第28話 斎王

文字数 4,451文字

強き人が人を支配する。

というこの世ではよくある単純な政治の在り方がなかなか通用しない国がある。

その国では天皇家という姓を持たない特殊な一族が古来より祭祀と(まつりごと)を執り行い、それは天照大神の子孫とされる血脈に依って代々受け継がれてきた。

天皇は政の頂点に立って国事を取り仕切る表の存在。その影で天皇の治世を支える為に聖域の伊勢に籠り、清らかな身で国の安泰と豊穣を祈り続ける皇族の娘たちがいた。

太陽神の巫女として祭祀を執り行う神の娘たちを人びとは崇敬の念を込めて

斎王(さいおう)、と呼んだ。

 
桓武帝の皇女、朝原内親王(あさはらないしんのう)は4才の時に斎王に選ばれ翌年伊勢入りし、12年間伊勢神宮に籠って神に仕えた。

朝原が17才になった頃、都から勅使の橘入居(たちばなのいりい)(橘勢逸の父)がやって来て「斎王の任を解く」という桓武帝の宣命を読み上げるといつも物静かな伊勢の巫女たちが一斉にざわついた。

斎王職は普通、天皇の譲位・崩御、斎王の病、肉親の不幸がない限りは辞める事は無いのだが「なんの忌事もなかったのに」朝原は斎王を解任されたのだ。

一体なんのためなんでしょう…?

と周りの侍女や巫女たちが囁き合っているのを聞きながら朝原は悠然と輿に乗り、伊勢から新都平安京に向かった。

都に用意された邸に入るとまず母の酒人内親王(さかひとないしんのう)が涙を流して出迎えてくれた。

「また会えたのね…」と娘を抱きしめて声を詰まらせる母も若い頃は斎王であった。が、その任期はわずか4年。

母の井上内親王(いがみないしんのう)と弟の他戸親王(おさべしんのう)の幽閉先での急逝という「身内の不幸」が起こり退下し、異母兄で当時皇太子になったばかりの山部王(桓武天皇)と結婚して25の時に朝原を産んだ。

だから、可愛い一人娘が斎王に選ばれた時は小さな朝原を抱きよせて抵抗し、迎えの使者たちに娘を引き離されて「嫌でございます!」と泣き叫んだという。

「都が変わってあなたが居ない間に色々なことがあったのよ…帝もご心痛を癒す為にあなたを呼び寄せたのかもしれません」

と酒人は娘に長いお喋りをし、やがて話し疲れると暗くなる前に御所に戻った。夕餉を済ませて寝所に身を横たえた時初めて

ああ、私はもう巫女ではなく、一人の皇女に戻ったのね。という思いが頭をよぎったが、やはり何の感慨も湧かなかった。

私は長く神域に居過ぎたのだから心のありようが人と違うのだ、仕方ない。と朝原は割り切り、旅の疲れもあってその夜は深く眠った。

父帝が会いに来られたのはそれから随分経ってからの、小雪の散る冬のお昼前だった。想像していたよりも老け込まれた父のお姿を前に朝原はつい驚いた顔を団扇で隠してしまった。

「久しぶりだね、ここでは不自由してないかい?」

「いいえ別に。でも伊勢よりも夏は蒸し暑かったわ」

「父は慣れた。お前もいずれ慣れるさ」

「はい」

と父娘は短く会話したきり黙り込む。傍らの侍女たちが心配するほどの長い沈黙が続いた。

やがて父はひとつ空咳をし、上目遣いで顔を上げると

「おまえを呼び戻した訳なんだがね、おまえの兄で皇太子の安殿(あて)と結婚してほしいんだ…頼むよ」

と突然の縁談で、しかも異母兄妹同士の政略結婚を切り出したのだ。

ついこの前まで斎王でいらした皇女さまになんと強引な!!

と伊勢から付き従ってきた若い侍女たちは驚き過ぎて怒りすら沸いたが、朝原だけは「やはりそうでしたか」と全て見通していたかのように答えた。

その言葉を娘の承知、と受け取った桓武帝は喜んで御所に戻り婚儀の支度を進めた。

年が明けて正月の宮中行事が一通り終わるとすぐに朝原内親王は異母妹の大宅内親王(おおやけないしんのう)と共に皇太子安殿親王に嫁して春宮妃となった。

これが6年前のこと。

最澄、俗名三津首広野よ。

拙僧のまなこでみるお前の本質は、近江に広がる琵琶湖の如きあらゆる生き物を育む水。

だが、

お前の説く「正しき教え」が拙僧の心に響かぬのは何故か?

