第55話 阿保の本音

文字数 6,225文字

朝まだき
小鳥のさえずりを聞きながら明鏡(みょうきょう)は夢を見た。

それは母、明慶(みょうけい)が病身を無理に起こして化粧をする姿。

乳房が見えるほど胸元をはだけて青白い肌に白粉を塗り、唇には紅。額に花子(かし)を付けて髪を結い上げて一番上等の衣装を身に纏って父を待つ母は、まるで仙境に住まうと云われる仙女のように美しかった…

父は10日に1度の間隔で夜の闇に隠れるように私たち母娘のもとを訪れては「逢いたかったぞ」と母を抱き寄せ、眠気をこらえて居る私を膝に乗せて
「お前は会う度に大きく美しく成長して父を驚かせるな」
と目を瞠り、殿方にしては綺麗な手で私の頬や髪を撫でてくれたものだ。

酒肴の支度をする母に父は「無理しなくてよい」と手酌でお酒を飲み、どうだ元気だったか?今日は良い薬湯を貰って来たぞ。と手ずから薬湯を飲ませて細やかな優しさを見せる。
父はやはり、母を深く愛していたのだろう。

ふと夜中に目覚めた時、泣いている母を抱き寄せた父が「いつか必ずお前たちを正式に迎えに行くから…寂しがらせて済まない」と絞るような声で詫びるのを見た。


幼心に見てはいけないものを見てしまった。と明鏡は思い、すぐに寝たふりをしてそのまま寝入ってしまった。そしてそれが間近で父を見た最後の夜だった。


けさは雀の声が大人しいこと…と思いながら明鏡はいい薫りのする衣の中で目覚めた。

宮女たちが忙しく立ち働く音で、しまった、自分は寝過ごしてしまったのだ!と、明鏡は慌てて飛び起き、衣がはらりと落ちて全裸になっている自分に気づいた。

あ。私は昨夜春宮さまと…と昨夜のことを思い出して頬を上気させ、恥ずかしくなって頭から衣を被り、繭のようにくるまって座り込んでしまう。

そんな明鏡の様子を微笑ましく見ながら嘉智子に髪を結ってもらっている春宮神野は、
「よいよい、今日は昼過ぎまで休んでいいから」と優しく声を掛けた。嘉智子が神野の身支度を整えているのを見て明鏡は
「す、すいません、嘉智子さまにお仕事をさせてしまって…」

と上ずった声で急いで衣服を着ながら春宮さまのご側室に労働をさせてしまった事を謝した。
「いいのよ、わたくしだってついこの前まで神野さまの侍女で、こうやって毎日お世話をしていたのですから」
と普段通りに嘉智子が接してくれたのが明鏡には有難かった。が同時に、

やはり神野さまは嘉智子さまのものなのだ…

と胸の奥ちくり、と傷んだのも事実だった。

「それにしても、やっと明鏡も春宮さまのお手付きになった訳ね、明鏡」
と神野のもう一人の側室、多治比高子(たじひたかこ)が読み終えた漢籍の巻物から顔を上げ、片付けるようにと明鏡に巻物を手渡すと「これで明鏡も『仲間』ですか」と意味ありげに細い目をさらに細めてにやりと笑った。

「はぁ…、ゆうべいきなりの事だったのでまだ実感が」と照れて首をすくめる明鏡に高子は「何年も『あの』神野さまにお仕えしていてあなただけ生娘のままでいたから変だ妙だ、と他の侍女たちは噂していたのよ」
「噂とは?」
「あなたが実は先帝の落とし子で、妹にあたるから神野さまは手を出さない、とかもしかしていわくつきの貴族家の姫だからでは?とか、ね」
「はあ!?」

陰で自分がそのように言われていただなんて、しかも、噂の内容が当たらずとも遠からずな事に明鏡は、

女人の勘働きとはなんとは恐ろしい…!と冷や汗をかかずにはいられなかった。
彼女の母、明慶はまだ若くて身分低かった頃の桓武帝と百済王明信との間に生まれた娘で明信の父、敬福の子として育てられた。つまり明鏡は桓武帝の孫娘で神野とは叔父姪に当たる。

神野自身も明鏡の実の祖母、明信に出自を確かめるまでは、
もしかして実の妹なのではないか?と怪しんで彼女に触れようともしなかったのは事実である。

「もちろん根も葉もない噂よ。あなたの後見人は先の尚侍明信(ないしのかみみょうしん)で、百済王家の縁者で両親を亡くして宮仕えに来たことは皆知ってるし、身元のあやふやな娘が宮中に入れる訳がないじゃないの」
まったく(ひま)な侍女たちだこと!と高子は鼻で笑って侍女たちの噂を一刀両断したが、

