真那と逢馬
文字数 1,237文字
－PM3時55分－
《3年C組－教室扉前》
ｺｿｺｿ···
ふふ··っ、こじれろこじれろ
(奏良様は私達の奏良様なんだから··！)
(白幡伊織···、アンタにだけは渡さないわっ！)
········
·······ｼﾞﾄｰ
ガラッ
っっっ！！！！！
コソコソ覗いてっけど··、誰か探してんなら呼んでやろうか？
だっ、だだっ誰も探してなどいません！！
ダダッ
逃げた···
·······
(明らかに怪しいな··)
仕方ねえ··
式神よ··我が名の元に··
··出でよ、六合(りくごう)
ポフンッ
ﾋﾟﾔｰｰｰｯ
···六合、あの子に···
···おや？
伊吹くん··、その小さなヒヨコは何です？
っ！？
十朱(とあけ)··
か、可愛らしいですねぇ··
飛んでると言うよりは、浮いているようです
お前···、見えんの？
···は？
見えちゃマズイものなのです？
···マズくはねえが
なんつーか、普通は見えない様になってんだよ
はぁ···そうですか
まぁ、何だか良く分かりませんが伊吹くんはタダ者ではないと言う事で··
··それでは、失礼致します
(十朱 真那(とあけまな)、食えねえヤツ····)
行け····六合··
ﾋﾟﾔｰｰｰｯ
俺の名前は伊吹 逢馬(いぶきおうま)
両親は異常な霊感体質であり
母方の実家は祓い屋家業を営んでいる
その霊感体質は
俺にもしっかりと受け継がれ
百鬼と呼ばれるモノ達から
身を守る為に式神と言うものを
使役出来るようになれと言われて
生きてきた···
で、あのヒヨコっぽいのが
一応··式神の内の一匹だ
(とは言え、百鬼なんて大したこともねーけど···)
(一番面倒なのは、百鬼より人の方だ··)
俺の生活圏内を掻き回すヤツは許さねえ
－PM5時30分－
《和風カフェ》
【まほろば－前】
いらっしゃいませ～っ
どうぞ、【まほろば】へお立ち寄り下さい～っ
へぇ～···、可愛い子発見！
いらっしゃいませ～
ねえねえお姉さん
はい、いらっしゃいませ！
お一人様です？
ああ、１人だよ？
だからさぁ、今から俺と遊びに行かね？
··残念ですが、今はバイト中なので無理です
そんなのどうでも良いじゃん
行こうぜ
·······
····ん？
(ナンパか？)
···今はダメなんですよ～
じゃあ、バイト終わってからでもいいぜ？連絡先教えてよ
·······
(しつこいなぁ)
····あれは
ほら、さっさと連絡先言えって··
···おい
あ？
っ？！
(い··、伊吹君？！)
···そいつ、俺の連れなんだけど？
はあ？！
なんだテメエは！？
···だから、そいつは俺の連れなんだよ···さっさと消えろ
···ぐぐっ
っくそがっ！！！
(ちょっとデカイからって！)
ダダッ
·········
···ふぅ～··
(助かった··)
あ、あの···
お前···、バイトしてんの？
っ？！！！！！
うちの学校ってバイト禁止じゃなかったか？
な···っ、な、な、何で？！
···それはこっちのセリフなんだけど
(伊吹 逢馬···っ！食えないヤツ！！)
