第24話
文字数 1,676文字
「ここが魔法使い養成学校ね。」
油断せず、学校の門をくぐる。
ローレルは私の後を、恐る恐るついて来ていた。
「は、入った瞬間にいきなり魔法攻撃の雨嵐、みたいな展開じゃなくて良かったわ……。」
ローレルは呟いていた。
門をくぐった先には大きな庭が広がっており、その先に校舎が見える。
あそこまで向かえばいいのだろうか?
しかし、
「なんで誰も居ないのかしら。この街は。街の住人だけならまだしも、件の黒魔術集団ケルベロスに所属してる魔法使いすら、どこにもいないじゃない。」
この街に来て会った人物と言えば、ケルベロスの幹部である電気の老人と、エリシアと呼ばれていた少女のみだ。
いくら何でも人が少な過ぎる。
「それはね、」
どこからともなく、少女の声が聴こえて来た。
この声は……、
「氷の魔女……!」
ローレルが呟いていた。
「ケルベロスが、無差別に住民を襲っているからだよ。手当り次第全員に。だから皆、どこかに隠れちゃった。」
校舎の方から、黒いドレスの少女がゆっくりと歩き出てくる。
「もちろん、この街から逃げようとする人も、入ろうとする人も、関係なく襲ってるんだ。この街って、出入口が1つしかないから、そこを抑えると逃げ道はないんだよね。」
一歩づつ、ドス黒い何かを孕んだ少女が近づいてくる。
なるほど。
だから私がマナランドに着いた時、出入口を見張っていた電気の老人と鉢合わせたのか。
「私がこの街に入れたのは、リブがあの老人と戦っていたから、ってことかしら……。」
ローレルは青ざめていた。
「その通りだよ。おじいちゃんの帰りが遅いから、私が見回りに行ってたんだけど。そこになんと、入れないはずの余所者が!ちょっと驚いたよね、あの時は。」
氷の魔女は続ける。
「緑髪のおねえさん、運が良いよ?もしもあの時、おじいちゃんと会ってたら一瞬で丸焦げだったからね。私とは違って、おじいちゃんは容赦が無いからねっ☆」
やがて魔女は、私達の目の前までやってくる。
「改めまして……。どうも、はじめまして。黒魔術集団ケルベロスの幹部をやってる、エリシア・シャンパーニュです。以後お見知り置きを。ま、もうすぐ死んじゃうんだけどね、お姉さん達は☆」
ズバッ。
……ボトッ。
仰々しくお辞儀をした魔女の首を、ぶった斬った。
断ち切られた頭が、地面に落ちる。
「射程よ。ノコノコ近づいて来るなんて、何考えてるの?」
「……え、嘘?終わり??賞金2万ゼニー獲得??」
お金の事しか頭にないローレルが呟いていた。
「キャハハハハ!!」
落ちた頭がケタケタ笑う。
「ヒィ!?」
「いきなり斬るなんて、酷いと思うな!」
「ま、そうよね。人を斬った感触じゃなかったわ。」
断面を見る。
これは……氷だろうか。
「キャハ☆なんと私は氷人形。魔法の超大天才エリシア様に造られた、ただの囮なのでした!」
ズバッ。
やかましいので下顎と上顎が離れる様に顔を斬る。
これで喋れないだろう。
「キャハハハ!!おねえさん、容赦ないね!こんなに可愛い女の子相手に☆」
気づけば、すぐ側に魔女が居る。
そしてそれは、1人ではなく……
「こ、氷の魔女が……いっぱい居る!?」
「面倒臭いなぁ……。」
ローレルは困惑し、私は額に手をやった。
「魔法の大天才、か。その名に恥じない芸当ね。普通、こんなに沢山の、しかもこれ程の精巧さで、分身体を作り出すのは至難の業よ。魔力の消費量も、半端ないでしょうし、その演算量も、私なんかでは想像もつかないわ。」
「まあね!私は超大天才。最強の魔法使いなの。これくらい朝飯前かな☆」
「それ程の才能をここで斬り捨てないといけないなんて、残念ね。」
私は構えた。
ケルベロスの幹部はこの少女の他に、2人も居る。
せっかく1人で登場してくれたのだ。
この期を逃す手はない。
「残念なんて言いながら、顔は嬉しそうに見えるなー。お姉さん、もしかして変な人?」
「変な人……ね。まあ、そうかも。」
目の前に、斬れる人間が居る。
それだけでこうも気分が高揚するのだ。
変な人と言われても否定出来ない。
そして否定したところで、私の欲望は止められない。
というわけで、だ。
「あんたを……、ぶった斬ってやるわ!」
油断せず、学校の門をくぐる。
ローレルは私の後を、恐る恐るついて来ていた。
「は、入った瞬間にいきなり魔法攻撃の雨嵐、みたいな展開じゃなくて良かったわ……。」
ローレルは呟いていた。
門をくぐった先には大きな庭が広がっており、その先に校舎が見える。
あそこまで向かえばいいのだろうか?
