第92話 高野の民

文字数 5,451文字

昔、まだ何者でもない青年が深い霧の中に佇んでいた。

自分の鼻の一寸先まで湿りを含んだ微小な水の粒に包まれ、
辺りの草木も足元の道も全く見えない状況に普通の旅人なら恐怖で来た道を引き返すか焦りで出鱈目に前に突き進んで遭難するか。だがこの青年は、

なるほど、雲の中に居るとはまさしくこういうことか…

と麓の集落から頂上を雲に覆われたこの山を見上げた時に、

あの雲の上にある世界がどんなところか見てみたい!

という不意に沸き上がった熱情から登山を決行し、白衣のように己が身を纏う濃霧の中で、

雲の正体とはこうして近づいてみれば霧だったのか!

ここまで登って来た甲斐があったな…とひとつのことを理解した満足感に包まれた。

青年は自分の顔かたちも解らぬ真っ白な世界でそれからどうしたか、というと

山を這うて山の(ことわり)を知れ。

という山岳修行の師である僧侶の言葉の通り四つん這いになって目を閉じ、手で直に山肌に触れて草木がない、と感じた処を分け入って進むこと半時。

まぶたの奥に光を感じ、目を開けるといつの間にか霧の幕を抜けていた。

不意に、左右の草むらから白と黒の犬が飛び出して来て青年に取りつくも彼らは尻尾を振りながら衣の裾に噛みつき青年をさらに山の上の方に引っ張るではないか。

「こらこら!やけに人懐こい犬やな」

青年が笑いながら明らかに人に飼い慣らされた番犬たちのされるがままに奥へ進むとなだらかな山道が広がった。

だ、だれ…?と木の陰から出てきたのは年の頃7、8才位の金髪碧眼の童。

警戒で身構えながらも番犬たちに懐かれているよそ者を初めて見た珍しさにこわごわ声を掛けて来た。

「わしは佐伯真魚。(わっぱ)、名は?」

「ムラート」と童は答えた。

「お兄さんどうやってここまで来れたの?凄いね!」

「この犬ころたちに引っ張られたんや」

と答え、それだけで気を許してくれたムラートの案内が無ければ真魚は彼が住む隠れ里まで辿り着けなかっただろう。

さらに倒木の下をくぐり、分岐した山道を左、右、左へと進むと急に視界が開け、木を組み立てて拵えた小屋が10いくつと、その奥から煙が上り立つ人里が現れた。

里の何処を見ても光が降り注いでいるのでもうここが山の頂上で、今は昼近いのだな。と
朝から山を登り始めた真魚は思った。

ぼさぼさの蓬髪に褪せた柿色の僧衣を纏った異様な風体のよそ者の来訪に

何事か!?と思い集まって来た里の男たちの半数以上が金髪碧眼の渡来人で皆、警戒の目で真魚を見ている…

その中からムラートは祖父の姿を見つけ、真魚と引き合わせた。

「わしはここの里の長で田辺老人(たなべのまおすみ)。若いの、結界を越えてよくこの里まで来れたね」

と高齢だが矍鑠とした日に灼けた肌の老人が晴れた日の空のような青い瞳を細めて笑い、訝る里の者たちに

「まあアグニとルドラが懐いたのだから悪人ではないよ」

と真魚を客人として遇する事を許可した。

アグニとルドラとは先程の番犬の名前だろう。アグニとルドラは天竺の言葉で炎神と風神という意味なのだと数年後、唐で梵語を学んでいる時に真魚は知った。

「そうだよねえ…よそ者が来たら死なない程度に噛みつきまくる犬たちなんだもの」

と里の女が話すのを聞いて初めて、あいつらそんなに獰猛な番犬だったんかいな!?

と真魚は肝を冷やした。

「田辺どの、ここは何と言いますか?」

真魚の問いに田辺老人はちょうど正午の陽が降り注ぎ、光満ち溢れる里を見渡してから、

「高野山」と答えた。

延暦17年(898年)夏、

若き日の空海である佐伯真魚と、後に彼が唐土より持ち帰る密教の根本道場になる高野山との出会いだった。


それから13年後の弘仁2年初夏。

高野山の登り口には誰がいつ建てたかも解らない小さな祠があった。

そこに祀られているのは

丹生都比売(にうつひめ)