お前の心の中の湖には、生き物が全く住まうておらぬのだよ。

最澄よ、お前は己が頭の中に詰め込んだ仏の言葉を本当は…


「…と、いう訳でまた法相宗の徳一が最澄と論戦になりましたが、お互いが自分の主張を訴えたのみで物別れに終わりました。一体何回目になりますかね、ははは」

と昔馴染みの老僧、戒明の報告を聞く桓武帝は「そうか、また論破するには至らなかったか」顎髭に手をやり残念そうに天井を見つめた。

それから東大寺から届いた文箱を手元に引き寄せて蓋を開け、

あなた様の目論見が上手くいかなかった時のために、この男を唐へやってはどうかね?

という内容の文と紙袋入りの丸薬とその処方の書きつけ。それに、都とその近辺の知識階級にすでにばら撒かれている私度僧空海の書いた手紙、「聾鼓指帰」を戒明の前に広げて見せた。

「空海の叔父、阿刀大足(あとのおおたり)がすべて白状したぞ。大安寺の勤操や大学寮の学生たちを使って僧侶、貴族たち…果ては我が皇子たちまで読んでしまっているこの手紙。
すべてはお前の入れ知恵だそうだな?戒明」

「兄弟子にも読まれていましたか」と戒明和尚は華厳宗の兄弟子、実忠のいつも何考えているか分からない青い瞳を思い浮かべ、口元で小さく笑った。

「実忠といい、おまえといい、華厳宗の坊さんたちは肚の底が知れぬ」

と脱力して脇息にもたれる桓武帝は、いつにもまして疲労しているように戒明には見えた。

「二年前のあの夜だ。お前が遣唐使船に乗せたい若者がいる、と言ったがその名をわざと明かさなかった。
私が佐伯の名を聞いて、この手紙を書いた佐伯真魚とやらにいらぬ事でもすると思ったか?」

そう聞かれて戒明は正直にあの時の心情を告白した。

「ええそうです。あのような恐ろしい話を聞いてしまった直後ですから警戒しました。拙僧も可愛い弟子を失いたくない」

「うん、そうだな…お前は正しい」

と桓武帝は尚侍明信に言って白湯を持って来させ、実忠から贈られた丸薬を躊躇なく飲み下した。

「最近体がだるくてな…。御所に典薬寮はあれど、結局は実忠の薬が一番効くので頼んで取り寄せている…で、本題なんだが」

と桓武帝は眼で合図をすると明信を下がらせ

「私もこの手紙を読んだ。若さゆえに感情に走っている部分はあるが、儒教、道教、仏教の三教比較論としてはよく書けている。
単に仏教以外をけなした内容ではなく最後の十韻詩で全ての教えを称えてうまくまとめ上げている。合格だ。
お前が十年かけて育てただけはあるな」と教え子の卒論を添削する教授の如く論評して見せた。

桓武帝自身も昔大学頭だった頃の気持ちに戻って楽しく手紙を読んだ一人なのだが。

「空海に才があるのは分かった。が…遣唐使の人員はほとんど埋まってしまっているし、私が最澄を強引に推したせいで奈良の僧侶たちやそれを庇護する藤原氏からかなり反発を買ってしまった。
大使の葛野麻呂(かどのまろ)などは『最澄と同じ船に乗って死にとうはない!』と怒り出す始末。仕方ないから最澄を二の船に乗せる事にした。
私の方からもう一人僧侶を、と言われても…困る」