しかし、
「なんで誰も居ないのかしら。この街は。街の住人だけならまだしも、件の黒魔術集団ケルベロスに所属してる魔法使いすら、どこにもいないじゃない。」
この街に来て会った人物と言えば、ケルベロスの幹部である電気の老人と、エリシアと呼ばれていた少女のみだ。
いくら何でも人が少な過ぎる。
「それはね、」
どこからともなく、少女の声が聴こえて来た。
この声は……、
「氷の魔女……!」
ローレルが呟いていた。
「ケルベロスが、無差別に住民を襲っているからだよ。手当り次第全員に。だから皆、どこかに隠れちゃった。」
校舎の方から、黒いドレスの少女がゆっくりと歩き出てくる。
「もちろん、この街から逃げようとする人も、入ろうとする人も、関係なく襲ってるんだ。この街って、出入口が1つしかないから、そこを抑えると逃げ道はないんだよね。」
一歩づつ、ドス黒い何かを孕んだ少女が近づいてくる。
なるほど。
だから私がマナランドに着いた時、出入口を見張っていた電気の老人と鉢合わせたのか。
「私がこの街に入れたのは、リブがあの老人と戦っていたから、ってことかしら……。」
ローレルは青ざめていた。
「その通りだよ。おじいちゃんの帰りが遅いから、私が見回りに行ってたんだけど。そこになんと、入れないはずの余所者が!ちょっと驚いたよね、あの時は。」
氷の魔女は続ける。
「緑髪のおねえさん、運が良いよ?もしもあの時、おじいちゃんと会ってたら一瞬で丸焦げだったからね。私とは違って、おじいちゃんは容赦が無いからねっ☆」
やがて魔女は、私達の目の前までやってくる。
「改めまして……。どうも、はじめまして。黒魔術集団ケルベロスの幹部をやってる、エリシア・シャンパーニュです。以後お見知り置きを。ま、もうすぐ死んじゃうんだけどね、お姉さん達は☆」
ズバッ。
……ボトッ。
仰々しくお辞儀をした魔女の首を、ぶった斬った。
断ち切られた頭が、地面に落ちる。
「射程よ。ノコノコ近づいて来るなんて、何考えてるの?」
「……え、嘘?終わり??賞金2万ゼニー獲得??」
お金の事しか頭にないローレルが呟いていた。
「キャハハハハ!!」
落ちた頭がケタケタ笑う。
「ヒィ!?」
「いきなり斬るなんて、酷いと思うな!」
「ま、そうよね。人を斬った感触じゃなかったわ。」
断面を見る。
これは……氷だろうか。
「キャハ☆なんと私は氷人形。魔法の超大天才エリシア様に造られた、ただの囮なのでした!」
ズバッ。
やかましいので下顎と上顎が離れる様に顔を斬る。
これで喋れないだろう。
「キャハハハ!!おねえさん、容赦ないね!こんなに可愛い女の子相手に☆」
気づけば、すぐ側に魔女が居る。
そしてそれは、1人ではなく……
「こ、氷の魔女が……いっぱい居る!?」
「面倒臭いなぁ……。」
ローレルは困惑し、私は額に手をやった。
「魔法の大天才、か。その名に恥じない芸当ね。普通、こんなに沢山の、しかもこれ程の精巧さで、分身体を作り出すのは至難の業よ。魔力の消費量も、半端ないでしょうし、その演算量も、私なんかでは想像もつかないわ。」
「まあね!私は超大天才。最強の魔法使いなの。これくらい朝飯前かな☆」
「それ程の才能をここで斬り捨てないといけないなんて、残念ね。」
私は構えた。
ケルベロスの幹部はこの少女の他に、2人も居る。
せっかく1人で登場してくれたのだ。
この期を逃す手はない。
「残念なんて言いながら、顔は嬉しそうに見えるなー。お姉さん、もしかして変な人?」
「変な人……ね。まあ、そうかも。」
目の前に、斬れる人間が居る。
それだけでこうも気分が高揚するのだ。
変な人と言われても否定出来ない。
そして否定したところで、私の欲望は止められない。
というわけで、だ。
「あんたを……、ぶった斬ってやるわ!」