第2話 おやつの時間

文字数 930文字

 おばけのぽーは、今日(きょう)もママを(さが)しに、雲の階段(かいだん)をおりて小さな冒険(ぼうけん)に出ています。

 ハルじいさんとの約束(やくそく)で、おやつの時間(じかん)には家に(もど)ってきて『ワポの実』を()べなくてはいけません。


 その(わけ)は……、
 ぽーは「(さわ)りたい!」と、(つよ)く思うと(もの)(さわ)ることができるのです。
 ただし、(もの)(さわ)ってしまうと、ぽーの(からだ)はどんどん小さくなって、やがてなくなってしまいます。
 それを回復(かいふく)してくれるのがワポの実。綺麗(きれい)なだいだい色の丸い形をした果物(くだもの)です。

 今日(きょう)も、風船(ふうせん)が飛んでしまって、()いている女の子のためにとってあげたり、迷子(まいご)になってる子をママの場所(ばしょ)()れていってあげました。ぽーは(こま)っている友達(ともだち)を見ると、ほうっておけません。 

 そして、おやつの時間(じかん)になると、おばけにしか聞こえないカラーン♪、コローン♪という(かね)の音が、雲の上にある教会(きょうかい)から()(ひび)きます。

「あ……っ、かねの音だ。おうちへかえろう」

 ぽーが大きな(みずうみ)の上を飛んでいると、(かね)の音が聞こえてきました。



「おやつ、おやつ、おやつのじかんだよー♪」

 そして、ぽーがご機嫌(きげん)(うた)いながら家に(かえ)ってくると……

「こりゃ、ぽー。また今日(きょう)も、たくさん(さわ)ってしまったようだのぉ」
 ハルじいさんは、ぽーの小さくなってしまった(からだ)を見てビックリです。

「ごめんね、じいちゃん……」
 ぽーはシュンとしています。

「ほら、ワポの実を()べるのじゃ」
 ハルじいさんは、ぽーの(やさ)しさをわかっているので、仕方(しかた)がないな、と思いながら、ワポの実を(わた)しました。


 もぐもぐ もぐもぐ……

「ねえ、じいちゃん」
「うん、なんじゃ?」
「どうしてワポの実って、だいだい色でまあるい形なの?」
「ワポの実は、雲の(はたけ)太陽(たいよう)の光をいっぱい()びて(そだ)つじゃろ」
「うん」
「だから、太陽(たいよう)の色になっていくのじゃ」
「へえ……」
「それで、太陽(たいよう)の光をたくさん()びるために、丸くなったんじゃ」
「そっかぁ、そういえばワポの実って、太陽(たいよう)()てるね。小さな太陽(たいよう)だね」
「うんうん、そうじゃな……。さて、お昼寝(ひるね)時間(じかん)じゃ。おやすみ、ぽー」
「おやすみ、じいちゃん。早くママと()えるといいな」

 すやすや

 ぐぅぐぅ……

「さてと、じゃあワポの(はたけ)に水をやってくるかな」

 こうして、ハルじいさんは今日(きょう)もワポの(はたけ)のある入道雲(にゅうどうぐも)に出かけていきます。
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