と山道の脇の石に彫られた文字から辛うじて判別出来る。どうやら古来よりこの地の山神らしい。

「丹生都比売さまは俺たち高野の民にうまい水と丹という山の恵みを与えてくれている。っておばあ様から言われて育ったんだ」

と成長したムラートこと田辺牟良人(たなべのむらと)が祠に真っ先に手を合わせ、空海、騒速、素軽もそれに倣って頂上までの旅の安全を祈願した。

ここからは頂上までは急な山道が続くので、四人は休憩を取りながら焦らず進んだ。途中の沢の水を竹の水筒で掬って飲むとえもいわれぬ甘みが口中に広がり、

「う…美味い!」と吉野の山で育った少年二人は思わず唸ってしまった。

「今まで吉野の水がいちばん美味いって思ってたけど考えを改めなきゃなあ…」

「そんなこと言うが、故郷に帰ったら帰ったで『やっぱり吉野の水が一番だったな』って言うに決まってるさ!賭けてもいいぜ」

「そんなこと言っていいの?兄者は賭けるもの何も持ってないくせに」

と騒速に言われて一瞬むっとしたが本当の事なので何も言い返せず黙って握り飯を食う素軽であった。

少年二人のじゃれ合いのような会話を前に

若いってええなあ。

と自分が彼らの年の頃には猛勉強して大学寮に入り、学友たちと勉学と議論に明け暮れた寄宿生活を送っていた頃を懐かしんだ。

間もなく長岡京を襲った疫病と水害と、杜撰すぎる役人たちの対応と全てを祟りのせいと目に見えないものに押しつけて思考停止してしまう人々の魂の抜けた(まなこ)

学生真魚はその全てに拒否反応を示して都を棄て、世間を棄てて山野をさすらう私度僧になったのだ。

10年後に降って湧いたような唐留学への推薦と受戒、困難を極めた旅の行程と何もかもが目新しかった長安での生活。

そして恵果阿闍梨との出会いで我は図らずも密教の正統後継者となって帰国し、嵯峨帝に引き立てられ、

焼失した八咫鏡の新造。

という密命を果たすために再び高野山に入るだなんて思いもよらなかった。

「残念ながらじいさんは2年前に逝ったけど工房は兄上が跡を継いで職人たちも健在だ。この鏡と同じどころかもっといいものが作れると思うよ」

内裏のご神鏡に彫られた唐草模様を頼りに職人の所在を訪ね回り、九条の街で再会したムラートにそう言われて空海は飛び上がりたくなる程喜んだのだが…

「でも、俺は二度と故郷の高野山には帰りたくないんだ。帰ったら妹と結婚させられてしまう!」

と胡人の拝火教徒の子に生まれた彼なりの苦悩があって、都まで逃げて来た経緯を打ち明けてくれた。

父親と娘が、兄と妹が結婚して子を生み一族の血を繋ぐという最近親婚という慣習が(いにしえ)からの拝火教徒にはあり、

ムラート自身も兄妹婚をした両親から生まれている。

「両親とも拝火教徒じゃなければ拝火教徒にはなれない。このままじゃ一族も教えも滅びてしまうからって言われても…
一緒に育って来た妹をいきなり娶るなんて、俺には出来ないよ」

工芸品と食糧を物々交換するために定期的に山を下り、麓の天野の里の人々と親しんできた牟良人には、

もしかして、自分の家族のあり方はかなり特殊なのではないか?

という疑問が幼い頃からあり、昨年の秋に妹と結婚するよう命じられた時…

里から逃げよう、と牟良人は決意したった一人で彫金の道具箱を背負って夜が明けぬ内に山を降りた。

麓に住む秦一族から

「これはお前の腕を見込んでの投資だ。目の高い貴人に気に入られて何倍にでもして恩を返せよ」

と言われて路銀を借りてなんとか都まで辿り着き、九条で住処を得て暮らしていけるようになった頃突如、空海阿闍梨となった真魚に押しかけられたのだ。

伊勢で密命の内容を聞かされた時はあまりの事の重大さに…

高野の民にそのような大役が果たせるだろうか?
と畏れと不安で最初は苦悩したが、もう前に進むしかない。と若さゆえにすぐに気持ちを切り替え故郷への案内役を引き受けた。

「ここから結界に入るよ」

と言って牟良人は自分の腰に垂らした縄を空海、素軽、騒速の順に手に握らせて文字通り数珠つなぎになりながら彼にしか解らない山道を通り濃霧の中をくぐり抜ける。

半時以上登って視界が開けた場所にはもう一つの「結界」がぐるるるる…といううなり声を上げて侵入者を睨み据えて口元からよだれを垂らしていた。

間違いない、これは犬の臭いだ。数にして15、6頭の犬が自分たちを取り囲んでいる!

気配と臭いで状況を把握した騒速は腰に指した蕨手刀の柄に手を掛け、素軽は両腕に素早く革紐を巻いて戦闘態勢に入った。

「人に訓練された犬の群れほど恐い生き物は無い。出くわしたらとっとと逃げることだな」

と修験者の頭のタツミでもそう言って山中では決して戦わないよう言われていた相手に今囲まれているのだ…

「ねえ、牟良人さん。アグニとルドラの数がちと多すぎやしないかい?」

少し怒った声で騒速が案内人の背中に呼びかけると、

「番犬が2頭だけって誰も言うてへんがな」

とからかうように空海が答えた。牟良人が懐から金属製の細い筒を取り出してくわえると

最初にぴーっ!と鋭く一回、次にぴぴぴぴぴっ!

