第14話
文字数 1,931文字
「この中央都市セントラルの隣街に、魔法都市マナランドがあるのは知ってますよね、リブさん?」
なんやかんやあって、とりあえずアルドさんの持ってきた賞金首の情報を聞くことになった。
「魔法都市マナランド?」
相変わらず下着姿のローレルは首を傾げている。
魔法都市マナランド……と言えば、
「もちろん知っているわ。魔法開発がとにかく盛んなところで、魔法使いの育成とか、魔法道具の作成なんかをやってる都市よね。」
「はい。その通りです。」
アルドさんは時折、下着姿のローレルを不審がりながら続ける。
「あの魔法都市マナランドの中からですね、特大の賞金首が現れたんですよ。」
ほう、特大の賞金首……。
「マナランドの魔法使いは、基本的には皆いい人ばかりなのですが、中には悪行に身を染める輩が居まして。今回の賞金首も、その類です。」
魔法は便利なモノだが、使い方を違えば凶悪極まりないモノに転化する。
だからこそ、誰彼構わず魔法使いになれる訳ではなく、専門学校に長期間通い、魔法使いとしての理念や道徳を学ぶ必要がある。
故に、魔法使いが悪人になる事は少ないのだが……。
「今回の討伐対象は、黒魔術集団ケルベロスを名乗っている組織の幹部3人です。強力な魔法使い3人が手を組んで、魔法都市マナランド内部でやりたい放題しているそうで、マナランドの住民たちも困り果てているそうです。報酬は、1人討伐につき3万ゼニーです。どうでしょう、リブさん?」
報酬には対して興味はないが、3人か。
3人も生きた人間を斬れるのは、なかなかそそられる話ではある。
だがしかし、魔法都市マナランドか……。
「私、その賞金首を討伐しに行きます。」
半裸のローレルが食い気味に言っていた。
「魔法使いなんて言っても、たかが人間でしょ?しかもたったの3人って。ふふふ。ようやく私にもツキが回ってきたわ!上手くいけば、一気に9万ゼニーも稼げる!やるっきゃ無いわよ!」
「あの、さっきから気になっていたんですけど、この下着姿の女性は一体どちら様ですか?」
「あら?昨日も冒険者ギルドで顔を合わせてるはずだけど、私達。」
「え、昨日??」
アルドさんはこめかみに人差し指を当て、昨日の事を思い出そうとしているようだった。
「うーん、すいません。私昔からそうなんですけど、興味の無い物事って全然覚えられなくて。昨日はリブさんが可愛かった事しか覚えていません。」
「あらそう。まあ自己紹介もしてなかったものね。じゃあ改めて自己紹介させてもらうわ。私はローレル・スイートピーよ。ローレルって読んでちょうだい。」
「アルド・シグナルです。以後、お見知り置きを。」
「よろしくね。で、さっきの賞金首の話なんだけど、賞金首ハンターって、別に冒険者ギルドに所属してなくてもなれるのよね?」
「はい。賞金首を討伐して、その証拠さえギルドまで持ち帰ってくれれば問題ありません。ただ……」
「ただ?」
アルドさんの声色が冷たくなった。
「何らかの不幸があったとしても、冒険者ギルドは一切責任は取れません。全て自己責任となります。それを覚悟の上で、賞金首討伐に向かってください。」
「…………。」
ローレルは黙ってしまった。
「ま、私は行くけどね。」
覚悟など、とっくの昔に出来ている。
この刀を握った時から。
「場所が魔法都市ってのがちょっと不安だけど、まあ何とかなるでしょ。」
「……、私も行くわ。」
黙っていたローレルも、やがて決心したようだ。
「どうせこのままだと、生きていけないもの!お金は必要よ!それに、私にはリブが付いてるもの!これ程心強い事はないわ!」
「え?」
「……え?」
「いや、あんたなんて足でまといよ。付いてこないでくれる?」
「…………えぇ??」
「当たり前でしょ。あんた、私が奴隷商人軍団と戦ってた時も座ってただけじゃない。そもそも戦えるの、あんた?」
「た、戦えるわよ!!これを見なさい!!」
そう言ってローレルは、どこからともなく小さな金属を取り出した。
それを見たアルドさんは首を傾げていた。
「なんですか、それ?」
私には見覚えがあった。
「あんた、それは……!」
「そうよ。あの奴隷ハゲからくすねてきたのよ。」
それは奴隷ハゲが銃と呼んでいた武器だった。
「使い方、わかるの?」
「もちろんよ。あのハゲが使ってるのを目の前で見てたもの。」
ほう。
そういう事なら話が変わってくる。
私には通用しなかったが、普通の人間が相手であれば、非常に大きなダメージを与えられるであろう。
「確かこうやって、ここの引き金を……」
パンッ!
