第34話
文字数 1,455文字
「あの時、貴方を氷漬けにして殺そうとしたのは失敗だったなぁ。」
リブと呼ばれる、赤いツインテールが少し離れた所で暴れていた。
ケルベロスの幹部、ボルグも少し離れた所で人を燃やし続けている。
「貴方も、魔法使いだもんね。そりゃ、氷魔法の大天才を自分の巣に招くんだし、暴走した時の対策くらい、してるよね。」
白髭の老人はこちらに銃と呼ばれる金属を向けている。
他の取り巻き達が持っているものより、一際大きな銃だった。
「これはマシンガンと言うそうだ。奴らに持たせてるものより、遥かに威力がある。」
「貴方の得意魔法は、肉体強化。自身の肉体を肥大化させ、強化する。氷漬けにした程度じゃ、止められない。」
白髭の老人は、マシンガンの引き金を引いた。
ダダダダダッ!!
目の前に氷の壁を精製する。
ガガガガ!
「もう弾切れか。こんなもの、玩具の域を出ないな。」
そう言いながら、マシンガンを投げ捨てる。
「やはり、信じられるのは自分の肉体のみ……!」
白髭の老人の身体が、みるみると大きくなる。
全身の筋肉が膨張し、身長も伸びる。
あっという間に、2メートルはあろうかという筋肉の塊が完成していた。
「こんな玩具より、自分で殴った方が速い。」
「キャハハ☆」
やっと、だ。
やっと、この復讐を果たす事ができる。
両親の仇。
赤いツインテールが手当てしてくれたのだろうか。
無くなってしまった左肩に巻いてある包帯を外す。
肩の断面に、右の手のひらを添える。
そして、
「空気中の水分を、集積、凝縮。」
ピキピキ、パキパキ、と。
氷が精製されていき、形を成す。
「こんなとこかなー。」
氷の左腕の完成だ。
「パパとママの仇。今度こそ、取らせてもらうね☆」
「やってみろ!」
老人の鉄拳が襲いかかる。
それは銃撃を防いだ氷の壁を叩きわりながら、私に向かってくる。
ズドン!
拳が、私の居た地面を叩き割る。
「む?」
「スィ〜、っとね☆」
私は地面を滑っていた。
地面を凍らし、履いているヒールの底にも氷を精製している。
走るよりも、断然早く移動出来る。
滑らかな軌道で白髭の老人の足元へたどり着く。
集積、凝縮。
「よっ!」
手元に氷の斧を精製し、老人の足に叩き込む。
ガンッ!
斧が老人の太腿へ突き刺さる。
「ぐぬぅ!フンッ!」
振り向き様に老人は拳を振り抜く。
「キャハ☆」
そして、その時には既に、私は老人から距離をとっている。
そして、
「ぐおお!」
振り抜いた拳に、氷の槍が突き刺さっている。
老人から離れる際、精製しておいた物を、老人が自ら拳で振り抜いたのだ。
老人は槍を引き抜こうとする。
「キャハハハ☆」
そんな隙を見逃すわけが無い。
斧、槍、剣、槌、矢、針……。
思いつく限りの武器を氷にて精製し、老人の身体に突き刺していく。
老人は拳を振り回すが、私のスピードには到底着いてこれていない。
「ぐ、ぐおおお!」
やがて、老人は氷の武器を全身に突き刺さった、まるで剣山のようになってしまった。
「勝負あり、だよね?」
全身穴だらけ。
であるにも関わらず、老人は自分の足で立っている。
それだけでも凄いことだと思う。
「なにか、言い残すことはあるかな?」
老人は呻いていた。
痛みによるものか、悔しさによるものか……。
「このクソガキが……!ワシの野望を、よくも……!!」
「さようなら☆」
ズンッッ!!
巨大な氷の塊で、老人を押し潰した。
氷の下敷きになった老人は、もう動かなかった。
「……。」
これで、復讐は、叶った、のかな?
