第26話
文字数 1,652文字
やがて学校を1周近くしただろうか。
私は近くにあった階段に駆け出し、登り始める。
「上階に行ってどうするつもりじゃ?逃げる手段がより減るだけじゃぞ?」
私は無我夢中で階段を駆け上がる。
日頃の運動不足が祟っている。
身体が悲鳴を上げている。
それでも走った。
必死に屋上を目指す。
「ぐおおおおおおおおおおおおお!!」
バタンッ!
屋上の扉が開け放たれる。
「ぜぇ!はぁ!ゲホッ、ゴホッゴホッ!」
呼吸が上手く出来ない。
こんなにも全力で走ったのなど、生まれて初めてだ。
屋上の扉を開けた先、そこには大きなプールがあった。
予想通りだ。
私は呼吸を整えながらプールサイドを歩き、自分が開けた扉から離れる。
バチチッ!
老人が、扉の前に立っていた。
「で、こんな所まで逃げて来て、どうすると言うのかね?というか、その魔力反射フィールド展開装置、一体何個持っとるんじゃ?さっきから何度も何度も展開しおって……流石に痺れが切れるわ。」
「ぜぇ、ぜぇ……。」
荒い息を吐きながら、懐から魔法反射なんとかとは、別の魔法道具を取り出す。
球体の形をした魔法道具。
魔力爆弾。
あの魔法道具店で見つけた物を、くすねてきたのだ。
それを、プールの中に放り込む。
ポチャンッ…………、
ドボオンッッッ!!
プールの水の中で、爆発が起こる。
大量の水の飛沫が上がる。
水が、辺りに散らばる。
全力疾走により熱を持った身体に、冷たい水を被せるのは心地よかった。
「これは……?まさか、涼みたかっただけではあるまいな?」
老人の顔に疑問符が浮かぶ。
「水は電気をよく通す、とはよく聞くと思うわ。」
だが、それは間違いだ。
正しくは、
「不純物の入った水は、電気をよく通す。逆に、不純物の入っていない水、つまり純水は電気を通さないそうよ。」
「何が言いたい?」
私は魔法反射なんとかを常に展開させている。
老人には、私の演説を止めることが出来ない。
「プールの水ってね、消毒作用の為に塩素が入っているのよ。水道水なんかと同じくらい。」
つまり、プールの水は電気をよく通すのだ。
「逃げ場がないのは、貴方のほうよ?クソジジイ。」
辺り一面に、プールの水が飛び散っているこの状況。
私には、魔力反射なんとかがあるため、電気の魔法は聞かない。
そして、
カチャリ。
「む?なんじゃ、その金属は。」
「これはね、銃って言うのよ。」
私は指を固定していた包帯を外しながら、銃口を老人へ向ける。
指は、折れてなどいなかった。
「その、銃……か?見たところ、飛び道具のようじゃが……果たして、ワシの電撃に勝てるとでも?」
「ふふふ。何言ってるのかしら?この状況が分からないの?ホントに頭が悪いのね?おじいちゃん??」
プールの水を被ったのは、私だけではない。
この老人も、プールの水を浴びていた。
それが意味するのは、
「貴方、自分の身体を電気体に出来るのよね?ふふふ。この水浸しのプールサイドで、果たして貴方は電気体になれるのかしら?」
私の予想では、
「電気体になった途端、身体中の電気が水を伝って、霧散するんじゃないの?」
リブと老人が戦っていた時、リブの刀が避雷針となってしまうせいで、老人の電気が通じないと言っていた。
老人の電気の魔法は、電気そのモノの性質を変えることは出来ないという事だ。
ならば、電気を通しやすい水が周囲に散らばっている状況を作れば、老人は電気体になる事は出来ないのではないか?
「どうかしら?私の仮説は正しいかしら?」
「…………。」
老人は私を睨み付けている。
無言の肯定だと、判断した。
「ふふふ!命乞いしなさい。そうしたら、許してあげてもいいわよ?」
「この……、クソガキがあああ!!」
老人は瞳孔を開かせながら、絶叫する。
「貴様のような!クズが!上から目線でモノを語るな!!このゴミクズが!!貴様の様な人間が居るから!!この世はダメになるんじゃ!!世界の穀潰しが!!」
パンッ!!