それはご心配なく、と戒明は笑って答えた。

「空海の留学は兄弟子に推薦してもらいますので」確かに実忠ほどの実力者ならばすでに決まっている留学僧の人事を動かして空海をねじ込む事など造作もない事であろう。

「うむ、お前に任せる…ところでお前は神野に妙な事を言ったそうだが」

戒明の眼が用心深そうにすっと細まった。

今日の昼過ぎ、内裏の庭で貴族の子弟たちが蹴鞠に興じていた時だった。

残暑のきびしい陽射しの下で眩暈を起こし、戒明は膝を付いて倒れた。その様子に気づいて遊びを中断した若者たちが大丈夫か?老僧を取り囲んだ。

「いえ…単なる立ち眩みで。目がかすんでしまって」と手を差し出してくれた若者の手を取り、つい口走ってしまったのだ。

「あなたさまが肩に乗せてらっしゃる輝く鳥は何なのですか?」と。

神野親王はその時虚を衝かれたように黙り込んだ。が、気を取り直すと舎人たちに「この僧を介抱せよ」と命じて再び遊びの輪の中に戻った。

戒明は再び毬を蹴上げる親王さまの後ろ姿を見たが、もちろん肩には何も乗せていない…

「お父様、その者には私と同じ清庭(さにわ)の力があります」

サニワ?背後の声に戒明が振り向くと、垂髪を腰まで垂らした真っ白な巫女装束の女性がすぐ目の前にいた。

三日月型の濃い眉に彫りの深い目鼻立ち。彼女の眼差しからは強い意志と誇りが感じられた。

「紹介しよう、我が娘で春宮妃の朝原内親王だ」

「妃といってもまだ生娘です。おかげで御神鏡の巫女として好きなようにやらせてもらっています」と朝原はほほ、と笑って意地悪そうな笑みを父帝に向けた。

「それはまた後で説明するから…」と桓武帝は話を本題に戻した。

清庭(さにわ)とは神道で神の託宣を受ける者のことだ。
祖母の井上内親王から母娘3代続いた斎王の血ゆえか、朝原は生まれつき霊力が高い。
常人には視えぬものが視え、人の本性を見抜くことが出来る。私も何度か朝原の力に助けられた…
この朝原がな、お前に会いたいと言うから今宵ここに呼んだ」

朝原は戒明と正対し、心の奥底を透視するようにその目を覗き込む。

「お前は荒行の末に霊力を身に付けてしまったのね。自分自身でその力を疎んじているけど、必要な時に告げるべき者に告げるのを止められない。
そういうものなのよ…
ふうん、空海の本質は清浄たる炎で、と最澄の本質は万物を育む水。この二人が大陸から仏の教えの神髄をもぎ取って帰って来るのね。楽しみだこと」

己が心眼で視た空海と最澄の本質を言い当てられた戒明は何か大きな力に肩を押されたような感覚になり

「参りました…」と朝原の前に額づいた。

「おまえに聞きたい事がある、私にも神野の肩に輝く鳥が視えます。
でも正体が解らない…この国一の知識人のお前に聞きます。あの鳥は何?神野はどんな使命を持って生まれてきたの?教えて」

「申し上げます」御神鏡の巫女の前で顔を上げた老僧は、一片の曇りもない心で語り始めた。


賀美能

と自分で書いた字を矯めつ眇めつ眺めて神野ははあーっと吐息をすると、不貞腐れたように自室の床に突っ伏した。

「一体どうなさったのです?」とその様子を見ていた侍女の明鏡が呆れて神野の肩を揺すると、神野は文机を指差し、

「その紙を持って見せよ」と命じた。

「賀美能…かみの、と読めますが」

「本当の私の諱だ。幼い頃、叔父の早良親王の祟りから守るために改名させられたのだ。兄は小殿から安殿、私は賀美能から神野、と。…こうして書いてみると元の諱の方がいい」

「今更そんな我儘を申されましても」と明鏡は言い返したが内心、確かにこっちのお名前のほうが古風で好きだわ。

と神野の書いた字をうっとりして眺めてしまって、背後から神野が「一緒に見よう」と自分の肩を抱き寄せるのを、いつものことだと思っていた。

だが次の所作はいつもの神野とは違っていた。一瞬で明鏡のからだは神野の下に組み伏せられ、もう片方の手で裳の腰帯を解かれて上着の前をはだけさせられ、両の乳房を露わにさせられていた。

え?まさか…明鏡は怖さと恥ずかしさの入り混じった気持ちで叫んだ。

「な、何をなさるのです、親王さま!?」
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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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