高子さま…それ当たっております。私の母は隠し子だけど皇女で、父は、今上帝の最側近である北家の参議、藤原葛野麻呂(ふじわらのかどのまろ)です。

野心家の父が娘の私を政治利用するのではないか?
と恐れた祖母明信がかどわかすように私を百済王家から連れ出し、見習いの宮女にしてしまったのです。

いえ、もしかしたら祖母は、
母の出自を知らない父が私を桓武帝の後宮に差し出して…実の祖父が孫娘と交わる。というおぞましい事態は避けなければ。と考えた末の処置だったのかもしれません。

「あら、今日は涼しいのね。と思っていたら」
と高子が御簾の間から外を覗くと。お昼過ぎの空に黒々とした分厚い雲がかかり、やがて大粒の珠のような雨が庭の地面や草木や、廊下、高子がめくる御簾までばらばら、と音を立てて降って平安京に久方ぶりの涼をもたらした。

大同元年(806年6月8日改元)の、梅雨の始まりである。



「阿保よ、お前は先帝の皇女である伊都内親王(いとないしんのう)と結婚するのだ」

と久しぶりにお会いする父、平城帝に命じられた阿保(あぼ)はいかにも不本意そうな目つきで父を見上げた。

父親に似て色白で端正な顔立ちをした少年、阿保親王(あぼしんのう)はことし元服を済ませた13才の世間では立派な「おとな」であり、元服と同時に親同士が決めた許嫁と結婚するのはこの時代の皇族にとっては当たり前の事である。のだが…

「なれど父上、伊都内親王さまは確かお年は」
と阿保が問うとやはりそう来たか、と思いながら平城帝は指先をこめかみに当て、顔をしかめながら答えた。

「ことし3才になったばかりだ」

「父上、いえ(おほきみ)
天皇のご命令とあらば謹んで受けるつもりですが…いくらなんでも3才の妻は幼なすぎでは?」

「お前の言いたい事は解っている」と平城帝はなだめるように息子の両肩に手を置いてじっと目を見て説得にかかった。
「なあ阿保よ…伊都は朕にとっても愛しい末妹で、父親を亡くしたばかりの不憫な子だ。それに、皇女の結婚相手は皇子と決められている。
いいか?阿保。お前は『保護者』として伊都を引き取り、10年待って正式に夫婦になればいいだけの話だ。そうだろ?」
ほらきた。と阿保は思った。そうやって父上は天皇らしくない馴れ馴れしいそぶりをしてみせて臣下たちを取り込もうとする。

「伊都さまの母は南家、藤原乙叡(ふじわらのたかとし)の娘、平子(ひらこ)さま。…所詮、南家との政略結婚なのでしょう?」

と阿保が父帝の本心を見透かすように尋ねると平城帝はふっ…ふはははは、とさも愉快そうに笑って
「その通りだ阿保。お前は聡い子だな。

いいか?皇族にとって結婚も(まつりごと)の一つなのだ。
誰の娘と婚姻してして子を産ませるか、生まれたのは皇子か皇女(ひめみこ)か、それが天皇家と外戚の家を大きく左右するのだ。
理解しているようで父は安心したよ」

と息子の頬をつるりと撫でてからもう下がってよい、と阿保を下がらせ、入れ代わりに呼んだ7才の息子、高岳親王(たかおかしんのう)が乳人に伴われて現れると平城帝は明らかに相好を崩して「おいで」と高岳を呼ぶと高岳は元気よく駆け出して、父帝の膝に座った。

「父上、わたしの字を見て下さい!」と高岳は手習いの紙を広げて父の眼前に押しつける。
「おお、おお…ためらいの無い堂々とした字だね。なあ尚侍、阿保は人見知りで引っ込み思案な子だが、幼いのに時々鋭いことを言う。驚かされるよ」

と平城帝は傍らに控えていた薬子に軽い口調で話しかけた。

「人見知りなのは用心深く賢い御子だという証です。阿保さまは帝によく似ておいでです」
と口元に微笑をたたえて薬子が答えたので気を良くした平城帝は
「なあ…甘南美(かんなび)との結婚話だが、受けることに決めた」
と最愛の女人に振り返ってから告げた。桓武帝の皇女、甘南美内親王の母は薬子の妹、藤原東子で薬子の姪に当たる。身元も血筋も、天皇の后として申し分ないのだが…