老人の頭に穴が空いた。
「遺言どうも。貴方のお墓に、今の言葉を刻んどいてあげるわ。さようなら〜。」
後ろに倒れた老人は、数回痙攣したきり、そのまま動くことはなかった。
私は近くにあった階段に駆け出し、登り始める。
「上階に行ってどうするつもりじゃ?逃げる手段がより減るだけじゃぞ?」
私は無我夢中で階段を駆け上がる。
日頃の運動不足が祟っている。
身体が悲鳴を上げている。
それでも走った。
必死に屋上を目指す。
「ぐおおおおおおおおおおおおお!!」
バタンッ!
屋上の扉が開け放たれる。
「ぜぇ!はぁ!ゲホッ、ゴホッゴホッ!」
呼吸が上手く出来ない。
こんなにも全力で走ったのなど、生まれて初めてだ。
屋上の扉を開けた先、そこには大きなプールがあった。
予想通りだ。
私は呼吸を整えながらプールサイドを歩き、自分が開けた扉から離れる。
バチチッ!
老人が、扉の前に立っていた。
「で、こんな所まで逃げて来て、どうすると言うのかね?というか、その魔力反射フィールド展開装置、一体何個持っとるんじゃ?さっきから何度も何度も展開しおって……流石に痺れが切れるわ。」
「ぜぇ、ぜぇ……。」
荒い息を吐きながら、懐から魔法反射なんとかとは、別の魔法道具を取り出す。
球体の形をした魔法道具。
魔力爆弾。
あの魔法道具店で見つけた物を、くすねてきたのだ。
それを、プールの中に放り込む。
ポチャンッ…………、
ドボオンッッッ!!
プールの水の中で、爆発が起こる。
大量の水の飛沫が上がる。
水が、辺りに散らばる。
全力疾走により熱を持った身体に、冷たい水を被せるのは心地よかった。
「これは……?まさか、涼みたかっただけではあるまいな?」
老人の顔に疑問符が浮かぶ。
「水は電気をよく通す、とはよく聞くと思うわ。」
だが、それは間違いだ。
正しくは、
「不純物の入った水は、電気をよく通す。逆に、不純物の入っていない水、つまり純水は電気を通さないそうよ。」
「何が言いたい?」
私は魔法反射なんとかを常に展開させている。
老人には、私の演説を止めることが出来ない。
「プールの水ってね、消毒作用の為に塩素が入っているのよ。水道水なんかと同じくらい。」
つまり、プールの水は電気をよく通すのだ。
「逃げ場がないのは、貴方のほうよ?クソジジイ。」
辺り一面に、プールの水が飛び散っているこの状況。
私には、魔力反射なんとかがあるため、電気の魔法は聞かない。
そして、
カチャリ。
「む?なんじゃ、その金属は。」
「これはね、銃って言うのよ。」
私は指を固定していた包帯を外しながら、銃口を老人へ向ける。
指は、折れてなどいなかった。
「その、銃……か?見たところ、飛び道具のようじゃが……果たして、ワシの電撃に勝てるとでも?」
「ふふふ。何言ってるのかしら?この状況が分からないの?ホントに頭が悪いのね?おじいちゃん??」
プールの水を被ったのは、私だけではない。
この老人も、プールの水を浴びていた。
それが意味するのは、
「貴方、自分の身体を電気体に出来るのよね?ふふふ。この水浸しのプールサイドで、果たして貴方は電気体になれるのかしら?」
私の予想では、
「電気体になった途端、身体中の電気が水を伝って、霧散するんじゃないの?」
リブと老人が戦っていた時、リブの刀が避雷針となってしまうせいで、老人の電気が通じないと言っていた。
老人の電気の魔法は、電気そのモノの性質を変えることは出来ないという事だ。
ならば、電気を通しやすい水が周囲に散らばっている状況を作れば、老人は電気体になる事は出来ないのではないか?
「どうかしら?私の仮説は正しいかしら?」
「…………。」
老人は私を睨み付けている。
無言の肯定だと、判断した。
「ふふふ!命乞いしなさい。そうしたら、許してあげてもいいわよ?」
「この……、クソガキがあああ!!」
老人は瞳孔を開かせながら、絶叫する。
「貴様のような!クズが!上から目線でモノを語るな!!このゴミクズが!!貴様の様な人間が居るから!!この世はダメになるんじゃ!!世界の穀潰しが!!」
パンッ!!
老人の頭に穴が空いた。
「遺言どうも。貴方のお墓に、今の言葉を刻んどいてあげるわ。さようなら〜。」
後ろに倒れた老人は、数回痙攣したきり、そのまま動くことはなかった。