第15話
文字数 1,693文字
魔法都市マナランド。
そこは魔法使いによって設立され、運営、管理されている大都市。
時刻は夜。
先程到着したばかりだった。
それ程遅い時間という訳では無いのだが、辺りに人の気配は無かった。
もちろん、私は1人でその場に居た。
「ここに来るのも久しぶりね。」
リーヴァメルツの魔法の効果によって、自身の身体が溶け始めた時、このマナランドにて魔法を学んだ事がある。
「あの時は死に物狂いだったわ。」
魔法を学んだと言っても、基礎の部分のみである。
熟練の魔法使いのように、炎に雷、水や風なんかを操る事は全く出来ない。
ローレルは中央都市セントラルに置いてきた。
銃を撃った時の衝撃で、指が折れてしまったらしい。
彼女は付いて来たいと駄々をこねたが、役立たずのお守りをするつもりは無い。
とはいえ流石に不便に思えたので、新しい服を買えるだけのお金は置いてきてあげたのだった。
「さて、なんだったかしら?黒魔術集団ケルベロス??だったかな、確か。さっさと見つけて、斬り心地を堪能したいものね。」
魔法使いを斬るのは初めてであった。
そのため、若干の胸の高鳴りを感じていた。
「そこのお嬢さん、黒魔術集団ケルベロスを、知っているのかね?」
街の中を歩いていると、しわがれた老人に声をかけられた。
「ええ、知っているわ。なんなら探しているの。」
「ほほう。君のような小さな子供が、一体全体どうして?」
小さな、か。
少し腹立たしい気持ちもあったが、実際に小さいので仕方がない。
「私、賞金首ハンターなの。黒魔術集団ケルベロスは、冒険者ギルドから賞金首登録されたのよ。その討伐に。」
「なんと、賞金首登録……。そうですか。」
老人は頷いていた。
「まあ、妥当ですわな。」
老人の背は曲がっており、杖を地面に付いていた。
これがないと立つのもままならないと言った風情だ。
「彼らは、この魔法都市で暴れ過ぎた。学校を攻撃し、管理局を襲撃し、そして魔法貴族達まで敵に回した。仕方の無い事じゃ。」
老人は寂しそうに目を細める。
「では、ワシは行くよ。お嬢さん。もしかしたら、またどこかで会えるかもしれんのぉ。」
そう言って、杖を付いた老人は踵を返して去ろうとする。
「ちょっといいかしら、お爺さん?」
私はリーヴァメルツを鞘から抜き、老人の首元へあてがった。
「な、なんの冗談じゃ?お前さん……?」
唐突に人を斬りたくなった。
わけでは無い。
「貴方から、邪悪な魔力を感じるのよね。微かにだけど。」
老人の身体からは、鼻につくような、癖になるような、そんな臭気を纏った魔力が流れているように感じられた。
「貴方、ケルベロスの関係者じゃないの?なかなか居ないわよ。こんな私程度でも分かるほど、邪気の強い魔力を垂れ流してる人間は。」
「……。」
老人はこちらに背を向けたまま、動かなかった。
「やはり、お前さんも魔法使いじゃったか。」
「うーん。まぁ、そうね。ギリギリそうとも言えるかしら?一応魔法を使ってるわけだし。」
私の身体は魔法によって、私の身体として整えられている。
「そんな事より、よ。質問に答えてくれないかしら?」
「ふむ。ご明察。ワシはケルベロスの幹部の1人じゃよ。」
言うやいなや、老人の首元を刀で斬り落とした。
「!?」
老人の首を叩き斬ったと思ったのだが、そうはならなかった。
バチバチバチッッ!!
