第7話

文字数 1,280文字

鬼神の如き。
であった。

目の前で赤いツインテールが揺れる度、襲いかかってくる屈強な奴隷から血しぶきが舞い、顔に傷のある山賊みたいな奴が肉塊に変わっていく。

「つ、強い…………!?」

私はと言うと、腰が抜けてテントの端にへたりこんでしまっていた。
そんな私などには見向きもせず、テント中の奴隷市場関係者が赤いツインテールに群がり、そして次々と切り落とされていた。

「アハハハハッ!!弱い弱い弱い!!強そうなのは顔だけなのかしら!?どいつもこいつも全く相手にならないわよ!?」

彼女は自分の身長よりも頭一つ分以上長い刀を器用に振り回し、群がる敵を撃破する。
時に力任せに振り下ろし、遠心力を利用して薙ぎ払い、かと思えば、大太刀を地面に叩き付けた衝撃で宙高くに跳躍し、重力を利用し下にいる敵を叩ききっていた。
彼女の刀捌きは、変幻自在だった。
いや、
「変幻自在というより、縦横無尽……?」

「このガキ滅茶苦茶強ぇぞ!!生きたまま捕らえるのは無理だ!!もう殺すしかねえ!!」
奴隷市場軍団の一人がそう叫ぶと、その場の全員が力量の差を察したのか、全員が武器や防具を取り出し始めた。

「このガキが!!こっちが手加減してやってるからって調子にのってんじゃねぇぞ!?ぶっ殺しでべ!?」
「今ぶっ殺すって言った!?アハハ!!出来るもんならやって見なさいよ!?クソ雑魚軍団さん?」

「とにかく刀だ!!あのクソ長い刀を止めろ!!」
そう言って、奴隷市場軍団は取り出してきた剣や盾を構え、防御体制を取り始めた。

「リーヴァメルツ!!」

「!?刀身が紅く!」
紅い光を纏った大太刀を、赤いツインテールが横薙ぎに振り払う。
「ぎぃやあああ!!」
剣や盾ごと、奴隷市場軍団が真っ二つであった。
「アハハハ!!超気持ちいいわ!!このバザールに来て正解だったかも!!」
そう血まみれの笑顔ではしゃぐ赤いツインテールに、本能的な恐怖を感じた。

私は、あんな怪物を怒らせていたのか……。

剣や盾、時に全身を鎧で纏った奴隷市場軍団を、まるでバターでも切るかのような軽活さで斬り払っていく。

気付けば、勝負は付いていた。
「アハハハハ、アハ!」
立っているのは赤いツインテールのみだった。
辺りには、先程までは人間だったはずの肉塊が山のように積み上がっている。

「あら?もう終わり?もう誰も残ってないの??」
まるで玩具を無くしてしまった子供のようだった。
「つまんないの。」
赤いツインテールの全身から大量の赤い液体が滴り落ちていた。
もっとも、彼女のモノは一切ないのだろうが。

「リブ。貴方、こんなに強かったのね。正直見くびっていたわ。」
「あら、まだ一人残ってるじゃない?」
「え、嘘!?私も切る気!?嫌ああああ!!」

「冗談よ冗談。私達、友達でしょ?」
「じょ、冗談に聞こえないよ……。」
「あ、いや。もう友達じゃないんだっけ。」
「いやいやいや!!友達よ友達!!私達は友達!!昨日の事はごめんね!!謝るから許してぇ!!」
「まあいいわ。ストレス発散して、今は気分が良いの。許してあげる。」

ホッと胸を撫で下ろす。
その時だった。

パンッッ!!

テント内に小規模な炸裂音が響き渡った。
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登場人物紹介

リブレ・レッドライン


17歳

赤いツインテールが特徴的な少女。

身長が低く、容姿も子供っぽいため、見た目だけなら13〜14才程度にしか見えない。

2メートル程もある刀、大太刀「リーヴァメルツ」を所持しており、大切にしている。

ローレル・スイートピー


17歳

緑色の髪の毛を持つ少女。

保身のためなら何でもする。

基本的にクソザコなため、戦闘能力は皆無。

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