第29話

文字数 689文字

「かかってこいやぁ!!」

赤いツインテールが叫んでいる。

私が階段を登りきるまで、待っていたのだろう。
彼女は、はるか下方。
私は、はるか上方。

これは私達の関係性だ。

彼女は過ちを犯した。
私が階段を登りきる前に、あの長大な刀で斬り掛かるべきだったのだ。

既に勝敗は決している。
私の本気の魔法は、誰にも破られない。

「キャハ☆」

周囲に雪が落ち始める。
天気模様が急変した訳ではない。

空気中の水分が、私の魔力に反応して結晶化しているのだ。
それらを一点に集める。
集まった氷を、凝縮する。

これを繰り返す内に、みるみると氷は大きくなる。

そして、
「お待たせ、おねえさん。」

高さは10メートル程度。
幅は50メートルくらい。
巨大な氷の塊が宙に浮いていた。

この巨大な塊を、物理的に叩きつけるだけだ。
それだけでいい。

「じゃあね、おねえさん☆」

防御も回避もクソもない。
潰れて、死ね。

巨大な塊が、落下してゆく。

単純が故に、凶悪無比。
この開けた空間なら、逃げ場すらない。

ズドオォン!!!

数秒も立たない内に、氷の塊が地面を押し潰した。
「……呆気ないなー。」

だが、これでいい。
これで私の勝
「これで終わりなの?」
「……えっ?」

巨大な氷の塊の上に、赤いツインテールが立っている。
「次はこっちの番、って事でいいかしら?」
彼女は私が立っている階段を足場にしながら、高く飛び上がった。
私より、高くに……。

そして振り上げた刀を、私目掛けて振り下ろす。

私の負け……?
キャハ☆

「こんな所で死んでたまるかあああ!!!」
私は叫んだ。
即座に氷の盾を精製する。

「リーヴァメルツ!!」

盾が斬られる。
私ごと……。

ズバッ!!

ごめんね。
パパ……、
ママ……。
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登場人物紹介

リブレ・レッドライン


17歳

赤いツインテールが特徴的な少女。

身長が低く、容姿も子供っぽいため、見た目だけなら13〜14才程度にしか見えない。

2メートル程もある刀、大太刀「リーヴァメルツ」を所持しており、大切にしている。

ローレル・スイートピー


17歳

緑色の髪の毛を持つ少女。

保身のためなら何でもする。

基本的にクソザコなため、戦闘能力は皆無。

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