と、老人の居た場所から光が散っていた。
「電気?」
「ふむ。」
老人は少し離れた所に杖をついて立っていた。
「その武器、刀かの?この国では珍しいのぉ。それに、どうやら魔法道具のようじゃな。ワシの電流が少し削られてしもうたわ。」
「どうなってるのかしら?貴方今、一瞬電気にならなかった?」
「ハッハッハ!よく見とるのぉ。その通りじゃ。これはワシが長年掛けて作った自作魔法でな。己が身を電気へと変化させる事が出来るんじゃよ。」
己を電気化……。
という事はつまり、
「貴方がケルベロスの幹部の1人、電撃の魔人ね?」
「如何にも。」
ケルベロスの情報は、アルドさんからある程度聞いていた。
電魔法の使い手、炎魔法の使い手、氷魔法の使い手、と3人それぞれが得意分野の魔法を極めているとの事だ。
そのうちの1人が、今目の前にいる。
そこは魔法使いによって設立され、運営、管理されている大都市。
時刻は夜。
先程到着したばかりだった。
それ程遅い時間という訳では無いのだが、辺りに人の気配は無かった。
もちろん、私は1人でその場に居た。
「ここに来るのも久しぶりね。」
リーヴァメルツの魔法の効果によって、自身の身体が溶け始めた時、このマナランドにて魔法を学んだ事がある。
「あの時は死に物狂いだったわ。」
魔法を学んだと言っても、基礎の部分のみである。
熟練の魔法使いのように、炎に雷、水や風なんかを操る事は全く出来ない。
ローレルは中央都市セントラルに置いてきた。
銃を撃った時の衝撃で、指が折れてしまったらしい。
彼女は付いて来たいと駄々をこねたが、役立たずのお守りをするつもりは無い。
とはいえ流石に不便に思えたので、新しい服を買えるだけのお金は置いてきてあげたのだった。
「さて、なんだったかしら?黒魔術集団ケルベロス??だったかな、確か。さっさと見つけて、斬り心地を堪能したいものね。」
魔法使いを斬るのは初めてであった。
そのため、若干の胸の高鳴りを感じていた。
「そこのお嬢さん、黒魔術集団ケルベロスを、知っているのかね?」
街の中を歩いていると、しわがれた老人に声をかけられた。
「ええ、知っているわ。なんなら探しているの。」
「ほほう。君のような小さな子供が、一体全体どうして?」
小さな、か。
少し腹立たしい気持ちもあったが、実際に小さいので仕方がない。
「私、賞金首ハンターなの。黒魔術集団ケルベロスは、冒険者ギルドから賞金首登録されたのよ。その討伐に。」
「なんと、賞金首登録……。そうですか。」
老人は頷いていた。
「まあ、妥当ですわな。」
老人の背は曲がっており、杖を地面に付いていた。
これがないと立つのもままならないと言った風情だ。
「彼らは、この魔法都市で暴れ過ぎた。学校を攻撃し、管理局を襲撃し、そして魔法貴族達まで敵に回した。仕方の無い事じゃ。」
老人は寂しそうに目を細める。
「では、ワシは行くよ。お嬢さん。もしかしたら、またどこかで会えるかもしれんのぉ。」
そう言って、杖を付いた老人は踵を返して去ろうとする。
「ちょっといいかしら、お爺さん?」
私はリーヴァメルツを鞘から抜き、老人の首元へあてがった。
「な、なんの冗談じゃ?お前さん……?」
唐突に人を斬りたくなった。
わけでは無い。
「貴方から、邪悪な魔力を感じるのよね。微かにだけど。」
老人の身体からは、鼻につくような、癖になるような、そんな臭気を纏った魔力が流れているように感じられた。
「貴方、ケルベロスの関係者じゃないの?なかなか居ないわよ。こんな私程度でも分かるほど、邪気の強い魔力を垂れ流してる人間は。」
「……。」
老人はこちらに背を向けたまま、動かなかった。
「やはり、お前さんも魔法使いじゃったか。」
「うーん。まぁ、そうね。ギリギリそうとも言えるかしら?一応魔法を使ってるわけだし。」
私の身体は魔法によって、私の身体として整えられている。
「そんな事より、よ。質問に答えてくれないかしら?」
「ふむ。ご明察。ワシはケルベロスの幹部の1人じゃよ。」
言うやいなや、老人の首元を刀で斬り落とした。
「!?」
老人の首を叩き斬ったと思ったのだが、そうはならなかった。
バチバチバチッッ!!
と、老人の居た場所から光が散っていた。
「電気?」
「ふむ。」
老人は少し離れた所に杖をついて立っていた。
「その武器、刀かの?この国では珍しいのぉ。それに、どうやら魔法道具のようじゃな。ワシの電流が少し削られてしもうたわ。」
「どうなってるのかしら?貴方今、一瞬電気にならなかった?」
「ハッハッハ!よく見とるのぉ。その通りじゃ。これはワシが長年掛けて作った自作魔法でな。己が身を電気へと変化させる事が出来るんじゃよ。」
己を電気化……。
という事はつまり、
「貴方がケルベロスの幹部の1人、電撃の魔人ね?」
「如何にも。」
ケルベロスの情報は、アルドさんからある程度聞いていた。
電魔法の使い手、炎魔法の使い手、氷魔法の使い手、と3人それぞれが得意分野の魔法を極めているとの事だ。
そのうちの1人が、今目の前にいる。