キャハハ……。
なんというか、虚しさだけが残っている。
私は一体、何がしたかったのだろう……。
デザートの味は、絶望的なまでの無力感であった。
リブと呼ばれる、赤いツインテールが少し離れた所で暴れていた。
ケルベロスの幹部、ボルグも少し離れた所で人を燃やし続けている。
「貴方も、魔法使いだもんね。そりゃ、氷魔法の大天才を自分の巣に招くんだし、暴走した時の対策くらい、してるよね。」
白髭の老人はこちらに銃と呼ばれる金属を向けている。
他の取り巻き達が持っているものより、一際大きな銃だった。
「これはマシンガンと言うそうだ。奴らに持たせてるものより、遥かに威力がある。」
「貴方の得意魔法は、肉体強化。自身の肉体を肥大化させ、強化する。氷漬けにした程度じゃ、止められない。」
白髭の老人は、マシンガンの引き金を引いた。
ダダダダダッ!!
目の前に氷の壁を精製する。
ガガガガ!
「もう弾切れか。こんなもの、玩具の域を出ないな。」
そう言いながら、マシンガンを投げ捨てる。
「やはり、信じられるのは自分の肉体のみ……!」
白髭の老人の身体が、みるみると大きくなる。
全身の筋肉が膨張し、身長も伸びる。
あっという間に、2メートルはあろうかという筋肉の塊が完成していた。
「こんな玩具より、自分で殴った方が速い。」
「キャハハ☆」
やっと、だ。
やっと、この復讐を果たす事ができる。
両親の仇。
赤いツインテールが手当てしてくれたのだろうか。
無くなってしまった左肩に巻いてある包帯を外す。
肩の断面に、右の手のひらを添える。
そして、
「空気中の水分を、集積、凝縮。」
ピキピキ、パキパキ、と。
氷が精製されていき、形を成す。
「こんなとこかなー。」
氷の左腕の完成だ。
「パパとママの仇。今度こそ、取らせてもらうね☆」
「やってみろ!」
老人の鉄拳が襲いかかる。
それは銃撃を防いだ氷の壁を叩きわりながら、私に向かってくる。
ズドン!
拳が、私の居た地面を叩き割る。
「む?」
「スィ〜、っとね☆」
私は地面を滑っていた。
地面を凍らし、履いているヒールの底にも氷を精製している。
走るよりも、断然早く移動出来る。
滑らかな軌道で白髭の老人の足元へたどり着く。
集積、凝縮。
「よっ!」
手元に氷の斧を精製し、老人の足に叩き込む。
ガンッ!
斧が老人の太腿へ突き刺さる。
「ぐぬぅ!フンッ!」
振り向き様に老人は拳を振り抜く。
「キャハ☆」
そして、その時には既に、私は老人から距離をとっている。
そして、
「ぐおお!」
振り抜いた拳に、氷の槍が突き刺さっている。
老人から離れる際、精製しておいた物を、老人が自ら拳で振り抜いたのだ。
老人は槍を引き抜こうとする。
「キャハハハ☆」
そんな隙を見逃すわけが無い。
斧、槍、剣、槌、矢、針……。
思いつく限りの武器を氷にて精製し、老人の身体に突き刺していく。
老人は拳を振り回すが、私のスピードには到底着いてこれていない。
「ぐ、ぐおおお!」
やがて、老人は氷の武器を全身に突き刺さった、まるで剣山のようになってしまった。
「勝負あり、だよね?」
全身穴だらけ。
であるにも関わらず、老人は自分の足で立っている。
それだけでも凄いことだと思う。
「なにか、言い残すことはあるかな?」
老人は呻いていた。
痛みによるものか、悔しさによるものか……。
「このクソガキが……!ワシの野望を、よくも……!!」
「さようなら☆」
ズンッッ!!
巨大な氷の塊で、老人を押し潰した。
氷の下敷きになった老人は、もう動かなかった。
「……。」
これで、復讐は、叶った、のかな?
キャハハ……。
なんというか、虚しさだけが残っている。
私は一体、何がしたかったのだろう……。
デザートの味は、絶望的なまでの無力感であった。