第4話 ワポの実のなる畑
文字数 1,056文字
今日は、真っ赤な太陽の下をぽーは元気よく飛んでいます。
ぽーは、暑いとか寒いといった事は分かりません。しかし、空の下から見える男の子たちや女の子たちは、水の中に潜ったり水をかけて遊んでいました。男の子たちはパンツだけです。
ここは、市民プール。季節は夏です。みんな、とても楽しそうに泳いでいます。
ぽーは、友達の笑顔を見ると、とてもうれしくなります。
「ボクも、みずあそびしたいな……」
ぽーは、動物園でペンギンが水に飛びこんでいくのを見てから、水遊びをしたくてたまりません。
そのころ……
ハルじいさんは 大忙しです。
その訳は……
今日は、ワポの実の収穫の日。ワポの実は入道雲の畑でしかとれません。
入道雲の畑は、いつも動いているので夏にしか近くにきません。
遠くにあるときは種まきや水やりをして、近くに来たときに収穫をします。
ハルじいさんは、汗をたくさん流してがんばっています。
「よしよし。今年は大きなワポの実がいっぱいとれたぞ。ぽーもよろこぶじゃろ」
ハルじいさんは、ご機嫌に仕事をしています。
そのころ……、ぽーは結局水遊びをしていました。
「だめだ! もう3回もバシャバシャしちゃった。じいちゃんにおこられちゃう」
ぽーが、そろそろ家に帰ろうとした時、どこからか男の子の声が聞こえてきました。
「――あわわ、うきわがながされちゃった……」
見ると、小さな男の子のドーナッツの形をしたうきわが、流されてしまっています。
「おぼれちゃうよぉ。たすけてぇ!」
まわりを見ても、男の子の近くにパパやママはいません。
「たいへんだ!」
ぽーは、急いで流されたうきわの場所に飛んでいきました。
「今日は、たくさんさわっちゃったけどだいじょうぶかな? でも……、あの子をたすけなきゃ」
ぽーは触りたい! と思い、うきわを取りました。
そして、男の子の近くまでうきわを持っていきます。
ポーン ポチャ
「あ……っ、うきわがもどってきた。でも、だれがもってきてくれたんだろう?」
プールには人がたくさんいて、だれが助けてくれたのか、男の子には分かりませんでした。
「ああ、よかった、よかった。気をつけてね」
ぽーは、ほっと一安心です。
すると、カラーン♪ コローン♪ という鐘の音が、雲の上の教会から聞こえてきました。
「あっ、おやつのじかんだ」
今日は、たくさん触ってしまったので、ぽーはとても小さくなっています。ハルじいさんが、とってきてくれるワポの実を食べるために帰ることにしました。
ぽーは大丈夫かな。ちょっと心配ですね。
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