第８話　とべるようになったよ〜ママとぽー〜

　これは、ぽーが小さかったころのお話(はなし)

「いくぞう！」

　この日、ぽーはママと飛ぶ練習(れんしゅう)をしています。

「ほら、ぽー。こっちよ……、ガンバって！」
　
　ヨイショ、ヨイショ

　…………コテッ

「ほらっ、もっと、おしりをフリフリするのよ」

「フリフリ、フリフリ、フリ……」

　フリフリ、フリフリ

　…………コテッ


「口で言ってるだけで、おしりはぜんぜんフリフリしてないわよ」

「うん、ガンバる！」
「ほらっ、ガンバって、ぽー」
「ぽーも、とべるようになりたい！」

　ぽーは、ガンバって、おしりをフリフリしようとしますが、なかなかうまく出来(でき)ません。

　フリフリ、フリフリ

　…………コテッ

「ほらほらっ、もっとおしりをふって！」
「ママ、こわいよ……グスン」
　今日(きょうの)のママは、普段(ふだん)の優(やさ)しいママではないようです。


　そこへ、雲の池(いけ)に釣(つ)りにいっていたハルじいさんが、ご機嫌(きげん)に帰(かえ)ってきました。
「たいりょう、たいりょう♪　今日(きょう)はたくさん釣(つ)れたわい」

「あ……っ、じいちゃん！」

「おう、ぽーや。これを見てみろ」
　ハルじいさんが、大きな金色(きんいろ)のコイを持(も)ち上げると、ピチピチとコイは跳(は)ねています。
　
「あっ、そうだ！」
　ママは、ハルじいさんが持(も)っているコイを見て、ひらめきました。

「ほら！　ぽー。このお魚(さかな)さん、フリフリしてるよ」
「ほんとだ！　おさかなフリフリしてる」
「ねっ」
「うん、ぽーもやってみる！」

　フリフリ

　フリフリフリ

　フリフリフリフリ……

「やったぁ、ママ。飛べるようになったよ」

　ぽーは大喜(おおよろこ)びです。
　ママもうれしそうに、うなずいています。

「おぉ、わしが釣(つ)ってきた魚(さかな)が役(やく)にたったようだ」

　ぽーはこの日、ハルじいさんが釣(つ)ってきた魚(さかな)のおかげで、飛べるようになりました。