第6話 長岡京、崩壊

文字数 5,209文字

何故、朕のやる事なす事すべてが裏目に出るのだろうか?

長岡遷都は間違いだったのだろうか?

難波宮から移築した宮殿の外では、梅雨の大雨が強く激しく、地面を打ち付ける。

延暦十一年(792年)。

長岡京遷都からずっと忌事続きだった桓武帝が正気を保っていたのは、ほとんど奇跡に近い。


忌事は、遷都翌年の種継暗殺事件から始まった。

調べてみれば弟早良寄りだった大伴一族や春宮坊(皇太子の使用人)たちが実行犯として次々逮捕、斬首された。

早良が暗殺計画に直接関わっていなくても…状況証拠が揃い過ぎて弟を処分するしかなかったのだ。

あいつは元々寺育ちで遷都に反対だったのは分かっている。だが、皇太子に反対派に回られては、困る。
政治刷新のためには、早良を廃太子にするしかなかったのだ。

淡路に流罪にして命だけは助けて、数年すれば寺に帰してやるつもりだったのに!
自ら食を絶って死んでしまうとは…許せ、早良よ。

それだけではない、四年前から愛する者を次々病で失った。旅子、母上(高野新笠)、そして我が皇后乙牟漏よ…

いま桓武帝の側には、幼くして母を亡くした二人の皇子、神野(52代嵯峨帝)と大伴(53代淳和帝)。

共に六歳の兄弟が父帝の周りを走り回って遊んでいる。
神野は皇后乙牟漏の子で、大伴は夫人旅子の子である。
皇子二人に、母親の記憶はない。

おいで、と桓武帝は我が子二人を膝に乗せて「これからは父が守ってあげるからね」と両皇子の小さな体をぎゅっと抱き寄せた。

その様子を見ていた女官明信は、
帝は皇子さまではなくご自分を慰め、励ましておいでなのだ。
と一人だけ桓武帝の胸中を察していた。

我が子で皇太子の安殿さまが精神の病を発症し、帝の御心はもう破裂寸前なのである。
「父上、苦しゅうございます」と神野が父の腕の中で身をよじった。
悪かった、と桓武帝は神野の頭を撫でて久しぶりに心から笑った。

随分と長雨と雷が続く梅雨だった。
完成したばかりの大学寮の門に、一台の牛車が止まった。
雨除けに衣(きぬ)を被(かづ)くその中年男は、阿刀大足だった。

「よく来られた、大足どの」
と大足を迎えたのは学者、味酒浄成(うまささのきよなり)といい、真魚が入学した明経科の侍講(教授)を務めていた。

いわば真魚の大学時代の担当教授である。
ずぶ濡れになっている大足の姿を見て浄成は真魚、真魚!と小走りで駆け付けた真魚に着替えと乾いた布を持ってくるよう命じた。

「書は守ったぞ」と叔父は防水の為に幾重も布に撒いた書物を大学寮内の空いた書棚に運ばせてやり切ったような笑顔を浮かべた。

「書も結構ですが、御身も守って下さいよ!その年でお風邪を召されたら命取りです」
と用意された部屋で叔父の衣を脱がせて肌を拭いてくれる佐伯真魚は今年十八になり、優秀な成績で大学に合格、入寮した。

思えば三年前、出会った頃は小さく頼りない少年だった真魚が、成長して随分しっかりしてきたものよ。

背も多少は伸びて、筋肉が付いて体つきもがっしりとしてきた。
それに、他人と目を会わせなかった気弱な性分も長岡京に来て人馴れしたのか、
人を真っ直ぐに見つめ返す胆力まで備わってきたようである。

「その年で、は余計だ!」大足はむっとして言い返した。
「だって、四十過ぎはもう老人ですから」

逞しくなったのはいいが…減らず口を叩くのは困りものである!

貴人の前で失言して処分された先人の話を持ちだして説教してやろう、と大足が思った時である。

小畑川、大水で決壊、氾濫!

の知らせが桓武帝の元に届いた。

小畑川とは長岡京の北西から朱雀大路ぞいに南に向かって流れ、主に農業用水に用いられていた。
この洪水で、田畑は壊滅。今年の収穫は絶望的となった。

「ああ…始まってしまいましたね。確かに都は水利の良い地域ですが、長雨が続くとそれが裏目に出るのです」

大足が大学寮に来た理由は、数日前から「高台にあるこちらに移って下さい!」という真魚の避難勧告であった。

少し後で洪水の知らせを聞いた大足は、まさか…真魚は全て見通していたのか?
と驚いて尋ねると、

「いいえ経験です。故郷の讃岐は(ひでり)が多いのですが、いざ長雨になると水害がよく起こります。雨の降り方を見て水の動きを予測しただけです」
と目を伏せて答えた。

こうやって横顔を見ると、真魚は睫毛が長く、色白で女人のような顔立ちをしている。
この子の顔に、最近憂いが多くなった。と大足は思った。

真魚は物事を憂うくせがあるから気を付けて見てあげて下さい。

と姉玉依が手紙に書いていたのを大足は思いだした。

この792年6月の洪水は、後に桓武帝自ら視察する程の甚大な被害となったが、追い打ちを掛けるように、
二か月後の集中豪雨でまた小畑川、桂川が決壊し、洪水が起こるのである。