…………。
「きゃあああああ!!リブさんのお家に穴が!?」
「ぎゃあああああ!!私の指があああ!?変な方向に曲がってるううう!!?」
やはりこのアホとは行動を共にしない事を、私は強く誓ったのだった。
なんやかんやあって、とりあえずアルドさんの持ってきた賞金首の情報を聞くことになった。
「魔法都市マナランド?」
相変わらず下着姿のローレルは首を傾げている。
魔法都市マナランド……と言えば、
「もちろん知っているわ。魔法開発がとにかく盛んなところで、魔法使いの育成とか、魔法道具の作成なんかをやってる都市よね。」
「はい。その通りです。」
アルドさんは時折、下着姿のローレルを不審がりながら続ける。
「あの魔法都市マナランドの中からですね、特大の賞金首が現れたんですよ。」
ほう、特大の賞金首……。
「マナランドの魔法使いは、基本的には皆いい人ばかりなのですが、中には悪行に身を染める輩が居まして。今回の賞金首も、その類です。」
魔法は便利なモノだが、使い方を違えば凶悪極まりないモノに転化する。
だからこそ、誰彼構わず魔法使いになれる訳ではなく、専門学校に長期間通い、魔法使いとしての理念や道徳を学ぶ必要がある。
故に、魔法使いが悪人になる事は少ないのだが……。
「今回の討伐対象は、黒魔術集団ケルベロスを名乗っている組織の幹部3人です。強力な魔法使い3人が手を組んで、魔法都市マナランド内部でやりたい放題しているそうで、マナランドの住民たちも困り果てているそうです。報酬は、1人討伐につき3万ゼニーです。どうでしょう、リブさん?」
報酬には対して興味はないが、3人か。
3人も生きた人間を斬れるのは、なかなかそそられる話ではある。
だがしかし、魔法都市マナランドか……。
「私、その賞金首を討伐しに行きます。」
半裸のローレルが食い気味に言っていた。
「魔法使いなんて言っても、たかが人間でしょ?しかもたったの3人って。ふふふ。ようやく私にもツキが回ってきたわ!上手くいけば、一気に9万ゼニーも稼げる!やるっきゃ無いわよ!」
「あの、さっきから気になっていたんですけど、この下着姿の女性は一体どちら様ですか?」
「あら?昨日も冒険者ギルドで顔を合わせてるはずだけど、私達。」
「え、昨日??」
アルドさんはこめかみに人差し指を当て、昨日の事を思い出そうとしているようだった。
「うーん、すいません。私昔からそうなんですけど、興味の無い物事って全然覚えられなくて。昨日はリブさんが可愛かった事しか覚えていません。」
「あらそう。まあ自己紹介もしてなかったものね。じゃあ改めて自己紹介させてもらうわ。私はローレル・スイートピーよ。ローレルって読んでちょうだい。」
「アルド・シグナルです。以後、お見知り置きを。」
「よろしくね。で、さっきの賞金首の話なんだけど、賞金首ハンターって、別に冒険者ギルドに所属してなくてもなれるのよね?」
「はい。賞金首を討伐して、その証拠さえギルドまで持ち帰ってくれれば問題ありません。ただ……」
「ただ?」
アルドさんの声色が冷たくなった。
「何らかの不幸があったとしても、冒険者ギルドは一切責任は取れません。全て自己責任となります。それを覚悟の上で、賞金首討伐に向かってください。」
「…………。」
ローレルは黙ってしまった。
「ま、私は行くけどね。」
覚悟など、とっくの昔に出来ている。
この刀を握った時から。
「場所が魔法都市ってのがちょっと不安だけど、まあ何とかなるでしょ。」
「……、私も行くわ。」
黙っていたローレルも、やがて決心したようだ。
「どうせこのままだと、生きていけないもの!お金は必要よ!それに、私にはリブが付いてるもの!これ程心強い事はないわ!」
「え?」
「……え?」
「いや、あんたなんて足でまといよ。付いてこないでくれる?」
「…………えぇ??」
「当たり前でしょ。あんた、私が奴隷商人軍団と戦ってた時も座ってただけじゃない。そもそも戦えるの、あんた?」
「た、戦えるわよ!!これを見なさい!!」
そう言ってローレルは、どこからともなく小さな金属を取り出した。
それを見たアルドさんは首を傾げていた。
「なんですか、それ?」
私には見覚えがあった。
「あんた、それは……!」
「そうよ。あの奴隷ハゲからくすねてきたのよ。」
それは奴隷ハゲが銃と呼んでいた武器だった。
「使い方、わかるの?」
「もちろんよ。あのハゲが使ってるのを目の前で見てたもの。」
ほう。
そういう事なら話が変わってくる。
私には通用しなかったが、普通の人間が相手であれば、非常に大きなダメージを与えられるであろう。
「確かこうやって、ここの引き金を……」
パンッ!
…………。
「きゃあああああ!!リブさんのお家に穴が!?」
「ぎゃあああああ!!私の指があああ!?変な方向に曲がってるううう!!?」
やはりこのアホとは行動を共にしない事を、私は強く誓ったのだった。