「なれど甘南美さまはまだ6才。この縁組は兄の仲成が推しているだけで」と口ごもる薬子に「いいのだ」と平城帝は言い切った。

「いまさっき我が子に幼な妻を押しつけて政略結婚の必要を説いた朕が、それをせぬ、という訳にはいくまい…なあ薬子」
「はい」
「この高岳の母は代々伊勢神宮の造営を務める伊勢氏の娘の継子(つぎこ)だ。もし伊勢氏の血を引く高岳が天皇になれば天津神の怒りは和らぐのだろうか?」

「そ、それは…いち宮女の私には解らないことです」
と薬子は目を伏せた。前の斎王で平城帝の妃、朝原内親王に毒入りの酒を注いだ時それを見抜いた朝原の霊力と「飲みなさいよ」と平然と毒酒を突き返す胆力と、

もし後宮の女たちに何かがあれば、尚侍の不始末として責任を取って貰いますからねという宣戦布告ともとれる言葉を思い出し、身震いしたからだ。

神や仏などは無力で愚鈍な民か血筋がいいだけのお飾りの帝を操るだけの道具でしかない。

いいか?見えないものは、利用するためにあるのだ。

結局何も信じない者が最後に生き残るのだ。

と父、種継は常々言っていた。

藤原の者は神々の系譜に、藤原の先祖もその中にいた。
と高祖父の(ふひと)(藤原不比等)が古事記をはじめあらゆる史書を改竄したおかげで今の地位を得ている訳だから、種継の言葉はある程度真実なのだろう。
しかし…

父種継は、より現実主義者だったあの男、山部王こと桓武帝に殺されてしまったではないか。

むしろ藤原の者は、見えないものに利用されているのではないか?
と父の横死以来そんな考えがふと頭をよぎる薬子であった。

「さいわい春宮である神野にはまだ皇子が生まれていない。後継のことについてはいずれ神野と話をつけねばな…」

そう言って高岳に手習いを教える平城帝の横顔は、目だけ異様に光らせて笑っていた。

どうして父上は、後宮を汚して追放された女、薬子を傍に置くのか?
どうして父上は、大勢いる子らの中で弟の高岳ばかり溺愛するのだ?
どうして父上は、臣下の不評をお耳に入れていながらもちっとも反省なさらぬのか?
どうして父上は、天皇という至尊の地位にありながら藤原式家のいいなりになってらっしゃるのか?

どうして…と自問し続ける阿保の心中は父、平城帝に抱いている情けなさやら恥ずかしさやらの憤懣やる方無い気持ちがごちゃ混ぜになって、従者が戸惑う程の早足で庭園を歩いていた。


皇子として生まれて、周りの者たちは形だけは皇子さま皇子さま、と丁重に扱ってくれるけど、と阿保は池を泳ぐ鯉の群れに目を落とした。

さっきの結婚話といい、結局皇族というのは何一つ自由にできない人間たちの総称ではないか!と若い皇子は怒りをそのまま行動に移し、ひときわ白く大きな鯉に向けて石を投げた。が、鯉はするりと躱して白い飛沫が上がるだけ。
その瞬間、阿保の中の抑圧の蓋が弾け飛んだ。

「おやめくだされ、親王様!」と従者が止めるも「うるさいだまれ!」と阿保は石を投げ続ける。

ちくしょうめ、ちくしょうめ…何一つ思い通りにならないなら、こんな現世めちゃめちゃになってしまえ!阿保はさらに大きな石を持って白い鯉に狙いを定めたその時、

「こらっ!」とひときわ鋭い叱責の声を耳元で浴びた。

「どこの貴族のばか息子か知らんが、その池の鯉は内裏のものであり、国のものだ。国の財産に手を掛けた罪でどう罰してくれようか?」

と強い力で腕を掴み、我に帰らせてくれた衛士(えじ)(当時は近衛兵)の顔を見て阿保は「あ、安世叔父上」と声を上げた。
「なんだ阿保さまではないですか…怒鳴ったりして失礼いたしました」と衛士大尉、良峯安世は阿保に向かってうやうやしく無礼を詫びた。

あの馬鹿な兄帝の子にしては、大人しいが出来のいい皇子。

と安世は阿保のことを認識していたので先程の阿保の自棄な行動から、ははあん、さては何か理不尽な目にでも遭ったのではないか?と思い至り、

「阿保さま、今日はこの後ご予定は?私は東宮に行く用事があるのでご一緒しませんか?」と優しく阿保を誘った。
「いいのか?」小さい頃よく一緒に遊んでくれた神野の叔父に会える!と思った阿保は目を輝かせた。


