしら?」

と心配し、一年足らずで大学寮を飛び出した。と聞かされた時は「真魚に何があったの!?」と卒倒して三日間寝込み、

どうやら真魚は出家したいようだ。と弟の大足から息子の手による出家宣言の手紙が届いた時には、

内容よりも見覚えのある我が子の筆跡を確認すると、ああ、この美しい字を見るのは幾年ぶりかしら…と涙を流した。

山々で修行をしていると聞いたけれど、賊に襲われてはいないかしら?

家を出てからもう10年以上になるが、玉依の中の真魚は旅立った頃の気弱で泣き虫な少年のまま。

私の心の中の、心配の泉が涸れることはないのだ…と玉依は毎日祈る事しか出来ない我が身を不甲斐なく思い続けた。


何故か今朝は夜明け前に目が覚めて、外に出るとまず目に飛び込んだのは明けの明星。

それからずっと妙な胸騒ぎがして、一日に何度も戸口から外に出ては「奥様どうされたんですか!?」と変な顔をされた。

気が済むまで宵の明星に向かって辺りが暗くなる頃ふと顔を上げると、

僧衣姿の青年が、逡巡した様子で門の脇からこちらを覗き見ている。

おもわず玉依は二、三歩進んで

「…真魚なの?」と呼びかけた。

青年はまるで叱られでもしたように首をすくめ、上目づかいにこちらを見た。

面代わりしてずいぶん精悍な顔つきになりましたね。

衣を二重巻いたみたいに筋肉がついてが逞しくなりましたね。

けれど、母には分かりますよ。

だって自信が無い時のあなたの背中の丸めかた、子供の時から全然変わっていないんですもの。

玉依は「いいからお入りなさい」と首を垂れる息子の背中に手を回して抱き寄せた。

「ご無沙汰…しております…」

と地面に頽れて母にしがみつく空海の、ぐずぐずに泣きじゃくる姿を見て智泉は

ああ、「真魚は小さい頃泣き虫だったのよ」という母の話は本当だったんだな。

といつもは超然としている叔父の人間臭い部分を見て、何か、安心したのであった。


なんで、こうなったんやろ?

と空海は実家の大広間の宴席に座らされながら困惑していた。

いつの間にか自分は直垂(ひただれ)括袴(くくりばかま)という普段着に着替えさせられている。

家に入るなり「このかぎ裂きだらけの法衣は、母が洗って手直しします」と母と使用人たちに手際よく衣服をはぎ取られ、行水で体を洗って久しぶりに清潔な衣を肌に付けると、

帰って来たんやなあ。という想いがじわじわと肚の底からせりあげ、ぼうっと感慨に浸っていたかったのだが、

決してそうはさせぬ者が「真魚ー!」という叫び声と共に妻子を連れて戸口から乱入して来た。

空海の十歳年長の兄、鈴伎麻呂(すずきまろ)が肩で息をしながらいきなり空海の髪と顎を掴んで目鼻立ちと顎の中央にあるほくろで弟に間違いない、と見分すると

「十年以上も便りを寄越さんとは何事か!?この忠孝を忘れた大馬鹿者がっ」

とぱあん!と音が鳴る程弟の頬を思いっ切りひっぱたき、すぐに涙鼻水を流しながらに抱き締めて激しく嗚咽した。

あらあら、情に厚いのは佐伯家の血ね、と玉依は膳の支度をしながら兄弟の再会を微笑ましく見ていた。


真魚が帰って来たから宴だ!

という父、善通(よしみち)の号令のもと、兄弟親戚たちが集まって急ごしらえの宴が始まってしまっている。

「何だ、酒も肉も魚も本当に食わんのか?つまらん」

と讃岐佐伯氏の長で空海の父、佐伯善通(さえきのよしみち)はにごり酒を満たした杯を息子にやんわり押し返されたので日焼けした顔に渋面を浮かべた。

あなた、と玉依が夫の袖を引いて窘める。

「真魚はお坊さんになるのですから当たり前ですよ」

「しかし、寺に入ってないんだろ?おまえいい年なんだからちゃんと何処かの寺に所属して父を安心させてくれ」

「へえ…でも奈良の寺には」

入りたくあらへん、と言いかけて空海は父から目線を反らしたが、善通は追及を止めようとはしない。

「入りたくない、ってそんな我儘言える年齢か?お前の兄の酒麻呂(さかまろ)魚主(おうぬし)は都で役人になって務めを果たしているというのに…
寺が嫌ならやっぱり大学寮に戻るか?」

「あなた」

「だいたい玉依、お前が貴物(とうともの)といってこいつを甘やかすからこのようなふらふらした子に…」


「まあ!あなただってお仕事で留守で、子らの世話は私がしてきましたのに」

あかん、両親の会話がなんだか不穏になってきた。が、

話の矛先が自分から反れた隙に空海はすばやく両親の傍から逃げ出し、瓶子(へいし)(徳利)を持って長兄の鈴伎麻呂に酌をしてから、大人たちの宴会に飽きてはしゃぎ回る子供たちを見て

「私が居ない間に、一族も増えましたねえ…」としみじみと言った。智泉も久しぶりに従姉弟たちと遊んで子供らしい笑い声を上げている。

「皆、お前の甥や姪だ。子が増えたのは佐伯の家が豊かになった証だ」

と新鮮な海の幸を肴にすっかり酔いが回った鈴伎麻呂は、満足そうに大きくうなずくと、

(…そうだ、また兄弟が増えるぞ)と急に声をひそめて弟の耳元に囁いた。

「母上、此度はご懐妊おめでとう御座います!」

兄の言葉を受けて嬉しさのあまり空海は祝いの言葉を述べたつもりなのだが、母の顔からはすっと表情が消え、盛り上がっていた場が急速に静まり返った。

「言っておきますが、私が産むんじゃないのよ真魚」

と玉依は慈母の微笑みを浮かべて立ち上がり「酔ったので夜風に当たります」と宴の場から出て行ってしまった。

「おまえ女人の事に関してはほんとうに無知なんだな…50過ぎた母上になんて事を」と鈴伎麻呂は呆れ果て、どん!と弟の胸板を小突いた。

(実は、父上が水夫(かこ)の娘に手を付けて出来た子なんだ…年明けには生まれるそうなんだが、母上は佐伯の子として引き取って育てると仰るのだよ)

(母上は相変わらずお優しいですねえ)

揃った両親に挨拶した時感じた違和感というか、醒めた空気の正体はそれか。

わし、要らん事言うてしもうた…。

と再び盛り上がる宴の中、空海は口を押さえて一人うなだれた。

翌年生まれた男の赤ん坊は、九年後に空海の手で出家させられ後年、清和天皇の護持僧になった。

法光大師真雅(ほうこうたいししんが)は空海の実の弟なのである。
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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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