第7話 犬のコロ

文字数 883文字

「ママいないなぁ。どこにいるのかな?」

 今日(きょう)は、雲ひとつない青い空。ぽーは、たくさんの家が(なら)(まち)
の上を飛んでいます。


 ……しばらく飛んでいると、女の子の声が聞こえてきました。

「コロ、どこにいるのー?」

 ぽーが下を見ると、女の子が今にも()きそうな(かお)で、(なに)かを(さが)しています。

「どうしたんだろう?」
 ぽーは、おりていきました。

「おーい、コロー」

 女の子は、(なに)かが()かれた(かみ)()っていました。
 ぽーがその(かみ)を見てみると、まっ白な子犬が()かれていました。

「そうか、この白い子犬をさがしてるんだな。よし! てつだってあげよう」

 こうして、ぽーは街中(まちじゅう)(さが)し回ります。


「コロどこー?」

 ぽーの声は、まわりの人には聞こえません。
 ぽーはキョロキョロしながら(さが)しています。


 そのうちに、(あた)りはオレンジ色の夕方(ゆうがた)になってきました。

「いないなあ。どうしょうかな、おーい、コロー」

「くぅーん」

 ……すると、どこからか犬の()(ごえ)が、聞こえてきました。

「ん……? コロ?」
「くぅーん」
 家と家の隙間(すきま)から、白い犬が出てきました。

「あれ……? ボクの声が、きこえたのかな?」
 ぽーは、不思議(ふしぎ)に思いました。

「コ……ロ?」

 ぽーはドキドキしながら、もう一度(いちど)コロの名を()んでみます。

「くぅーん」
 すると、コロは(あき)らかにぽーを見て、ないています。

「あれ……? ボクのことわかるんだ」
 ぽーは、なんだかとってもうれしくなりました。

「じゃあ、コロ。女の子のところまで、つれていってあげるね」


 そうして、ぽーはコロの前を飛びながら、女の子のところまでコロを()れていってあげました。

「あ……っ! コロ」

 女の子は、コロを見ると大喜(おおよろこ)びで()きついています。

「よかったぁ」
「わん、わん」
「うん、うん。よかったね」
 ぽーも、うれしそうにそれを見ています。

 すると、コロはぽーにむかって「わん、わん」と()えました。
「いいよ、おれいなんて……、じゃあね」
 ぽーは、()ずかしそうにそう言うと、空にむかって飛んでいきました。


「ふ、ふっ、ふぅーん♪」

 ぽーは、自分(じぶん)のことを()かってくれるコロと出会(であ)えたことが、とてもうれしかったようです。




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