第5話 長老の家

文字数 944文字

 この日、ぽーはプールでおぼれていた男の子を(たす)けるために、たくさん(さわ)ってしまいました。ぽーの体はとても小さくなってしまい、フラフラになりながら家に(かえ)ってきました。

「ただいま、……じいちゃん」

「ありゃ! ぽー、どうしたんじゃ?」
 ハルじいさんは、ぽーを見てビックリしています。

「いっぱい、さわっちゃった……」
 ぽーは、泣きながら言いました。

「ふーむ。ここまで小さくなってしまうと、ワポの実ではどうにもならん」
「どうしよう? じいちゃん」
「うーん、長老(ちょうろう)にきいてみよう。一緒(いっしょ)にくるんじゃ、ぽー」
 ハルじいさんは、ぽーを()きかかえました。


 そして、ハルじいさんとぽーは長老(ちょうろう)()んでいる雲の家まで飛んでいきました。

 長老(ちょうろう)の家は、この(あた)りでは一番(いちばん)大きな雲の上にあります。(もん)(おく)には()()屋根(やね)の大きな家があり、家の(うら)には森があります。

 ハルじいさんは、(もん)の前で門番(もんばん)に言いました。

長老(ちょうろう)さんいるかね?」

「はい、おみえになります」
 そう言うと、門番(もんばん)は大きな木の(とびら)()しました。

 ギッ ギー

 (とびら)がどんどん(ひら)いていきます。家の(にわ)では、椅子(いす)(すわ)って長老(ちょうろう)が本を()んでいました。
「ん……? おお、ハルじいさん、ひさしぶりじゃな。将棋(しょうぎ)でもやりに来たのかい?」
今日(きょう)(ちが)うのじゃ、うちのぽーがね」
 すると、ハルじいさんの(うし)ろに(かく)れていたぽーが、ひょこっと(かお)を出しました。

「あらら、小さくなってしまったね」

 長老(ちょうろう)はぽーを見ると、()んでいた本を(となり)(つくえ)()きました。
長老(ちょうろう)。なんか()方法(ほうほう)はあるかね?」
 すると、長老(ちょうろう)は白くて(なが)い口ひげを(さわ)りながら言いました。

「そうじゃな、(たましい)(いずみ)に行って()き水を()むしかないな」

「やっぱ、それしかないか……。では、長老(ちょうろう)(わる)いが(いずみ)への(みち)()けてくれるか」
「よし、()かった。ちょっと()っておれ」

 そして、長老(ちょうろう)門番(もんばん)に言いました。
「これこれ、(たましい)(いずみ)にいる門番(もんばん)(みち)()けるように(つた)えてくれるかい」
「はい、()かりました」
 すると、門番(もんばん)(はこ)に入った白いハトに手紙(てがみ)(わた)して飛び()たせました。
「ありがとう、長老(ちょうろう)
 白いハトを見ながら、ハルじいさんは長老(ちょうろう)に言いました。

 この時ぽーは、はじめて見る綺麗(きれい)な白いハトに興味津々(きょうみしんしん)でした。


 こうして、ハルじいさんとぽーは、(たましい)(いずみ)のある富士山(ふじさん)頂上(ちょうじょう)の雲に飛んでいきました。

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