第14話 おばけがおばけ屋敷に入ったよ

文字数 2,155文字

 おばけのぽーは、今日(きょう)もママを(さが)すため、雲の階段(かいだん)をおりて小さな冒険(ぼうけん)に出ています。

 今日(きょう)は、小さな電車(でんしゃ)()(もの)が、ものすごい早さで(はし)っていたり、キラキラした屋根(やね)の下で、おもちゃの(うま)馬車(ばしゃ)()った友達(ともだち)が、上下(じょうげ)(うご)きながらゆっくりと回っているとても(たの)しそうな場所(ばしょ)にやってきました。

 ここは、町はずれにある遊園地(ゆうえんち)今日(きょう)日曜日(にちようび)なので、たくさんの友達(ともだち)でにぎわっています。

「うわぁ……、たのしそうだな。ともだちも、みんなわらってるよ」

 ぽーは、友達(ともだち)(よろこ)んでいるのを見るのが大好(だいす)き。とてもワクワクしてきました。


 (すこ)(すす)んだ(さき)では、赤や黄色の飛行機(ひこうき)(かたち)をした()(もの)が、空中(くうちゅう)で上がったり下がったりしながら回っています。()っている男の子たちは大喜(おおよろこ)び。飛行機(ひこうき)についている赤いボタンを()すと、バンバンバンと音がなっています。

「それ、それ。うてーうてー」

 バンバンバーン

「こんにゃろお。やったなー」

 バンバン

「あはは」


「うわぁ、(たの)しそうだなぁ」
 ぽーは、うらやましそうに見ていました。


 そして、いつの()にか、ぽーは飛行機(ひこうき)一緒(いっしょ)にグルグル回りながら、飛び(はじ)めました。

「あはは、わーい、わーい」

 バンバンバーン

 男の子が、攻撃(こうげき)ボタンを()しました。

「あぶない! よし、よけたぞー」

 ぽーは、音が()るとすばやく()げて、そして友達(ともだち)飛行機(ひこうき)体当(たいあ)たり。(とお)()けてしまいますが、ぽーは攻撃(こうげき)した気になっています。

「わーい、やっつけたぞ。やったぁ」
 飛行機(ひこうき)()(もの)がゆっくりと止まると、ぽーはやっつけた気になって大喜(おおよろこ)びです。

 それから、また遊園地(ゆうえんち)をキョロキョロしながら飛んでいます。



 ……すると、どこからともなく女の子の()(ごえ)が聞こえてきました。

「うえーん、こわかったよぉ」

「ん? どうしたんだろう?」
 ぽーは、女の子の()(ごえ)が聞こえる場所(ばしょ)まで飛んでいきます。

「パパなんて、だいっきらい! こわくないって、言ったのに」
 女の子は、黒色(くろいろ)の家の前で、パパに()きながら(おこ)っています。
「ごめんよ。ひな」
 ひなちゃんのパパはそう言ってあやまっています。
「ほらほら、ひな。ソフトクリーム()ってあげるから、あっちのお(みせ)に行こ」
 ひなちゃんのママは、ひなちゃんの手を()いています。
「二つ()べるからね!」
 そして三人は、ソフトクリーム()()にむかって(ある)いていきました。


 そうして、ぽーは()(くら)な家の中に入ってみることにしました。

「きゃーーー!」
「こわい! (たす)けてぇ」
「うえーん、もう行きたくないよお」

 家の中は、友達(ともだち)()(ごえ)や、ビックリした声がひびいています。
 ぽーはそれを聞いてると(こわ)くなってきました。

「でも、友達(ともだち)をたすけなくちゃ。ないてる子もいるし……」

 ぽーは、勇気(ゆうき)を出して暗闇(くらやみ)の中を(すす)んでゆきます。

 (すこ)(すす)んでいくと、男の子が一人(ひとり)と女の子が二人(ふたり)一緒(いっしょ)(ある)いていました。女の子の一人(ひとり)(いま)にも()きそうです。

「けんた! (ある)くのが早いよ。もう(すこ)しゆっくり(ある)けよ」
 元気(げんき)な女の子が、けんたくんに(おこ)っています。

「うるせえなあ。ゆみが先に行けよ」
(わたし)(いま)、まりちゃんと一緒(いっしょ)(ある)いてるんだよ!」

()かった。ぽーが、まりちゃんを(まも)ってあげるよ」
 そう言って、ぽーはまりちゃんと一緒(いっしょ)(すす)んでいきます。


 ……しばらく(ある)いていると、突然(とつぜん)パッと光って、大きな(こわ)(かお)をしたおじさんが出てきました。

「うわっ、こわいな」 

 ぽーは、(おどろ)いて(すこ)し飛んでしまいました。

「でも……、なんだろう? ここは」

 草がたくさんはえた場所(ばしょ)から出てきた(こわ)(かお)のおじさんは、また(くら)くなって草の中に(もど)っていきました。

 そして、さらに(すす)んでいくと、通路(つうろ)(よこ)にある(こわ)れそうな(はこ)突然(とつぜん)(ひら)いて、(くび)(なが)い女の人が飛び出してきました。

 ガッタン

 ヒュウウウ……


「ひゃああああああああ」

 ぽーはビックリして、すごい(いきお)いで飛んでしまいました。

 下を見るとまりちゃんが()いています。

「ごめんね、まりちゃん……」
 ぽーは、とてもバツが(わる)そうです。


 そして、天井(てんじょう)から見ていると、まりちゃんたちが(すこ)(すす)んだ先には……


「うわぁ、大変(たいへん)だ! てんじょうから大きなかいぶつが、おちてくるぞ。でも、どうすればいいんだろう?」


 ぽーはしばらく(かんが)えて、そしてなにか思いつきました。

「あっ、そうだ。けんたくん、ごめんね」

 そして……、けんたくんを(うし)ろからポンっと()します。


「うわああ!」


 けんたくんは(おどろ)いて(はし)って(すす)んでいってしまいました。

「こらっ、けんた! 先に行くな!」

 ゆみちゃんが言うのと同時(どうじ)に、天井(てんじょう)から大きなおばけの人形(にんぎょう)()ちてきました。

「――うわぁっ、ビックリした」

 先のほうから、けんたくんの(おどろ)いた声が聞こえてきます。


 そして、二人がけんたくんに()いついた(とき)には、大きなおばけの人形(にんぎょう)(もと)場所(ばしょ)(もど)るところでした。

「よかったね、まりちゃん。あれがとつぜんおちてきたら、ビックリするところだった」
 ぽーは、ホッと一安心(ひとあんしん)です。

「けんた、ありがとね」
「まあ……、ま、まかせとけ」

 まりちゃんに感謝(かんしゃ)されて、気分(きぶん)がよくなったけんたくんは、その(あと)はまりちゃんをしっかり(まも)って出口(でぐち)まで行きました。


「それにしても、こわかったな。ん……? なに? 『おばけやしき』って、かいてあるな。おばけ? ……おばけは、こんなにこわくないぞ!」


 ぽーは、プンプン(おこ)っています。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み