第19話 月のうさぎ ~ママとぽー~

文字数 668文字

 これは、ぽーがまだ小さかったころのお(はなし)

 ぽーはベッドでママとお(はなし)をしています。
 (まど)からは、大きな月が見えていました。

「ねえ、ママ。あのお月さま、もうすぐまん丸になりそうだね」
「そうね。そういえば明後日(あさって)は、十五夜(じゅうごや)ね」

十五夜(じゅうごや)?」

「うん、1年の中で一番(いちばん)綺麗(きれい)なまん丸のお月さまが見える日」
「へえ……」
「その日は、おだんごを()べながら、お月見(つきみ)(たの)しむのよ」

「え……っ! ぽーもおだんご()べれるの?」
 ぽーは、うれしくて飛びおきました。

「こらこら、()なさい、ぽー」
「はーい」
「ふふふ」
「わあ、たのしみだなあ。早く、あさってになぁれ」

 ワクワク


 十五夜(じゅうごや)の日……、

 もぐもぐ
 もぐもぐ

「おだんごうまーい」
「ゆっくり()べなさい、ぽー」
「ねえ、ママ」
「ん?」
「じいちゃんは、どこに行ったの?」
長老(ちょうろう)さんの家に、お(さけ)()みに行ったわよ。お月さまを見ながらね」
「いいなあ、大人(おとな)(たの)しそう」
「ふふ、そうね」

 ぽーの目の前には、大きな丸い月が見えています。
「ママ。お月さま、まん丸だね」
「うん、綺麗(きれい)なお月さま……」

「あれ……? お月さまの中に、なにかいるみたい」

「あれはね、うさぎさんがお(もち)をついてるの」
 ママは、(やさ)しくそう言いました。
「へえ、うさぎさんがんばってるね。――あっ、そうか! このおだんごって、うさぎさんがついたおもちを丸くしたのかな」
「ふうふ、そうかもね」

「いつか、あいたいな」

「もう少し、ぽーが大きくなったら()えるわよ」

「えー、ほんとぉ?」

「うん」


「ぽーが大きくなるまで待っててね、うさぎさん」
 そう言って、ぽーは月のうさぎに手をふりました。







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