「確かに今年の雨の降り方は異常でした、だからといって…」
と大水が引いた都の惨状を高台から見下ろし、同期入学の学生と共に嘆いた。

建設途中の建物や掘っ建て小屋に近い庶民の住居はほとんど流され、逃げ遅れた人々の骸が散乱している…

半分白骨化した骸は半年以上前にわんずかさで死んだ骸だろう。

「都は、立ち直るのだろうか?真魚どの…」

と同級の学生が、大学寮ですでに智恵者と評判の真魚に縋るように聞いた。

真魚は黙って首を横に振った。
「立て直すには、人が足りませぬ。すでに疫病で多く死に過ぎています。
作物も全滅した。食い物の無い所に人は来ません」

「私たち学生は、洪水の間何も出来なかった。博士の命令で書を櫃に詰めて守るだけだった」

恐慌状態になった岡田牛養(おかだのうしかい)博士の叫び混じりの指示と、走り回って書の収集作業をする明経科の学生たちのばたばたという足音が、まだ耳に残る。

「仕方ないさ、かなり高価な書が水浸しになるところだったんだもの」
と嘆く同級生を口では慰めて、心ではちがうことを考えていた。

私達が守るべきは、高価な書ではなく、洪水に襲われた人びとではなかったのか?

ただ儒教はじめ唐の学問を繰り返し諳んじるだけでは、人は救えぬ。

見よ!この無残さを。天変地異に襲われた「都」のていたらくよ!


とどのつまり、(まつりごと)では本当に人を救えぬということか…

隣の学生に見えないように真魚は自嘲気味に笑った。

そして数か月後、一人の学生が長岡京から消えた。



心は絶望に満ちていても、前だけ向いてないといけない時もある。

「いいかげんお母上の生まれ故郷の長岡に執着するのは止して、山背国葛野(京都)に再遷都なされては?」
と和気清麻呂が桓武帝に進言したのは洪水の翌年延暦十二年(793年)の事。

「やはり、再興は無理なのか…河川改修の名人のお前をもってしても」

と桓武帝は今年六十一になる寵臣の前で御椅子の手すりにもたれて右手で額を覆った。

「無理です。そんな費用も物資も無い事は帝ご自身もお分かりのはず」
と相変わらず人の心を見透かすような目で清麻呂は平らかに言った。

それよりも、と怒ったように続けた清麻呂の発言の内容に、桓武帝は仰天した。

「何故、小畑川の上流をこの清麻呂めに相談せず乱開発なされたか?小畑川を決壊させ、暴れ川にしたのはそれが原因」

朕は幼き頃、母と共に長岡で育った…昔から自然豊かな住みよい所であったから遷都したのに!

「あれは、食糧を確保する田畑を増やす為にやった事…朕が造京したから、朕が、長岡を壊したというのか!?清麻呂よ!」
と桓武帝に縋りつかれても清麻呂は表情ひとつ変えない。
生まれ故郷を壊したのが自分自身だという絶望が、桓武帝の心を激しく打ちのめした。

「他にどう言ったらよいのですか?…早く決断なさりませ、帝。洪水の被害に遭った民が怨嗟を朝廷に向ける前に、新都という夢を見せるのです」

分かった、と桓武帝は御椅子に戻り、威厳を正して「和気清麻呂、新都の造営をお前に任せる」と詔を下した。

「任せて下さい、この老い先短いじじい、最後の使命として完璧な夢の都を作ってみせましょうぞ…」

ふっふっふ、と笑いながら一礼して、清麻呂は背の高い体をくるりと向けて悠々と帝の傍を辞した。

「相変わらず言いたい放題の男ですね」

と二人のやり取りを聞いていた大納言、藤原小黒麻呂(おぐろまろ)が呆れて清麻呂が去った跡を見つめながら言った。

「…ああいう男だから、我が身を張って僧道鏡の帝位簒奪の野望を破り、天皇家を守り得たのだ。
清麻呂と同い年のお前もそれを見て来ただろう?小黒麻呂よ」

「はい、私めも清麻呂ほど勇敢な男を知りませぬ」
とすっかり年をとった忠臣小黒麻呂は、帝の傍で畏まった。

小黒麻呂は翌年の夏に死に、和気清麻呂は六年後の自分の死まで、平安京造営と政治刷新に尽くす。


都が長岡から平安京に移るまでの間、佐伯真魚はどうしていただろうか?

