第5話 讃岐から来た少年

文字数 5,557文字

昔、ある少年が故郷から都へと旅立った。

少年が一族の中でずば抜けて学問に秀で、都に居る叔父にその才を見出されたからである。

この子の才は故郷で朽ちさせる訳にはいかない、是非都に上って大学寮に行かせるべきだ。

ゆくゆくは官吏か博士になり、朝廷にお仕えするのだ。

それが、一族の為になるのだから。と叔父は主張し、故郷に迎えの者を寄越した。


「しっかり学んで、多くの人を助ける人に成って下さいね」
という母の見送りの言葉を涙ぐんで受け止める少年に、迎えの者は、

もうすぐ十五になられる大人なのに、この少年は大丈夫なのだろうか?

という印象を受けたのだという。

少年の名は、佐伯真魚(さえきのまお)といった。

父親は四国讃岐の国(香川県)で郡司を務める地方豪族、佐伯善通(さえきのよしみち)
母は阿刀氏の娘で玉依(たまより)といい、弟に学者阿刀大足(あとのおおたり)がいる。都にいる大足に真魚の書写を文に添えて送ったのもこの母であった。

大足は、真魚の書写を一目見るなり脳天に雷を喰らう程の衝撃を受けたのだという。
…十一の子供が、王羲之の書をほぼ完璧に写せるなんて!
これは自分以上、いや、育て方次第ではどの博士たちよりも優れた学者になるに違いない!と思って、

真魚が十五になったら迎えの使者を寄越します。地方豪族の子が中央に出て出世するまたとない機会です。
と姉玉依に返事の文を書いた。


延暦七年(788年)、平城京は春。

中央佐伯氏の氏寺、佐伯院で大足は「貴物(とうともの)」と呼ばれる甥の到着を楽しみにしていた。
さてさて、どのような利発な少年か…とほくほくして待っていると、やがて、
「甥御さまのご到着です」
と使用人が報告に来ると大足は早足で自ら入口まで出迎えた。
さて、「貴物」の第一印象は…

この子本当に我が甥なのか?

と思うほど十五の少年にしては小柄で、顔を見ても自分の目線から逃げるような、頼りない少年だった。

辺りでは梅の花が咲きほこり、ほうほけきょ、と鶯が鳴いた。

「…まあ、長旅ご苦労だったな。中に入って、体を洗って休むのだ」と言って真魚を使用人に任せて中に入れると、
早速、真魚を迎えに行って帰って来た使用人に「甥は旅の途中どんな様子だった?」と声を潜めて聞いた。
それが…と使用人が言いいにくそうにするのを無理に言わせると、
「途中までずっと泣いておいででした。お母上との別れが相当哀しかったようで」
どうやら甥は貴物と呼ばれて甘やかされて育てられてきたのではないか?
と話を聞いて大足は急に心配になった。これでは大学寮受験以前の問題ではないか!

「しかし、讃岐を抜けて船に乗られた時には落ち着いたご様子で。お父上が海運豪族だから、船には慣れておられますね。
目に見える小島や風景にいちいち、あれはなんという地名なのだ?
と我にも答えられぬ質問を次々ぶつけ、答えられぬと周りの旅人を捕まえて質問攻めにする始末で…ほとほと困りましたよ」

と疲れた顔で笑って答えた使用人を下がらせると大足は、知的好奇心が貪欲なのだな。
と少しは安堵して、用意された部屋で赤子のように丸まって眠る真魚を覗き見た。

翌朝早く目覚めた真魚は顔を洗って朝餉を済ませ、叔父が与えてくれた新しい衣に袖を通して整えた髪の上に烏帽子をちょこん、と載せた。

「ここにある書は全部目を通していい」
と叔父に連れられて通された部屋の棚には、巻物が数十本ほど積まれていた。
ああ…新しい墨の匂いだ!叔父の制止の声を横に真魚は走り出して巻物を一本取り、漢文の文章をがつがつと読んだ。

「有難し…叔父上!故郷では古ぼけた書を繰り返し読むだけで飽いておりました」
「そうだろうな」
と大足は初めて真魚が嬉しそうな顔を見せたので、それだけでこの子を都に来させた甲斐があったと思った。

「ここに慣れたら少しずつ明経科の書を持って来させる。入試は厳しいから覚悟するんだな」

大学寮とは現代でいうと官僚養成校で、大足が薦める明経科では主に儒教を教える。
「しばらくは退屈はせぬだろう、その書の多さではな」
とにやりと笑って言い置き、それから十日後、大足が新都長岡京から戻って真魚の様子を見に寺に来ると…

真魚の顔から表情というものが消えていた。明らかに物事に倦んだという様子で書を読んでいる。

一体何があったのだ?