ひとしきり阿保の愚痴を聞いてやった春宮神野は急に軽やかな声ではっはっはっは!と手を打ち、笑い出した。

「な、何がおかしいのです!?叔父上」
「いやあ…三才の伊都と結婚させられるとはねえ。昨夜の私よりも不運な皇子がいたか、と思うと哀れやらおかしいやらで…」

昨夜、神野は二人の姫を妻に迎えた。
一人は百済王慶命(くだらのこにしききょうみょう)といい寵愛する貴命の姪で年は14才。渡来人特有の彫りの深い顔立ちをした華やかな美少女である。
「慶命といいます。一身にお仕え致します…」

と長い睫毛を伏せて慶命が一礼する隣でそれを真似て「藤原緒夏(ふじわらのおなつ)でございます」と自己紹介した右大臣、内麻呂の娘は…
「緒夏どの、年はいくつにおなりかな?」と笑顔をひきつらせた神野の問いに
「はい、10さいにござります。なにごとも春宮さまのおおせにせよ、と父から言いつかかってまいりました!」
と幼い姫は幼いながらにきりっ、と顔を上げて堂々と挨拶をした。
「では、緒夏。今宵は疲れただろうから早く寝なさい」
「はい!」
もちろん神野はその夜は慶命と床を共にした。

叔父上の結婚相手は10才…
と絶句した後で阿保は「右大臣はいったい何を焦っているんでしょうか?娘に皇子を生ませて外戚になるのが貴族の出世の道でしょうが…あと5年は待たないと」と首をひねった。

「藤原の他の分家に負けたくないのさ、阿保。お前は南家、私は北家、そして…帝は式家の甘南美と縁付く」

父上が、薬子の姪の甘南美さまと?

それは阿保には初耳だった。
「それは、式家が天皇の外戚になる事ではないですか…父上はどうしていちいち式家の言いなりになるんだっ!」

あれは7才の頃、父と薬子が息を弾ませて抱き合う光景を間近で見た事がある。

自分は幼かったので父と薬子が何か格闘し合っているのか?父か薬子のどちらかが殺されてしまうのではないか?と思うと恐ろしくなり、慌ててその場から逃げ出したのだが…

10才を過ぎた頃にあれは、男女のことだった。と初めて知った。

その頃には薬子は不義密通の罪で宮中から追放されていたし、父上は自分の母の葛野藤子や高岳の母の伊勢継子を寵愛していたので過ぎたことだ、と思っていたが…

「祖父、桓武帝の崩御の翌日に薬子を宮中に呼び出すとは…愚かにも程があります!父は、天皇になる以前に人として我慢をすべきところを出来ない性分なんですっ」

と阿保が吐き出したところで神野は急に強張った顔つきになり
「阿保」
「はい」
「いま言ったこと、決して私や安世以外に言ってはならないよ。みだりに本音を言って失脚したり死に追いやられた先人はいくらでもいるからねえ。特に、皇族の言葉は重いんだ。気を付けよ」

阿保は急に今までの放言が恥ずかしくなり、「はい…」とうなだれた。

「いやあ、阿保さまは元服したばかりなのに宮中の状況を把握してらっしゃる。聡いお方だ。ねえ、春宮さま」

この皇子は使えるぞ。と安世は神野に目配せをした。

使えるな。と神野は目線で返し、
「なあ阿保、私はずっと東宮にいるため、兄上の政の詳しい状況が解らないんだ。次の天皇になるになるためにはもっと学ばなければならない、帝に近い人物が私に色々教えてくれると有難いんだが」

と神野は不満だらけの甥に手を差しのべた。

阿保は叔父の優雅な振る舞いに
これこそ、皆から尊敬される天皇としてのあるべき姿を見た気がした。

「はい、喜んで」と叔父の手を取った瞬間、阿保は神野の密偵となった。

































































ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

空海、本名は佐伯真魚。香川県善通寺市出身の裕福な豪族のせがれ。学業優秀で長岡京の大学寮に入るが、そこで遭った悲劇が彼を仏門に向かわせる。

嵯峨天皇(神野親王)桓武天皇の第二皇子。

問題だらけの平安京に真の平安をもたらす名君。空海とは生涯の友になる。欠点、浮気性でパリピ。

橘嘉智子

嵯峨天皇に最も愛され、橘氏出身の唯一の皇后となる。仏教への傾倒は人生から逃げる術。

私は和気清麻呂。「これから起こる悪い事全部怨霊のせいにしちゃいましょう」と御霊信仰の悪知恵吹き込みました。

本音?桓武帝が起こした人災だろーが。

藤原薬子です。後に悪女呼ばわりされる私も言い分いっぱいあるんですのよー

嘉智子さまお付きの女童、明鏡です。薬子登場でなんだか不穏な予感…

空海に山岳修行教えた勤操ですぅ〜。時々奈良仏教の中間管理職としてぼやきます。桓武帝と戒明じいさんとの因縁ってなんやろな?


