第59話 白雪

文字数 5,511文字

雪は、冷たく優しく降り積もる天からの清浄なもの。

ああ、苦しい…
なぜ私はこの美しい雪景色を前に息苦しさを覚えるのだろうか?

大同二年、元旦(807年2月)。

大内裏の北西にある太極殿(だいごくでん)高御座(たかみくら)に礼服である冕服(べんぷく)に身を包んだ平城帝がお座りになられたちょうどその時に陽の光が差し込み、太極殿に積もる雪を眩しく照らし出した。

朝賀とは古来より天皇が皇太子以下の文武百官の拝賀を受ける行事であり、
即位式に次ぐ重要な儀式とされた。

そして、この日は参列している官人たちと外国の使節の前でいちばん最初に進み出、天皇に「賀のことば」を奏上する皇太弟神野親王の、初めてのお披露目の場でもある。

それなのに、半時前(はんときまえ)から神野は雪が積もった日には必ず起こる、原因不明の喘息発作を発症して気が遠くなるような息苦しさを人知れず抑え込んでいるのだ。

絶対一つの間違いもあってはならぬ場だぞ。どうしてこんな時に!

と神野は自分ではどうすることもできない己の発作を忌々しく思い、

冷たい外気をゆっくりと鼻から吸って気を落ち着かせようとするが、帝の白いお顔が目に入ると、急に頸部を左右から圧されるような苦しみに襲われた。

もう駄目か?と気を失いそうになった神野はその時、背後から抱かれるような優しい感触と、

(あなたはこの国を生まれ変わらせる聖太子。ここで倒れては、駄目)

と頭の中で自分を叱咤する声が聞こえるという不思議なことが起こり、温もりが通り過ぎると息苦しさは消えていた。

今は自分の成すべき事を成すだけ。

赤色の生地に龍・山・華虫(雉)・火・宗彝(そうい 祭祀礼器)・藻・粉米・黼(ふ)・黻(ふつ)を刺繍した礼服をひるがえして帝の御前に進み出、日月・四神の幡を背に張りのある声で賀のことばを奏上する神野親王のお姿に、

「なんと堂々たる御姿よ。さすがは俺たちの春宮さまだぜ」

と神野の側近である春宮坊藤原冬嗣は、隣にいる義弟の藤原三守に誇らしげに囁いた。

朝賀と元旦節会という早朝から夕方までかかる長い儀式を終えて東宮に戻ると正月の晴れ着から夜着に着替えていた春宮妃、高津内親王が心配した顔で神野の手を取り、

「まあなんて冷たいお手…早く替えの衣と火鉢と、お薬湯を!」
とてきぱきと侍女たちに指示して夫の衣服を替えさせた。

「こっそり襟を緩めて着せてくれたおかげで楽に息が出来たよ、ありがとう」

と元旦の長い1日の日程を終えた神野は、筥枕に頭を預けて横になり、高津の手を握りながら礼を言った。
「いえ、それは貴命と明鏡が着付けに工夫をしてくれたからです」
と侍女たちの働きを夫に伝えた高津に神野はふふ、と笑いかけ、

「あなたもすっかり妃らしくおなりだねえ」

と神野は正妻高津の手を握りながら言い、妃、と呼ばれた高津は嬉しさで顔をほころばせて抱きついたまま身を寄せて眠った。寝具の中で神野は

あの朝賀の時の、不思議な感触は一体何だったのだろう?
まるで温かい鳥の羽根にくるまれるような…

と考えてみたがやがて猛烈な眠気でことん、と意識を無くしてしまった。


正月二日には神野が主役となる東宮朝賀が行われ、主だった皇族と臣下たちが参内する。

昨日よりも内輪向けの宴なので列席の貴族たちも緊張がほぐれ、これから半月近く続く新年の祝賀を積極的に楽しもう!という雰囲気になっている。

宴席の中心では冬嗣の子供たちで長男の長良(ながよし)5才、と次男の良房(よしふさ)3才が見覚えた祝賀の舞いの振り付けをぎこちなく真似て再現し、時々振り付けを忘れて止まるそのぎこちなさがまた愛らしく、大人たちの笑いを誘っている。

「おやお前たち、手の甲のほくろが大きくなったね」

と神野は兄の伊予親王の皇子、継枝王(つぐえのおう)高枝王(たかえのおう)を傍に寄らせて頭を撫で、会う度に二人の成長ぶりを左手の甲の付け根にある黒子(ほくろ)の大きさを見ながら言うのである。
「妹にもほくろがあるんですよ、ねえ高枝」
「うん」
と6才と5才の幼い兄弟はみずらに結った髪を揺らして可愛くうなずき合った。

「それは父である私譲りのものだがね…相も変わらず春宮さまは人の変わったところばかりをご覧になる」

と伊予親王は神野の隣で自分の左手の袖をまくって皇子たちと同じ場所にある黒子を見せてから、春宮になっても神野は相変わらず神野のままだ。という安心した心持ちで微笑んでくれる。

