第33話 雲の上の教会 教会の鐘の音

文字数 997文字

 ぽーは、教会の倉庫(そうこ)から雲の上の教会に(もど)ってきました。そして、小夏(こなつ)ばあさんからもらったヒモを、ハルじいさんに(わた)しました。

 ハルじいさんは、ぽーに言いました。
小夏(こなつ)ばあさんは、元気(げんき)にしてたかい?」 
「うん。もうすぐ家にかえれるって、言ってたよ」
「そうか、そうか。それは、よかった」
小夏(こなつ)ばあちゃんは、とっても元気(げんき)におしゃべりしてた」
「あっはは。相変(あいか)わらずじゃな、小夏(こなつ)ばあさんは。よし、作業(さぎょう)をするかの」
 そう言うと、ハルじいさんは大きな(かね)の中に入っていきました。

 
「そして、このヒモにオモリをつけて、ぶら下げてと……」


 カラーン♪ コローン♪  

 カラーン♪ コローン♪


 きれいな(かね)の音が鳴り始めました。

「やったぁ♪ でも、このかねの音を聞くと、おやつをたべたくなっちゃうよ」
 ぽーは、ポツリとそう言うと、こっそりと小夏(こなつ)ばあさんから(もら)ったお菓子(かし)を食べました。

 モグモグ、ポリポリ……

「うまいっ!」
 思わず、ぽーは言葉(ことば)に出してしまいました。

「こりゃ、ぽー。こんなとこで、菓子(かし)を食べてはだめだぞ」

「えへへ、ごめんよ。じいちゃん」

「まったく……ふふふっ、あはは」

 (あわ)てて菓子(かし)を食べたぽーの口のまわりには、べっとりとチョコーレートがついていました。それを見て、ハルじいさんは(わら)ってしまいました。


 そして、(かね)修理(しゅうり)()わり……

「よし、よし。これでいいじゃろ」
「やったぁ、おわったぁ♪」
「この(かね)はな、ママさんやぽーのような能力(のうりょく)をもったおばけが、この音でワポの実を食べに(かえ)るのを(わす)れないようにと、(ねが)いを()めて(つく)ったものなんじゃよ」
「そっか。じいちゃん、ありがとう」

「おお、ハルじいさん。ごくろうさまでした」
 赤くて丸い帽子(ぼうし)をかぶった神父(しんぷ)が、階段を上がってきました。
「とても、よい音です。さすがハルじいさんだ。またみんなが(すく)われるでしょう」
「うんうん、そうだとありがたいね」
「では、ありがとうございました」
 神父(しんぷ)は、お辞儀(じぎ)をすると階段をおりていきました。

「じいちゃん、かねがなおって良かったね」
「そうじゃな。じゃあ、帰ろうか。ほら、最後(さいご)にぽーが(かね)を鳴らしてみなさい」
「うん、やったぁ」


 カラーン♪ コローン♪  カラーン♪ コローン♪

 カラーン♪ コローン♪  カラーン♪ コローン♪


 おやつの時間(じかん)だよー♪ おばけの仲間(なかま)たち。早くワポの実を食べに家にかえりなよー♪


 やさしい(かね)の音が、おばけの世界に鳴り(ひび)きました。
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