第3話
文字数 1,678文字
頭が重い。
身体も……なんか重い。
「うぅ……。」
重い瞼を開けてみる。
そこは、見慣れない部屋の中だった。
「どこかしら、ここ?」
人が一人通れる程度の鉄の扉がある以外、何も無い小さな部屋だった。
四方は窓の無いコンクリートで出来た壁。
鉄扉に着いた鉄格子付きの小窓のおかげで、辛うじて空気は入って来ているようだ。
「牢屋……?」
ぐぅ、頭が痛い。
なんでこんな所に私は居るのだろう?
記憶を手繰り寄せる必要がある。
が、頭が上手く働かない。
「お目覚めかな?」
聞き覚えのある声だった。
鉄格子付きの小窓から、見知った顔が覗いている。
「……ローレル?」
鉄格子越しの顔に、少し混乱した。
なんで?友達でしょ?
なんて、この期に及んで言うことは出来なかった。
騙されたのだ。
この状況が物語っている。
「私の刀は?」
「あら、自分の事よりもあの刀の方が心配?」
彼女はさぞ楽しそうに続ける。
「昨日は大変お楽しみだったわね。ちょっとお酒を飲ましただけで、直ぐに真っ赤になっちゃうんだもの。睡眠剤だとか、そういった物も無しに簡単に落ちちゃったのよ?貴方。」
「質問に答えて。私の、刀は?」
小窓の顔を睨みつける。
この反抗的な態度が気に食わなかったのか、ローレルは一瞬顔を歪めたが、直ぐに悪意ある笑顔に戻った。
「あの刀ね、さっさと売っぱらってしまいたかったんだけどね。どの質屋も買取を拒否しちゃうのよ。なにやら、特殊な細工が施されてるとか何とかで。今はこの地下の倉庫にしまってあるわ。」
「地下」
ここは地下施設のどこか、ということか。
「それよりも貴方、これから自分がどうなるかの心配をした方がいいんじゃない?」
不愉快な笑顔を、さらに歪ませながら彼女は続ける。
「貴方、奴隷になるのよ。」
「奴隷」
「私はね、奴隷商人なの。あの喫茶店に来た貴方みたいなアホをターゲットにした、ね。運が悪かったわね。たまたまウチの店に来ちゃったが最後、貴方の人生はこれでお終い。残りの人生は、貴方を買った人の物になるの。」
彼女はさぞ楽しそうに続ける。
「貴方は恐らく、とても良い値で売れるわ。まず若い。それに顔も整っている。」
「私がそう簡単に奴隷なんかになるとでも?」
「ふふふ。なるわよ。立派な奴隷に。なんだったかな?賞金首ハンター??ふふふ。馬鹿らしい。貴方みたいチビが、そんな大層なモノに成れる訳が無い。残念だったね。私を騙せなくて。」
「はっ!」
私は鼻で笑ってやった。
「馬鹿なのは貴方のほうよ。人を見た目で判断すると、痛い目を見る事になるわよ?これは、ほんの一瞬でも、友達になってくれた貴方へのせめてもの忠告よ。」
「あはははっ!?友達!?ホントに馬鹿ね貴方っ!!」
「笑ってられるのも今のうちよ。せいぜい、首を洗って待ってなさい。貴方の首と胴を離れ離れにしてあげる。」
「貴方こそ、その減らず口を聞けるのも今のうちよ?今ね、奴隷調教師を呼んでるの。もうすぐ到着するはずよ。彼に手に掛かればどんな生意気な人間も、たちまちのうちに奴隷として絶対服従を誓うそうよ。楽しみね。貴方の奴隷姿。ふふふ。」
私が奴隷か。笑わせる。
「じゃあね。私はまたあの喫茶店で、次の商品を仕入れないといけないの。リブちゃん。次に会う時は、立派な奴隷になってる事を期待してるね。」
そう言い残し、かつての友人は牢屋から離れてしまった。
……いや、彼女からすれば、友人になんて最初からなったつもりはないのか。
「…………はぁ。」
自然とため息が出た。
「友達かぁ……。」
自分は比較的、ぶっきらぼうな性格だと自負はしていた。
人から好かれる事など、これまでの人生で殆ど無かった。
故に、仮初といえども。
自分の事を友達だと言ってくれたのは嬉しかったのだ。
「友達だとか家族だとか。諦めたつもりだったんだけどな……。」
なんだかんだ、まだ私にも人恋しさが残っているようだ。
「奴隷バザールか。久しぶりに、頭に来たわね。」
自分の未練がましさに。
奴隷で成り立つと言われるこのバザールに。
そして、友達だと偽った、あのクソ女に。
このイライラを沈める方法は、1つしか無い。
「全部。」
全てを。
「ぶった斬ってやる。」
身体も……なんか重い。
「うぅ……。」
重い瞼を開けてみる。
そこは、見慣れない部屋の中だった。
「どこかしら、ここ?」
人が一人通れる程度の鉄の扉がある以外、何も無い小さな部屋だった。
四方は窓の無いコンクリートで出来た壁。
鉄扉に着いた鉄格子付きの小窓のおかげで、辛うじて空気は入って来ているようだ。
「牢屋……?」
ぐぅ、頭が痛い。
なんでこんな所に私は居るのだろう?