「叔父上、新しき書は?もう退屈で退屈で…」
「しかし書はこんなにあるではないか」
「もう全部目を通してしまいました」

地方の秀才が都の凡才に陥りがちな慢心だな、と大足は思って注意した。
「読んだだけでは駄目だ。暗記しないと試験には答えられないぞ」
「もう暗記してしまいました」
「なんだと!?」

確認のために大足が巻物の題だけ言って、真魚には内容を暗唱させた。
全て…全ての巻物の内容を一字一句間違えも淀みも無くすらすらと暗唱してのけた真魚に、
この子は…!!と空恐ろしいものを大足は感じたという。

姉玉依が「貴物」と呼ぶ理由が、やっと大足には解ったのだ。
「本日は書は携えておらぬよ…お前がこの量の巻物を読破してしまうなんて思わないからな」

実はな、真魚。と大足が長岡京に建てさせている自分の家が完成し次第、真魚もこの寺から移り、本格的な受験勉強に入ること。

ここにある書も貴重なものが多く、少しずつ新都に移す予定を告げた。
話し終わると真魚は結構がっかりして肩を落としていた。

「ああ叔父上…それはもうここに書を持ってくる気はない、という意味ですね?」
「そうなのだ、申し訳ないが遷都から四年、全てのものが長岡京に移っていくのだ…」
仕方のない事なのだ。そんなに気を落とすな、と大足は真魚に声を掛けて
「人間学問ばかりで体がなまってもいけない。
都見物をして気を晴らすといい。今度来るときは必ず書を持ってくるから」
と慰めた。

但し、従者は必ずつけるのだ。平城京は物騒になってきているからね、と注意して大足は寺を後にした。

大足自身、職場である大学寮の新築に関わっているし、自宅の完成も急がせなくてはならない。

学者として帝の話し相手をしたり、担当している貴族や親王様がたの教育など長岡京での用事に忙殺され、甥っ子一人に構っている余裕が無かったのも事実である。

さらに十日後、今度は明経科の教書を二本携えて来た大足は、真魚の頬や目元に痣が付いているのを見つけた。
「何があったのだ!?」と問いただすと、
「市場で僧侶に殴られ、蹴られました」
と瞳に冷たい怒りを宿して真魚は答えた。
「詳しく聞かせてもらえまいか?」

四日前のことである、真魚が市場の或る店で見た光景とは…
「市場の食糧を売っている辺りで酒と干し肉を金を払わず強奪する二人組がいて、さらに、慰み者にするために店の娘を連れ去ろうとしたのです」

さすがに見て見ぬふりはまずい!と思って真魚は二人組に注意すると、逆に、
「我らは何をしても許される身だ。生意気ながきだな!」

とへらへら笑うその二人組に袋叩きにされたのだという。
従者が間に入って財布の金を全部渡すと二人組は帰って行った。

「娘さんの身は助かりましたが…店主から訳を聞くと、その二人は変装した東大寺の僧だというのです!
定期的に市場に来てはやりたい放題をするというではありませんか、
叔父上、私は僧侶が飲酒、肉食、果ては女犯をやらかそうという横暴をこの目で見てしまいました。
…東大寺の僧は、一体どうなっているんですか!?
国家鎮護の祈りために僧とは、仏教とはあるものなのではないんですか!?」
と話しながら内にどんどん怒りを燃やしていく甥に大足は、

ああ、この地で一番見て欲しくないものを真魚に見せてしまった…
と恥ずかしい思いになり、同時に、よし!と肚を決めた。

「まさに、お前を打ち据えた者たちが中央仏教の正体なのだよ。
仏教伝来から二百年、仏の尊い教えも扱う者が腐ると、教えも腐るのだ。
権力におもねる僧侶たちを今上帝は厭い、寺だけをこの平城京に留め置かれて長岡に都を移された。
(まつりごと)と仏教に距離を置き、全てを刷新する。それが現朝廷の方針だ。
実に果敢な決断であるよ…真魚、お前も勉学に励み新しき都づくりをお助けするのだよ」

じっと叔父の話を聞いていた真魚は「はい!」と背筋を伸ばし、叔父が大学寮の博士に無理を言って借りて来た巻物を手に取って広げると、
「うわあ、難しい!…でも、実に興味深い」と経書の文に目を凝らした。
「おいおい、原本だけでは読解は難しいよ」と大足は笑って注釈が書かれた巻物を経書の上に広げた。

やはり、この子は学問をしているが一番いいのだ。
長岡京に引っ越して大学寮に入れば、忌まわしきことも忘れてくれるだろう…

翌年、真魚は叔父に連れられ長岡京に引っ越し、新築された叔父の家で受験に向けて猛勉強を始めた。

論語、孝経、史伝、文章など、実に膨大な量の文をわずか三年足らずで暗記する、という非常に厳しい受験勉強であるが、

真魚はまるで砂が水を吸うように楽しんで学習した。

学問で頭が疲れると、真魚は気晴らしに外出をよくした。

街では建築中の住居が真新しい柱をさらして軒並み連なっている。
こんこん、と木工座(大工集団の祖)の者たちがたてる槌音が実に小気味良く、時を忘れて建築現場を眺めているのが真魚の楽しみとなった。