役行者六代子孫にして作中最もヤバいおっさんタツミ登場。わし空海のエグい修行生活のはじまりです。

新キャラ藤原葛野麻呂、空海を唐に連れて行く貴族です。私の顔は東寺の帝釈天像がモデルです。イケメンですよー。

兄貴、自分の息子の誕生祝いで不倫ばれてんじゃねーよ…って親父に対して正論で返してるし!義理の叔父、田村麻呂初登場。

by嵯峨帝

ふっふっふ。俺様は修験者の頭タツミ。真魚よ、よくぞ試練を乗り越えたな…っていつまでも妻の手握ってんじゃねえ!

若き日の坂上田村麻呂も絡む平安ミステリー、藤原種継暗殺事件の真相です。


最新話まで話を読んできた登場人物全員の心の声


「そりゃ祟られるわ!!」

実在した前の遣唐使僧、戒明です。史実上の真魚との接点は不明です。唐から偽経を持ち帰ったとして失脚してた私の名誉回復をしてくれたのは空海だから最初に出会った師として登場。

荒行の末に悟ったもの。仏性、すなわち人の心なり。善行も悪行もそれを行う人の心次第。

やっぱりわたくし、親王さまを好きになっていたのね。(浮気者だけれど)

多治比高子です。嵯峨帝側室として寵愛された理由はインテリだった設定。

あれ?「あの四重奏ドラマ」のエンディングシーンみたいなことしてない?

三行指帰現代語訳コント風、はじまりまじまり〜

何これ⁉︎空海の書いた話おもしれーじゃん!と吠えて宮女に叱られる神野。三教指帰は日本初の小説と呼ばれる。

空海、実家に帰る。真魚が一番可愛いお母さん。激烈お兄ちゃん、実家あるあるな心配するお父さん。

空海の実家をそのまま父親の名前にしたのはオヤジ、ありがとう…グスッ(泣)の気持ちやったんや。

後の法相宗のトップにして東日本に仏教を伝える男、徳一の本心。

高雄山寺プロレス回。奈良仏教の裏番長、実忠しれっと初登場。

やっと最澄登場。美坊主泰範のせいで既に不穏な比叡山寺。

ある意味最強キャラ、朝原内親王登場。

飛べない小鳥、から明鏡の出生の秘密編へ。

尚侍明信の罪は亡国の姫、明信の若き日の過ち。

「陽の下の露」冬嗣の長男、藤原長良誕生。ちなみに薬子と葛野麻呂の不倫関係は史実です。

「風が吹く」遣唐使に選ばれなかった空海に起こったありえへん奇跡。それにしても徳一口悪ぃな。

桓武帝が仏教勢力を叩いた理由は脱税摘発のため。しかし宗教法人を使った脱税って1200年経った今でもやってますなあ。

「受戒」どーもどーも、三論宗のアイドルにして空海の頭を剃った勤操ですぅー…ってじいさんどないしたー⁉︎

最初の師戒明との別れ。わし、行ってきます。

「船乗り星」朝廷も一目置く宗像氏の濃いマダム登場。

どうもー、空海を唐に送り最澄を唐から連れ帰ってながらも後世にほとんど知られていない葛野麻呂。ここでは準主役です。

徳政論争回。現実的にこれ以上の東国進出は無理だった。徳川家康の次に鷹狩り好きな歴史上の人物として有名な桓武天皇の最後の鷹狩り。

仙境天台山、思えばこのひと時が最澄の一番の幸福だったかもしれない。

「崩御と即位」皇帝陛下の崩御と新皇帝の即位に立ち会っちゃった俺って持ってる〜。からの、カネが無いから2年で逃げ帰れ命令。

「聖俗同船」帰国できなかった遣唐使もいるんですよ…葛野麻呂の最澄へのツンデレっぷりをお楽しみ下さい。

「密の罠」帰国した途端最澄に降り掛かる悪意。

平安京を開いた帝の最期。これから不穏な平城朝が始まるー

秀才、橘逸勢にトリプルの悲劇。留学生たちの寂しさを癒す楽の音。

恵果と戒明との邂逅から三十年。やっと後継者に出会えた恵果。

まるで唐密教の滅びを予測していたかのような恵果の発言。実際にそうなります。

「遍照金剛」かくして遍照金剛空海誕生。で、何で俺様がナレーション?