「私は変わり者でしたか?兄上」
「いえもう身分が違うのですから伊予と呼び捨てて下さい」

こうして兄に敬語で返されると、もう私たち兄弟は鷹狩の帰りに他愛なく語り合っていた頃には戻れないのだな…とふと寂しさがよぎるが今はめでたい宴。

今の感情をいちいち顔に出さずにいられるほどに神野は成長していた。

やがて、舞いを終えた冬嗣の子らが拍手の中礼をすると小走りに父親の元に戻った。

「見事な舞であったぞ、太郎君次郎君。褒美を遣わす」
と神野はにっこり笑って長良と良房にそれぞれ餅の入った袋を下賜した。

「まことにありがたき幸せ…春宮さまからの歳魂(お年玉)、大事に致します」

わーい、おもちおもち!とはしゃぐ子らをこれ、失礼であるぞ!とたしなめる冬嗣に

「子というものはいいものだな冬嗣、やはり父親になるのは大変か?」と問われ

「最初は小さくて頼りなくて抱くのも大変でしたが…今はよくぞここまで育ってくれたと思っています。これから色々教えるのが楽しみです」

と冬嗣が珍しく優しい顔をして言うので、

「そうか、実は私にも子が出来た。夏には生まれる」

春宮さまの突然の発表に伊予親王はじめ宴の場にいた全員最初は驚き、次にこれは二重の慶事だ、実におめでたい!と宴席のあちこちから声が上がり、
「まことにおめでとうございます」
右大臣藤原内朝呂以下全員その場で平伏した。

今日の神野はやたら子供に触りたがる、とは思っていたが理由はそれだったか。それより、やっと神野が父親になるのか…

伊予は「健やかなお子が生まれますように」と弟の杯に薬酒を酌し、
「兄上に喜んでもらえて一番嬉しい」
とはじめて表情をほころばせて杯を受けた。


「懐妊した皇女はまあ皇族といっても傍系も傍系…生まれた子が皇子でも皇女でも脅威にはならない、その内祝ってやらないとな」

と二日の予定を全て終えた平城帝は床にうつ伏せになって凝った背中をほぐしてくれる薬子にこぼした。

神野の子を懐妊した皇女は交野女王(かたのにょおう)といい、血筋をたどれば天武帝の皇子舎人親王の曾孫であり、彼女が皇子を産んでも皇統には選ばれない。ということを暗に言っているのである。

「まあ脅威だなんて…まるで春宮さまに跡継ぎの皇子さまが生まれては困るような仰りよう」

「困る」
平城帝はうつ伏せのままこちらを振り返り、すがるように薬子を見た。
「…どうしても高岳さまを天皇になさりたい訳は、やはり伊勢神宮の一件ですか?」

そうだ、とそこで平城帝は身を起こし、脇息に肘をついて薬子にもそっと近う、と側に寄せてから語りだした。

「わが父桓武帝は朝廷の兵が蝦夷(えみし)と戦って殺されている間も鷹狩りの遊びに呆け、あろうことに狩場で唐の神事を行うような愚かな王であった。

天災、疫病、家族の死…とどめは伊勢の正殿の火災だ。
あいつは我が身の不徳に気付かず天にまで見放されたんだ!

今、天皇家は神格のあかしを失い、正殿の建て直しとご神宝の修復も費用(ついえ)が足りなくて途中で止まっている…神官たちを黙らせておくのももう限界だ」

「だから伊勢一族出身の高岳さまを次の皇太子に据えて、伊勢及び周辺の豪族との絆を深めようと?」

「そうだ薬子、女人ながらお前は政治に明るいな」
と言って平城帝は白い歯を見せて小さく笑ったが、それがなんとも哀しそうに薬子には見えるのであった。

現実問題、二度の遷都と蝦夷征伐による負担で朝廷の経済状況はかなり逼迫していた。
実際の暮らし向きは都の中流貴族よりも地方の豪族の頭の方が豊かなくらいだ。

「即位してみなければ解らなかったことだが、情けないものだな、小国の王というのは」
と言って顔を覆う平城帝に向かって薬子は覆いかぶさるように抱き付いた。

「いいえ、あなたは誰がなんと言おうとこの国の天皇です!あなた様のお気を煩わせる全ての障害はこの薬子が取り除いて差し上げます」

薬子はそう宣言すると腰紐を解き、己が白い乳房の中に愛する青年を誘った。40を過ぎている筈なのにこの人の肌はなんと眩しく白いのだろう…

青年はまず女の乳房に顔を埋めてから右手で女の左の乳房を掴み、目を閉じて左の乳首を吸った。

女は規則的に吐息をつきながら青年の両肩を押して床の上に倒し、彼の衣を優しく脱がせて上にまたがり体を揺らしながら徐々に昂っていく。

さあて、まずは私を脅かす伊予の坊やををどうしてくれよう?

己が五体に流れる藤原の血がそうさせるのか、行為中に黒い謀を思いつくとますます昂る体質に薬子はなってしまっていた。

正月八日、東宮の庭には足首が埋まるくらいの雪が積もっていて、貴族の子息たちが雪遊びをしていた。

神野はこの日やはり息苦しさを覚えていたが子供たちを見ると気がまぎれると思ったので春宮坊たちに命じて子供たちを連れて来させたのだ。

藤原三守は息子たちと雪玉を作りながらも、春宮さまのお体は大丈夫であろうか?