「そんなに木工が好きなら大学寮入るの辞めてこっちに来ないか?学者の若さま」
「私は新しき建物が出来上がっていく過程が好きなのです。木の匂いもいいですね」
と会話をし、真魚も木工を習うほど職人たちと仲良くなった。
「前の都よりこっち(長岡)の方が便利はいいね。でっかい河が三本も流れているから、(いかだ)で木材を運びやすいんだ」

三本の河とは、桂川、宇治川、淀川のことである。

平城京ではすべて陸路で荷を運ぶしかなかった不便さを、三本の河は一気に解決した。
長岡京ではほぼ全ての家庭に井戸が掘られ、道路脇の流れる水を家の中に引き込み、排泄物を流すという下水対策も行われていた。

「へえ、お上は街の細かい所まで考えられているんですね」
と真魚がいたく感心して若い職人の話を聞いていると、

「そうさ!この素晴らしき都で仕事が出来るのは誇りなのだ」と木工座の男たちは胸を張って言った。

平城京から移り住んだ人間にとっては長岡京はまさに住みやすい理想の都で、延暦八年(789年)のこの時期は、新都建設のために庶民はいくらでも仕事にありつけた、
はずであった。

翌年、天然痘が大発生するまでは。

延暦九年の秋から冬にかけて(790年8月~791年1月)、当時「わんずかさ」と呼ばれる天然痘が長岡京の畿内で発生した。

随分蒸し暑い日の午後であった。

叔父、大足から外出を止められていたが、真魚はいてもたったもいられず仲良の良かった職人が働いているという河原まで行った。

わんずかさで下々の者には死者が続出し、骸の処理に都中の人足が回されているという噂を聞いた。

なんでも骸の処理法も、河原に棄てて犬に喰わせるだけ、という杜撰なものらしい…
やはり、河原を見下ろせる所まで行くと、見覚えのある職人の後ろ姿があった。

職人はふらつく足取りで荷車に乗せられた骸を河原に積んでいる。
猛暑の頃だったので、腐った骸の臭気が凄まじく、吐きそうな位であった。

「来るんじゃない!」
二十歳を過ぎたばかりの職人は、真魚の姿を見つけるなり、厳しい声で叫んだ。

「わんずかさにかかるぞ!身分の高い人が来るところではない」
「あなたの木工座はどうなったのです!?」
真魚の問いに職人はもう泣く気力も無い、という風に背を丸め、
「ほとんどわんずかさで死んだ…女房子供もだ。
お役人は骸に触れる事を恐れ、俺たちに処理を押しつける始末だ。
死人ばかりで都の建築どころではない。真魚どの、やはりタタリというのは恐ろしいな…」

タタリというのは、四年前、長岡遷都翌年に死んだ早良親王の祟りの事を言うのであろう。

長岡京の建設責任者を任されていた藤原種継が暗殺され、
その首謀者として今上帝の弟で皇太子の早良親王が廃太子となり、流刑地に向かう途中の寺の中で死んだ。

無実を証明するために一切の食を絶ち、憤死という凄まじい死にざまだったという。

それ以来、忌みごとが起こるたびに都では、親王様のタタリだ、と片付けてしまうのが当たり前になってしまっている。

「…いいえ、疫病はタタリではありません!わんずかさにかかる原因は、病者の肌のふくれ(膿胞)から出る汁に触れるからです。
おそらく汁の中に、小さく強い毒が含まれているのでしょう。骸を河原に棄てては河が毒で汚れてますます病者が増えます。
犬が骸を食うた牙に毒が付き、何処かで人を噛み、そこから病が広まるでしょう」

天然痘の原因であるウイルスの存在も知られていないこの時代に、真魚はあらゆる病の元であるウイルスや細菌を「小さな毒」として自分なりに認識していたのだ。

真魚の話を聞いて、職人ははっとして顔を上げた。

「じつは…俺もそうではないか?と骸の処理を続けて思っていたのだ。なあ真魚どの、適切な骸の処理法は?」

「穴を深く掘って埋めるか、火で焼いてしまう事です。処理に当たった者はいちいち体を洗って衣も変えなければ。
あなたもこの河原から出て、湯で体を洗うべきです!速く!」

と真魚が叫ぶと職人は笑って首を振り…自分の肩に出来た膿胞を見せた。

そんな…!!

「俺も病にかかった…真魚どの、すぐにここから離れろ。
そしてその賢すぎる頭で俺みたいな病者やこの骸の山を減らす方法を考えてくれ、頼む!」

早く行けえっ!と声を振り絞る若者の叫びを背にして、真魚は泣きながら走り出した。

お上が民にさせる事は…なにもかもあべこべじゃないか!

木工職人の若者も十日後に天然痘で死に、河原に棄てられる運命となる。


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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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