第36話
文字数 1,746文字
「ねぇねぇ、リブお姉さん!聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
氷の魔女、改め、エリシアが私に言ってくる。
私達はマナランドから撤退していた。
今は帰り道だ。
マナランドとセントラルは隣町のため、半日も歩けば帰り着くだろう。
「リブでいいわよ。で、何かしら?」
「リブ。最初に戦った時、なんで私を斬らなかったの?」
「……何となくよ。」
泣いている女の子を斬るなんて非人道的な事、出来るわけがない。
「ふーん。じゃ、私の氷魔法を凌いだ方法、知りたいな☆」
「ああ、あのバカでかい氷の塊を落としてきたやつね。」
エリシアは何故か、私とローレルに着いてきた。
一緒にセントラルに行くというのだ。
ちなみに、ボルグはというと……
「エリシアとは違って、俺は人を何人も燃やしてるからよ、多分賞金首の撤回は無いだろうからな。このままトンズラさせてもらうぜ。また何処かで会えたら、その時は俺の魔法で燃やしてやるよ。じゃあな。」
との事だ。
私も彼も、あの魔法使い共との大暴れで満足していたため、そのまま戦闘続行とはならなかった。
「私の刀、リーヴァメルツはね、なんでも溶かせるの。」
「うん。」
「私も溶けてるのよ。」
「うん?」
「まあそういう反応するよねー。」
ローレルが言っていた。
「こうやって、刀を下から氷に突き立てて、クルクルーって、ドリルみたいに回転させて穴を空ける。その穴に、私の身体を流し込んで、氷の上まで進んだのよ。」
「????」
訳が分からない、という表情だった。
今の説明で分からないなら、もう説明のしようがない。
「そういえばローレル。私も貴方に聞きたいことがあったの。」
「あら、何かしら?」
ローレルは電気の老人の戦利品である、杖を大事そうに抱えている。
ちなみに、あの老人はマナランドを潰すために無差別に人を感電死させまくっていたそうだ。
賞金首の撤回はありえないだろう。
「貴方、指折れてなかったのね。」
「あ、ああ、これね。実はそうなのよ!ごめんね、騙してて。」
「あと銃、扱えたのね。」
「え、ええ。実はそう。」
「何処で練習したの?」
「ま、前に、あの奴隷バザールの地下倉庫で、ちょっと。」
「ふーん。そういえば、私、貴方に簡易型魔法反射フィールド展開装置しか渡して無かったわよね?なんで魔力爆弾なんて持ってたの?」
「えっ!?なな、なん、なんでそれを……??」
「そりゃ学校の屋上からあんだけでかい爆発音がしたら、気付くわよ。最初、貴方が電気ジジイに殺されたと持ってたのだけれど、そのあとの銃声で察したわ。」
ローレルが勝ったのだと。
「ハッキリ聞くわね、ローレル?あんた、私を裏切るつもりだったでしょ?」
「…………。」
ローレルは額から汗を流しながら目を泳がせている。
「い、いやぁ、その。」
「貴方に、銃を扱えないと思い込まされてたのは、私とアルドさんだけ。私達を騙す理由が他に考えられないのよね。」
それに、
「魔力爆弾なんて、時間稼ぎだけが目的なら、全く必要ないはずよ。後で何かしらに使うつもりだったのでしょう?」
そして、
「電気ジジイに勝ってから私達に合流するまで、遅過ぎると思うわ。まるで、私とエリシアの戦いに決着が着いたのを確認してから追い掛けた、みたいに完璧なタイミングだったもの。」
「い、いや実は学校の中で道に迷って……」
「私が氷の階段で高くに登った時、ローレルおねえさんが学校の3階部分の窓から、私達の戦いを傍観してるの、私、気付いてましたー☆」
「こ、このクソガキぃ!!」
「やっぱりそうよねー。」
ま、彼女に好きなだけ私を利用しても良い、と発破をかけたのは私だ。
文句はいくらでもあるが、不問としよう。
何より、
「貴方が白髭の老人の、魔法反射フィールド展開装置を壊してくれなかったら、勝てて無かったかもしれないわ。」
魔法都市マナランドに訪れるに当たって、ここがネックだった。
私の身体を維持する魔法を阻害する何らかがあると、途端に私は無力になる。
「ありがとうね。ローレル。」
「あ……いや。」
ローレルは困惑している。
「……うん。どういたしまして。私達、友達だもの!これくらい当然よ!」
やがて顔を綻ばせた。
…………いや、コイツが友達は普通に嫌だが。
なんだかんだ裏切る算段だったのに。