「柳枝の別れ」長安出立前夜に明かされる霊仙の正体。次回から日ノ本、平城朝編。

「平城朝」最後の薬子の表情は読者さんのご想像にお任せします。

「春宮神野」

宮中も 女子回なければ やってらんない

by明鏡 字余り

「天皇の侍医」官僚として、医師として苦労する弘世の人生が始まる。

「謀」とうとう粛清に向けて動きだした薬子。朝原内親王、神野に迫る毒殺の危機。

「比叡山夜話」最澄に迫る危機。平城帝の悪意。

「翡翠の数珠」空海のせいでまた逸勢がヒドい目に遭うお話。

「阿保の本音」父平城帝への不信感が募る阿保親王。後に彼と妻の伊都内親王から生まれたのが在原業平。

前半の薬子の兄、仲成が起こした暴行事件。これ史実です。後半の勤操の述懐は創作ですが。

「咎人空海」空海、やっと帰国。あの三姉妹再び登場。

「海辺のふたり」空海だけを都に帰さなかった藤原縄主の思惑とは。この時代、芋粥は極上スイーツ扱いでした。

「白雪」兄帝の危険性を思い出す神野。

「神泉苑行幸」策謀に満ちた宮中。筑紫で布教を始める空海に届いた悲報…

「藤原家の毒薬」いつの世も女の仕返しって陰湿なのよねえ。

「譲位」嵯峨天皇が即位した夜に明かされる伊予親王の死の真相。冬嗣の胸に去来するのは怒りか、諦めか。

「実ちて帰る」主人公2人がやっと初対面。次回から第3章「薬子」のはじまり。

わたくし藤原薬子が主役の章、「薬子」、開始ですわよ。空海阿闍梨、神野の坊やとの初謁見でいきなりド不敬発言。

「橘の系譜」女性天皇が女性の部下に姓を与えた女性が始祖の橘家。

明鏡、家族と再会し、そして母になる。

「背徳」性描写あり。そして、薬子は悪女になった。

「真言の灯」最澄さまの千利休感と人手不足の密教。ある事で滅多になくブチ切れる空海。

「宮女明鏡」嵯峨後宮ベビーラッシュ。身籠った明鏡がこれまでの人生を振り返る。

「阿修羅」、怒らせるとシャレにならないレベルで怖い空海のダークサイド。

「東国の勇者」アテルイ回前編。13000vs500で朝廷軍にに勝利した巢伏の戦いと田村麻呂との対話。

「王の器」アテルイと田村麻呂の物語、後編。胆沢制圧戦後のアテルイ、田村麻呂、桓武帝。

真の王の器は誰にある?

どぅもー、宮中のイケオジ葛野麻呂です。「負の遺産」、宮女同士のマウントバトルが怖ぇわ…

「征夷大将軍殿の憂鬱」田村麻呂、愛妻とのフルムーン旅→ヒリヒリするような駆け引き。

「小鳥立つ」明鏡、13年ぶりに父との対面で思い切った決断を告げる。そして運命の子は誕生した。

「火の継承」

この時代の年明けのお祭り、修二会。ググった結果検索トップがさだまさしの「修二会」だったので公式の自分がまさしに敗けて悔しい実忠。

「智泉の祈り」

嘉智子さまへのマタハラ案件、「皇子を産め」とのたまう橘家の兄君たちにブチギレる空海阿闍梨。

「豪奢なる遁甲」嵯峨天皇vs平城上皇最後の争いが万葉サーカスの歓声の中始まる。


この回から三人目の主人公、ソハヤ登場。

「私刑」

池波か!とツッコミ上等な回。法具を本来の目的(明王の武器)で使う空海。

「なるほど、これがお役所仕事か」by嵯峨天皇

「隘路」、暗殺者集団土蜘蛛vsタツミ率いる修験者たち。薬子の変クライマックス前編。

「火宅」一万字越えの大作です。嵯峨天皇vs平城上皇最後の戦い後編。


藤原薬子と語らう老婆の正体は…

「徒花散る」失脚がそのまま死に繋がる全然平安で無かった平安初期の、最後の政変。


勝ってもあまり嬉しくない戦いでしたね…


by田村麻呂

第3章「薬子」終わり。後ろ暗い取引をしてもカッコいい俺様であーる。


by修験者タツミ

第54代仁明天皇こと正良誕生でおめでたい事からはじまる弘仁元年。

「弘仁おじさん」と呼ばないで。

by藤原冬嗣

明けましておめでとうございます。嵯峨天皇の叔母にして宮中屈指の美魔女、酒人内親王です。ここぞとばかりに気合い入った命婦たちのファッションと空海vs朝原の新春disり合い回で御座います…

