第17話

文字数 1,000文字

リブに置いていかれた。
これはまずい。
何がまずいかと言うと、賞金首討伐にはリブの力は必要不可欠であり、リブが居なければ成立しない。
私こと、ローレル・スイートピーは心底困っていた。

「とりあえず、マナランドまでは追い掛けて来たけど、リブは何処にいるのかしら?」
出来るだけ早く合流したい。
現在ここ、魔法都市マナランドには、3人の賞金首が闊歩しているそうだ。
そのどれもが、自身の得意魔法を極めており、非常に危険だそうだ。

アルドという冒険者ギルドの人が言っていた。
どのような不幸があっても、責任は取れない、と。
慎重に行動しなければ、即、死に繋がるだろう。

「兎にも角にも、まずはリブを見つけないと……。」
彼女こそ、私の生命線だ。
「あの娘を最大限利用して、私は楽に賞金首を討伐する。」
我ながら、頭が良いと思う。

賞金首は3人も居るのだ。
上手く立ち回れば、その内の1人分くらい手柄を分けてくれるだろう。
なんと言っても、リブはチョロいから。
ふふふ。

と、言うことで、だ。
「まずはリブを探しましょうか。」
道行く人間に、リブを見ていないか聞いてみるのが早いだろう。
ふふふ。
我ながら名案ね。
「……あれ?」

辺りを見渡す。
ここは既に、魔法都市マナランドの敷地内のはずだ。
それなのに、
「何で人が誰も居ないのかしら……?」

マナランドは、中央都市セントラル程ではないにせよ、それなりの大都市のはずだ。
いくら夜だからと言っても、人が1人も居ないなんて事が有り得るのだろうか?
やけに静かな事も、この街の不気味さを増長させていた。

「……。」
怖くなってきた。

勢いに任せてリブを追ったのは良いものの、肝心のリブは今ここに居ない。
運悪く、ケルベロスの魔法使いと鉢合わせた場合、私は生き残れるだろうか……。

「これって……。」
リブを探して街を歩いていると、真っ二つになった街灯が転がっていた。
二つになった街灯の断面は非常に綺麗であった。
「リブのリーヴァメルツで斬った跡かしら?」
この付近を見回してみると、そこかしこに戦闘の跡が見て取れた。
「これ、焦げてるのかしら?」
道や壁等に、無数の焦げ跡が残っている。
それ追うように、綺麗な断面をした斬撃痕が続いていた。

「こっち方面に向かってるわね、これ……。」
恐らく、リブと何者かが戦闘を行っていたのであろう。
焦げ跡も、斬撃痕も、まだ新しいように見える。
この戦闘の痕跡を追って行けば、リブと合流出来る可能性が高そうだ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

リブレ・レッドライン


17歳

赤いツインテールが特徴的な少女。

身長が低く、容姿も子供っぽいため、見た目だけなら13〜14才程度にしか見えない。

2メートル程もある刀、大太刀「リーヴァメルツ」を所持しており、大切にしている。

ローレル・スイートピー


17歳

緑色の髪の毛を持つ少女。

保身のためなら何でもする。

基本的にクソザコなため、戦闘能力は皆無。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み