とちらちら御簾の方に目をやり主を気遣うが、背後から衿に雪を入れられて背中を伝う冷感でその場でのけ反った。

振り返ると良岑安世が雪玉を持って悪童そのものの顔して笑っている。
「いいお年をして何してくれてるんですか」
と三守は無表情でで雪玉を安世の顔になすりつけ、
「良房ゆけ」と仕返しとばかりに冬嗣が良房を抱っこして安世の襟元に固めた雪玉を入れさせ、ひやっ!と安世がのけ反るのを見て良房がきゃっきゃ!と笑い声を上げたのを合図に、
たちまち春宮坊たちの雪合戦が始まった。

「…おいおい、父親たちの方が子供じみてないか?」
と呆れた神野は御簾を通して雪合戦を眺めていた。程なく「も、申し上げます!」と慌てて入って来た命婦、三善高子の様子に「どうした?」と怪訝な顔をすると、

彼女の背後には天皇の礼服である白い袍を身に纏った平城帝が八才の高岳親王と連れだって立っていた。

まただ。この息苦しさは、雪のせいか?

朝賀の時もこんな感覚だった。兄上の袍の白を見ると、まるで。

「お前に子が出来たと聞いてな、早く祝いたいと思って来たのだ。まずはめでたい」

と平城帝の背後に控えていた従者が祝いの品を次々と神野の前に並べる。

こうして何度も歩み寄ろうとしてくださる兄上に対して、何故に私は隔てを置くのだろう?
「…まことにありがたきお言葉…光栄に存じます」
と丁重に礼を述べる神野は息苦しさで気を失いそうになりながらも失礼が無いように耐えている。

帝の命で御簾は巻き上げられ、午後の陽射しを受けた雪の庭では高岳を交えた子供たちが屈託なく遊び、大人たちは天皇と春宮の会談を前に少しでも粗相があってはならぬ、と注意深く兄弟の様子を窺いつつ高岳の相手をしている。

神野の発作を知っている三守は庭園からその様子を見て、なんとかして帝にこの場を切り上げてもらわなければ!と思いついた策を実行した。

襟元がぐっしょり濡れる位汗を流し、今にも失神して倒れそうな神野を救ったのは、

「父上もこちらへいらしてご覧になって下さい!」
と雪うさぎを両手に持った高岳親王が庭園から呼びかける声だった。

「ほう…これは見事な雪うさぎだねえ」と平城帝が息子が手のひらに乗せている雪うさぎに目を奪われ立ち上がり、縁石に並べさせた沓を履いて自ら庭に降りて出た。

その隙に神野は大きく息を付いてなんとか気を保つ。

「えへへー、三守が作ってくれたのですよ」

と初めて同年代の子らと遊んだ楽しさで高岳は頬を赤くし、笑い過ぎて息切れしている。

「たっぷり遊んだかい?おや、肩口に雪がついている」
と平城帝が我が子の肩に付いた雪を払おうと手を掛けたのを見た瞬間、神野の脳裏に幼い頃の白雪の記憶が蘇った。

そうだ。
あの時も、こうして三守と雪玉を作って遊んでいた。

急に自分の上に影が差したので見上げると…色白の若いお方が立っていた。舎人たちに春宮さま、と呼ばれる初めて見るそのお方に私は「だれ?」と問いかけると、

「弟皇子など、いらぬ」

と言って私の首を絞めたその人は…

あなたでしたか兄上!

この時、神野の心を封じていた厚い氷の層がぱりん!と音を立てて割れ、温かい陽の光が差し込む現実の雪景色に意識が戻った。

ああ、これでやっと息がつける…

「畏れながら、皇子さまのお体が冷えてはいけませぬので中にお戻りになって火鉢にあたりませぬか?」

先程とは打って変わって余裕たっぷりの声で兄帝に呼びかける春宮さまの様子に三守も高子も驚き、
「いや、もう戻る。急に訪ねたりして悪かった」

との帝の御返事になんとかこの場を切り抜けられた…と安堵したのであった。

「今年の雪もこれで最後なんだろうな」
枝に積もった雪のかたまりが、ばさりと音を立てて落ちたのを見て神野はひとりごちた。

あの雪の日の出来事は兄上ご自身お忘れなのだろう。私が兄上を避けていたのは…

決して近づけてはならないお方だったからた。

あんな人を長く帝位にとどめておく訳にはいかない。

その日を境に、神野の発作は徐々に治まっていった。

翌朝には雪は半分溶け、庭の葉先から落ちる滴の眩しさを美しい、と思い平城帝は縁側から雪解けの庭園の眺めを楽しんでいた。

ふと、違和感を感じて溶けかけた地面の雪の中を見るとそこに犬の死骸を見つけた。

よりによって正月に。これは、不吉の前触れか?と平城帝は急速に不安になり
触穢(しょくえ)じゃ!陰陽師を呼べ!」とその場で従者たちに命じた。

雪は、(ぬる)んで溶けて水になり地に還るもの。最後まですべてを覆い隠してはくれない…





































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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