大和国(奈良県)のある山中を、一人の旅姿の青年がよろよろ歩いていた。
数日前に大学寮から出奔した真魚である。持ちだした干飯(ほしいい・米飯を乾燥させた携帯食)もとっくに食べ尽し、

山中にある果実だけでも腹を満たせず、ふくらはぎが鉛のように重く感じられ、どう無理しても、動けない…

真魚は体力尽きそうになり、とうとう山道の脇に座り込んでしまった。

はあ…足には自信があると思ったのにな。街と山とじゃ道理が違うよ、(みち)がでこぼこなんだもの。

秋も深くなった山中は木の実や柿、あけび、からすうりなどの果実に恵まれていて、湧き水を見つければ喉を潤せる。
…が、ひとたび奥に入れば右も左も、北も南も分からない迷宮と化す。

それが、山というものなのだ。

目印にと山道の脇の木の枝にくくりつけた端切れに三度めぐり合った時、真魚は道に迷ったな、と観念して秋草の上に寝転んだ。
日が暮れだして、夜の闇が近づいてきている。

こんなときに迂闊に山中をうろつくと、獣に襲われる。
歩いている間に集めておいた木の枝で焚火の準備をすると、火打石を叩いて枯れ草に火を点ける。

たちまちぱあっと橙色の炎が広がり、組んだ枝を舐めるように上に昇った。

私は、何処へ行くのだろうな?

一族の期待を裏切り、叔父から受けた恩も無駄にして都を棄て、学問への道を自ら断った。

気が付いてみれば誰もいない山中にこうして一人、火を焚いている。何処へ行きたいのか、何になりたいのかも解らず…

こうやって美しい炎を見つめていると、そんな物思いが消えて心が空になる。

そんな時だった。月夜に響く(にえ)なる音声が、真魚の心を打った。


花間一壼酒
(ファジャンイーフゥジゥ)

獨酌無相親
(ドゥズュウオウチャンクィン)

舉杯邀明月
(ジュデイヤオミンユ)

對影成三人
(ヅイイェンチェンサンレン)

月既不解飮
(ユジブジェイン)

影徒隨我身
(ユィンチュスイウォシェン)


真魚の位置から山道を少し登っところにある崖の淵に座って、剃髪した老人が満月に向かって杯を掲げている。

今夜もお前さんと飲もうかね、と老人は月に声を掛けぐびり、と一杯酒を飲み干した。

「しかし、今夜はもう一人客人がいるがね。どなたさんかね?」
ととっくに真魚の存在に気づいている老人は杯を裏返しにして崖から真魚を見下ろした。

「珍しい響きの言葉ですね」
と真魚は引き寄せられるように老人の傍に寄った。月明かりの下、老人の眉も顎ひげも白く、肌だけが赤子のように艶々としている。

出家して山に隠棲した長者か貴族なのだろう、と真魚は老人の煤けた僧衣から推察した。
それにしても老けているのか若いのか、よく分からない僧であるよ、と真魚は思った。
「唐語じゃよ」
と老人はまたぐびり、と一杯やった。
「美しい響きに聞きほれてしまいました」
「ほう、李白の良さは言語を越えても通じるようだ」

当然のように老人は真魚に杯を渡して飲みなさい、と勧めた。実は真魚は酒は苦手なのであるが、この時ばかりはつい杯の酒を飲み干した。
「うわぁ、舌がびりびりする!」と真魚が言うと老人はひゃっひゃ!と悪童のような笑い声を上げた。

「おまえ下戸か!つまらんな。李太白(リータイホウ)の月下独酌(げっかのどくしゃく)、一緒に諳んじて月を愛でようではないか…」

花間(かかん) 一壷(いっこ)の酒、

(さかずき)を挙げて名月を迎え、

影に対して三人と成る。

月既に(いん)(かい)せず…

影徒(いたづら)に我が身に随う。


花の咲き乱れるところに徳利の酒を持ち出したが
相伴してくれる者もいない。

そこで杯を挙げて名月を酒の相手として招き、
月と私と私の影、これで仲間が三人となった。

だが月は何しろ酒を飲むことを理解できないし、
影はひたすら私の身に随うばかりだ。

「さて、お前さんの中にある、揺らめく炎はなにかね?」

老人は、とっくに真魚の懊悩なんてお見通しだとばかりに言った。
自分の心を見抜かれたのは初めてだ!この御方は何者なのだ?
ひとしきり唐語による詩の朗読を終えると老人は、

「来なさい、もうすぐ冬になる。わしの庵に身を寄せたらどうだ?」
と真魚に手を差し伸べた。真魚は迷わずに老人の手を取った。

謎の老僧、戒明(かいみょう)と佐伯真魚。

この二人の月下の出会いが、真魚の人生と日本仏教界を大きく変える事になる…








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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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