と断続的に犬の群れの頭が仲間を呼び寄せる吠え声を真似た吹き方をした。

その音を合図にさっきまで警戒して身を隠していた犬たちが尻尾を振って茂みから現れ、牟良人の足元にじゃれついた。その数15頭。

「よーしよしよし、俺を覚えていてくれたか!」
と予め千切っておいた干し肉を犬達に与えて愛おしく背や頭を撫でる牟良人が
「これで全ての結界を抜けた」
と告げると、修験者の少年二人はそこでやっと安堵したのであった…

以前あった倒木が取り除かれ、整備されて通り易くなった山道をさくさく進むと急に視界が開けて山林の黒い陰影から光まばゆい人里へと入ったので一瞬目が眩む。

最初に牟良人と旅人たちを見つけたのは、若草色の丈の長い上着に筒袴(ズボン)というゆったりとした胡の民族衣装の少女だった。

「ムラート兄さまが帰って来た!!

と山羊の乳搾りを中断した少女はすぐに小さい里じゅうに触れ回った。

すぐに14、5件の家屋から、近くの畑から、奥の工房から里の住人たちが出て来て9か月ぶりに山に帰って来たムラートと客人を取り囲んだ。

住人の半分は金髪碧眼で白い肌の胡人で残りの半分は黒髪に青い目だったり黒髪黒目だったり、と肌も目の色も違う人間たちが色鮮やかな胡の装束に身を包んでこの小さな里で一緒に暮らしている。

その様は空海に唐留学時に見た長安の西市の光景を思い起こさせ、このように一堂に会した渡来人を見たことが無い騒速と素軽に、

山の頂の雲の上にある小さな異国に迷い込んだ…という錯覚すら起こさせた。

「ムラート?本当にムラートなの!」

「お前が急にいなくなって皆心配したんだぞ!」

「人一倍甘ったれなお前がお山を離れて一人で生きられる訳がねえ。色の白い渡来人は珍しいから捕まって売られたか賊に殺されたか…って諦めてたんだぞ!」

「下界で鍛えられて頼もしい顔つきになったねえ、とにかくお帰りなさい」

と里の人々は胡の言葉で次々に語り掛けて牟良人を迎え、牟良人は客人を皆に紹介した。

13年前にたった一人で結界を抜けてこの里までたどり着いた私度僧を大人たちは覚えていて、

「頭剃ってるってことはちゃんと坊さんになれたんだねえ」

あの頃はまだ何者でもなく気の向くままに山野をほっつき歩いて世間の文句ばかり垂れてた勝手な若者だったが。

「ちゃんと寺づとめしてるようで安心したよ…」
と胸撫で下ろす大人たちを背後から押しのけ、ずば抜けて長身の筋骨逞しい若者が牟良人の前に立ちはだかった。

彼は白い頬を上気させて唇を固く引き結び青い両目に怒りをたぎらせている…

「兄上」
と牟良人が見上げた次の瞬間、若者はぱあん!と弟の頬に強烈な平手打ちを喰らわせた。

鼻血が飛び、牟良人の上体が激しく揺らいだ。が、弟は体勢を立て直して真っ直ぐに自分を見据え、
「勝手に出ていった事は謝る…でも、話を聞いてよ兄上」と言い返すではないか。

「…妹との婚儀は今夜だ」

とこの里の長、ファルークこと田辺波瑠玖(たなべのはるく)はくるりと踵を返して大股で工房へと引き返そうとする。

「相も変わらず頑固やな、ファルーク。ちっとは弟の話聞いたらんかい」

「よそ者の坊さんがでしゃばる問題ではない!!
と波瑠玖は僧侶の手を振りほどこうとしたが手首の関節を極められてしまった。馬鹿な、俺の力を抑え込めるとは!こんな芸当が出来た人はたった一人…

「まさかあんた、真魚さんか!?

驚きと畏怖の混ざった感情でファルークは傍らの小柄な僧侶を見下ろした。

「今は空海阿闍梨という」

と不敵な空海が笑うと波瑠玖は観念して力を抜いた。

「わしら旅人は山を登りきって少し休みたいし、積もる話もある。解るな?」

解りました、と波瑠玖は部下たちに空海たちを客としてもてなすよう指示してから空海と共に工房に入った。

さっきまで狷介だった人が真魚さんにあやされて大人しくなったよ。

唐帰りの怪しい坊さんだと思ってたけど何だかんだですげえ人なんだな。

「ねえ、そこの娘さん」

と二人の遣り取りを見ていた騒速は番犬に囲まれていた時から自分たちを観察していた「影」に向かって話しかけた。

「なーんだ、ばれちゃってたのね」

騒速の背後の木の枝に腰かけていた娘はくすく笑いながら騒速を見下ろした。

目の覚めるような青色の胡の装束。稲穂のような金髪に明るい空色の眼をしている。

「あんた、名は?」娘が問うた。

「ソハヤ。あんたこそ名乗れよ」

騒速の背の三倍もの高さの枝から娘はくるりと一回転して片膝を付いて着地し、騒速のすぐ目の前に駆け寄った。

「私の名はシリン。丹生志厘姫(にうのしりひめ)ともいうわ」

まさかあんた…という騒速の心を見透かすかのようにシリンは、

「そう、ムラート兄様の妹で許嫁(いいなずけ)よ」

と素っ気なく答えた。







































































































































































































































































































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登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

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