若い頃の実忠さまはやさぐれていたなあ。

この世でやるべきこともやったし…じゃあね!

by和気広世

嵯峨天皇の兄、良岑安世の恋人の真名井でございます。「九条にて」はさあ、これから庶民と渡来人たちが活躍する平安アンダーグラウンドな物語の幕開け。

空海in伊勢神宮。朝原内親王より託されたとんでもない密命。

エミシ最後の戦士、ソハヤの人生のはじまり。

前半、終了。

険しい高野の山道を抜けるとそこは…異文化レベルの集落だった。

「丹生一族」パツキン彫金師、ムラートです。今回は丹生一族と秦一族と高野山のお話。



奈良の大仏建立時の人に言えない過去。老いた僧ほど暗い秘密を抱えているものなのですよ。

by実忠

「集光」実は、この話で作者は話を終わらせるつもりだったのですが、取材で高野参りをし、そこの宿坊でご住職の説法を聞いた時に「物語のラストシーン」が頭に浮かびあと50話位書く事に。

「田口三千媛」今では虐待と言われる育てられ方をされたと思います。訳を聞かされて納得しても、無理に許さなくてもいいのよ。

「弘仁格式」100年ぶりの法改正にとりかかる嵯峨帝。謎の美僧、泰範の師に対する本音。

平城上皇が会いたかった東大寺の重鎮、実忠の昔語り。前編。光明皇后に仕えた日々。

「光の時代、後」実忠の過去の話。

後半は道鏡事件の真相。

遊女真名井の人生の転機。家族との再会と共に恋人との別れを覚悟する。

「軛」

丹生のシリン姫の花占い。「来る、来ない。来る、来ない…来たあー!」

「灌頂」

死んで生まれ変わりたい気持ちで空海に会いに行った泰範。

最澄はんの「泰範、行かないでくれ」

の熱烈な文が歴史的資料として残っておます。

by空海


ぐすっ、ぐすっ…生きながら生まれ変わる事って出来るんやな…


by泰範

「信源氏」日本史最初の源氏、源信です。あのね、四さいの時にお家(宮中)から出されて明鏡お母様と離されてしまったの。


信源氏物語のはじまりはじまり〜。

高野の麓、天野の里に帰ってきたムラートです。妹の結婚式がゾロアスター教通りの儀式だと⁉️


天野わっしょい物語をお楽しみに。

嵯峨帝と正妻高津内親王との離婚の真相に迫る「高津退場」後宮サスペンス回。

橘嘉智子、立后のお話。

「わたくし、覚悟を決めました」

「常の白珠」

延暦十五年四月(796年5月)、日の本初の公然セクハラ&パワハラの記録でございます。

by明信

あの時は恥ずかしい思いさせてごめんよ…まだ怒ってる?

ねえ明信、こっち向いて(焦)

by桓武帝

お二人とも、犬も喰わない痴話喧嘩を板上でやらないで下さいまし。

by葛野麻呂

「わし、とうとう最澄はんと絶交する覚悟決めました」

空海を本気でブチギレさせた最澄の言動。


そして、高野山開基に向けて動き始める弟子たち。

「高野」

私ムラート、生まれも育ちも高野山でございます。このお山の自然の洗礼に遭う実叡と泰範。

高野を舐めちゃあいけねえよ。


なぜか寅さん口調。

「時鳥」

小野篁初登場回。そして、現世での役目を果たした巫女との別れ。

「落花宴」

民を食わせるために働いた藤原、葛野麻呂の最期。日ノ本初の茶事と花見の宴の記録。



「拠り処」

天皇皇后だってもふもふふくふくで癒されたい。徳一、東国に進出宣言。

「橘秀才」

「弘法も筆の誤り、って肝心な時に大ポカをやらかすって事なんだね」

古今随一の芸術家となった逸勢、空海にツッコミを入れる。

「シリン都に行く」

はーい、私は高野山の麓天野の里に住む主婦シリン。夫に下された辞令で子供たち連れて平安京へお引越しですって⁉️ドギマギしちゃう!

…って魔法少女みたいなあらすじ紹介でいいのかしら?

「篁」

ちーっす、小野篁でーす。僕の風評「なんだかすげえ奴」みたいに言われてるけど、嵯峨帝に出会った頃は脳筋の野生児でしたよ。

「一隅を照らす」

最澄、最期のことば。戒壇認可を遅らせた嵯峨帝の真意。


そして、たそがれ空海。



「進士篁」

ちーっす!篁っす!それでは一句。


竹の子(篁)が ドラゴン桜(三教指帰)で サクラサク


物語の主人公空海阿闍梨から僕に交代っす!