だがまぁ。
友達……か。
「アハハッ!」
悪い気分はしないのだった。
氷の魔女、改め、エリシアが私に言ってくる。
私達はマナランドから撤退していた。
今は帰り道だ。
マナランドとセントラルは隣町のため、半日も歩けば帰り着くだろう。
「リブでいいわよ。で、何かしら?」
「リブ。最初に戦った時、なんで私を斬らなかったの?」
「……何となくよ。」
泣いている女の子を斬るなんて非人道的な事、出来るわけがない。
「ふーん。じゃ、私の氷魔法を凌いだ方法、知りたいな☆」
「ああ、あのバカでかい氷の塊を落としてきたやつね。」
エリシアは何故か、私とローレルに着いてきた。
一緒にセントラルに行くというのだ。
ちなみに、ボルグはというと……
「エリシアとは違って、俺は人を何人も燃やしてるからよ、多分賞金首の撤回は無いだろうからな。このままトンズラさせてもらうぜ。また何処かで会えたら、その時は俺の魔法で燃やしてやるよ。じゃあな。」
との事だ。
私も彼も、あの魔法使い共との大暴れで満足していたため、そのまま戦闘続行とはならなかった。
「私の刀、リーヴァメルツはね、なんでも溶かせるの。」
「うん。」
「私も溶けてるのよ。」
「うん?」
「まあそういう反応するよねー。」
ローレルが言っていた。
「こうやって、刀を下から氷に突き立てて、クルクルーって、ドリルみたいに回転させて穴を空ける。その穴に、私の身体を流し込んで、氷の上まで進んだのよ。」
「????」
訳が分からない、という表情だった。
今の説明で分からないなら、もう説明のしようがない。
「そういえばローレル。私も貴方に聞きたいことがあったの。」
「あら、何かしら?」
ローレルは電気の老人の戦利品である、杖を大事そうに抱えている。
ちなみに、あの老人はマナランドを潰すために無差別に人を感電死させまくっていたそうだ。
賞金首の撤回はありえないだろう。
「貴方、指折れてなかったのね。」
「あ、ああ、これね。実はそうなのよ!ごめんね、騙してて。」
「あと銃、扱えたのね。」
「え、ええ。実はそう。」
「何処で練習したの?」
「ま、前に、あの奴隷バザールの地下倉庫で、ちょっと。」
「ふーん。そういえば、私、貴方に簡易型魔法反射フィールド展開装置しか渡して無かったわよね?なんで魔力爆弾なんて持ってたの?」
「えっ!?なな、なん、なんでそれを……??」
「そりゃ学校の屋上からあんだけでかい爆発音がしたら、気付くわよ。最初、貴方が電気ジジイに殺されたと持ってたのだけれど、そのあとの銃声で察したわ。」
ローレルが勝ったのだと。
「ハッキリ聞くわね、ローレル?あんた、私を裏切るつもりだったでしょ?」
「…………。」
ローレルは額から汗を流しながら目を泳がせている。
「い、いやぁ、その。」
「貴方に、銃を扱えないと思い込まされてたのは、私とアルドさんだけ。私達を騙す理由が他に考えられないのよね。」
それに、
「魔力爆弾なんて、時間稼ぎだけが目的なら、全く必要ないはずよ。後で何かしらに使うつもりだったのでしょう?」
そして、
「電気ジジイに勝ってから私達に合流するまで、遅過ぎると思うわ。まるで、私とエリシアの戦いに決着が着いたのを確認してから追い掛けた、みたいに完璧なタイミングだったもの。」
「い、いや実は学校の中で道に迷って……」
「私が氷の階段で高くに登った時、ローレルおねえさんが学校の3階部分の窓から、私達の戦いを傍観してるの、私、気付いてましたー☆」
「こ、このクソガキぃ!!」
「やっぱりそうよねー。」
ま、彼女に好きなだけ私を利用しても良い、と発破をかけたのは私だ。
文句はいくらでもあるが、不問としよう。
何より、
「貴方が白髭の老人の、魔法反射フィールド展開装置を壊してくれなかったら、勝てて無かったかもしれないわ。」
魔法都市マナランドに訪れるに当たって、ここがネックだった。
私の身体を維持する魔法を阻害する何らかがあると、途端に私は無力になる。
「ありがとうね。ローレル。」
「あ……いや。」
ローレルは困惑している。
「……うん。どういたしまして。私達、友達だもの!これくらい当然よ!」
やがて顔を綻ばせた。
…………いや、コイツが友達は普通に嫌だが。
なんだかんだ裏切る算段だったのに。
だがまぁ。
友達……か。
「アハハッ!」
悪い気分はしないのだった。