記憶を手繰り寄せる必要がある。
が、頭が上手く働かない。
「お目覚めかな?」
聞き覚えのある声だった。
鉄格子付きの小窓から、見知った顔が覗いている。
「……ローレル?」
鉄格子越しの顔に、少し混乱した。
なんで?友達でしょ?
なんて、この期に及んで言うことは出来なかった。
騙されたのだ。
この状況が物語っている。
「私の刀は?」
「あら、自分の事よりもあの刀の方が心配?」
彼女はさぞ楽しそうに続ける。
「昨日は大変お楽しみだったわね。ちょっとお酒を飲ましただけで、直ぐに真っ赤になっちゃうんだもの。睡眠剤だとか、そういった物も無しに簡単に落ちちゃったのよ?貴方。」
「質問に答えて。私の、刀は?」
小窓の顔を睨みつける。
この反抗的な態度が気に食わなかったのか、ローレルは一瞬顔を歪めたが、直ぐに悪意ある笑顔に戻った。
「あの刀ね、さっさと売っぱらってしまいたかったんだけどね。どの質屋も買取を拒否しちゃうのよ。なにやら、特殊な細工が施されてるとか何とかで。今はこの地下の倉庫にしまってあるわ。」
「地下」
ここは地下施設のどこか、ということか。
「それよりも貴方、これから自分がどうなるかの心配をした方がいいんじゃない?」
不愉快な笑顔を、さらに歪ませながら彼女は続ける。
「貴方、奴隷になるのよ。」
「奴隷」
「私はね、奴隷商人なの。あの喫茶店に来た貴方みたいなアホをターゲットにした、ね。運が悪かったわね。たまたまウチの店に来ちゃったが最後、貴方の人生はこれでお終い。残りの人生は、貴方を買った人の物になるの。」
彼女はさぞ楽しそうに続ける。
「貴方は恐らく、とても良い値で売れるわ。まず若い。それに顔も整っている。」
「私がそう簡単に奴隷なんかになるとでも?」
「ふふふ。なるわよ。立派な奴隷に。なんだったかな?賞金首ハンター??ふふふ。馬鹿らしい。貴方みたいチビが、そんな大層なモノに成れる訳が無い。残念だったね。私を騙せなくて。」
「はっ!」
私は鼻で笑ってやった。
「馬鹿なのは貴方のほうよ。人を見た目で判断すると、痛い目を見る事になるわよ?これは、ほんの一瞬でも、友達になってくれた貴方へのせめてもの忠告よ。」
「あはははっ!?友達!?ホントに馬鹿ね貴方っ!!」
「笑ってられるのも今のうちよ。せいぜい、首を洗って待ってなさい。貴方の首と胴を離れ離れにしてあげる。」
「貴方こそ、その減らず口を聞けるのも今のうちよ?今ね、奴隷調教師を呼んでるの。もうすぐ到着するはずよ。彼に手に掛かればどんな生意気な人間も、たちまちのうちに奴隷として絶対服従を誓うそうよ。楽しみね。貴方の奴隷姿。ふふふ。」
私が奴隷か。笑わせる。
「じゃあね。私はまたあの喫茶店で、次の商品を仕入れないといけないの。リブちゃん。次に会う時は、立派な奴隷になってる事を期待してるね。」
そう言い残し、かつての友人は牢屋から離れてしまった。
……いや、彼女からすれば、友人になんて最初からなったつもりはないのか。
「…………はぁ。」
自然とため息が出た。
「友達かぁ……。」
自分は比較的、ぶっきらぼうな性格だと自負はしていた。
人から好かれる事など、これまでの人生で殆ど無かった。
故に、仮初といえども。
自分の事を友達だと言ってくれたのは嬉しかったのだ。
「友達だとか家族だとか。諦めたつもりだったんだけどな……。」
なんだかんだ、まだ私にも人恋しさが残っているようだ。
「奴隷バザールか。久しぶりに、頭に来たわね。」
自分の未練がましさに。
奴隷で成り立つと言われるこのバザールに。
そして、友達だと偽った、あのクソ女に。
このイライラを沈める方法は、1つしか無い。
「全部。」
全てを。
「ぶった斬ってやる。」