白秋の章、「嵯峨野」のはじまり。淳和帝即位。遡って嵯峨帝による黄櫨染御袍プロデュース秘話。

「正子と正良」

嵯峨上皇と嘉智子お母様の息子、正良(後の仁明帝)です。十四で結婚したお嫁さんが可愛過ぎてキュートなハートにズキンドキン!です。

「祈雨(きう)」

元服した源信信です。空海阿闍梨による伝説の雨降らしの祈祷の裏に蠢く大人たちの陰謀に、

うわあああ…

皆さんお久しぶり。田村麻呂です。平安初期の貴族たちは麻呂麻呂っなくて武士武士ってたんですよ。


ごきげんよう、小野篁です。

(官吏になったのでパシリ口調はやめました)

今回は私のルーツとソハヤ、シルベに隠された秘密が明かされる回です。

「在るがまま」

平城上皇の第三王子、高岳親王です。今回は父の最期の想いと私の出家の物語。


◯ウケンシルバーのモデルになった私の人生の出発でしたねえ。

「哀しい哉」

このエピソード書くために作者、高野山にお参りに行き智泉の御廟(お墓)に手を合わせました。

「天長二年の旅立ち」

久しぶりの金髪仏師ムラートです。東寺の立体曼荼羅完成秘話。あの時の空海さんは某劇作家か!って位ダメ出しして来て参りましたよ…


そしてラスト主要人物、在原業平初登場。

「夫人たちの夏」嵯峨帝の側室、藤原緒夏です。後宮で生きる憂鬱と高子さまとの友情の回。


「頭の冬嗣」

今年の◯河はやり過ぎちまった私の愚孫どものいざこざですが一人ちゃんと遺言を守った奴がいたようです。

「心の中の明王」

篁と徳一の出会い。東国にて。

空海と最澄を支援した破天荒僧侶、勤操の最期。さよならだけが人生や。

喫茶去(きっさこ)は禅語で「ま、茶でも一服」の意味。人生最後の対面を惜しむ主人公二人。

「光明」全ての務めを終えた空海の眠り。次回から次世代編へ。

「流人篁」百人一首で有名な「わたの原」から始まる篁の反骨最骨頂行動と流人生活。


ちゃっかり現地妻作ってました。

「落日」

葛野麻呂の息子で遣唐大使、藤原常嗣サイドの最後の遣唐使節の行程。


支援者の張宝高は新羅の海将で外交官で大商人。

この回のゲストは唐代の大文人。

「円仁の旅・使命」

どうも、遣唐使団からバックれた不法滞在僧侶の円仁(最澄の弟子)です。私の9年以上に及ぶ旅はいきなりホラーな展開から始まります。

実質、最後の遣唐使である円仁の旅の後編。空海より託された三つの遺言は果たしたものの武宗による仏教弾圧を受ける苦難の復路。オカルトな場面あり。

「胡蝶」

「胡蝶の夢」になぞらえた常嗣の帰国後の辛い立場と責任を感じる篁。二人とも苦しんだんだ。

「観月」

嵯峨上皇が家族たちにそして遥か未来の子孫に向けて述べた言葉。

人生最後の観月の宴。



「草木のままに」

我が夫、嵯峨天皇の最期。お休みなさい、あなた…


あと10話で完結です。

最終章「檀林」、それはカリスマ嵯峨天皇が去るのを待っていたかのように始まった粛正の嵐。

承和の変。三筆最後の一人逸勢の退場。

「繭」政変で息子、仁明帝の行いと本心を知った皇太后嘉智子の絶望。

「反骨の種子」政変の真相を知った篁の決意と、蹂躙される政変の敗者の家族たち。

昔男、と呼ばれたチャラいクズ。在原業平の奔放な恋の本心は…な回。

「椙山にて」この日、エミシの武人親子三代の真相が知らされ祖父の願いがシルベに託された。

「橋を架ける」

言葉を大事にして秩序を保つのも、言葉をぞんざいにしてこの世を地獄同然にするのも全て、人間の行いなのだと思います。


この国の教えの百年先を見越して禅僧を呼び寄せた国母、橘嘉智子。

「参議篁」

私の少年期から始まる篁四部作これにておしまい。良房の企みなんて知ったことかよ。

「襲撃」

日本初の警察機構である検非違使に務める下級役人、志留辺の人生の転機。

「桜」宮中編「一代限りの橘」の物語、これで終わりでございます。

この長い物語、次回の「平安時代」で完結です。



「平安時代」さてさて、ラストシーンで新しいバディが組まれ、彼らの本当の人生が始まります。


皆が知っている「平安時代」はこれから始まるのです。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み