逢馬と黒鉄
文字数 1,449文字
－AM2時05分－
《二ツ神温泉－フロント》
···有り難うございました
········
『鬼灯の間』の屋根裏に置いていた鏡だが、あれは相当ヤバい代物だったぜ
えっ？！
あんなもん置いてたら死人が増える一方だ、悪いが砕かせてもらったからな
···左様でございましたか
それはもう··致し方の無い事でございますね
それから、隣に置いてあった有り難いお経とか言ってた包みだけどな
あれには、殺された女の髪の毛が入っていた
···なっ？！
そ、そんな···
···だから、訳の分からんモノを招き入れたらこんな事になるんだよ
····しかし、我々には見分けが付きません
まあ、そうだろうな
··って事で、玄関に黒猫の置物置いといたから
····は？
今度こそ、有り難い招き猫だぜ？
真っ黒いが眼は碧くてキレイだ
この旅館にとって、本物の守り神になるだろう···そして、間違いなく客入りも良くなるはずだ
···は、はあ
有り難うございます··
ま、そう言う事で
俺達はこれで失礼する
依頼料は例の口座に振り込んどいて
···あっ
因みに、黒猫の置物はサービスだ
大事にしろよ？
···ちょっ、ちょっとお待ちくださいっ！！
···何？
そ、そちらのお嬢様は大丈夫なのですか？！グッタリしておりますが···っ
····あ～
··········
もうね、いつもの事だから
流石におぶるのも慣れたわ
····とは言え、今日は最初から体調が悪かったみたいでさ
でっ、でしたら
今日はもう遅いので空いているお部屋にお泊まり戴いたら宜しいかと··っ
·····え？マジで？
そりゃー助かるぜっ！！こいつ重くてさ、家まで遠いし！
電車もねえし、どうしようかと思ってたんだ
それでは、お手数をお掛け致しましたし、ゆっくりとお風呂にでも浸かって体を癒して下さい
ああっ！
恩に着るぜ！
『鬼灯の間』
····だからって何で鬼灯の間なの
····他に空いていなかったのではないです？
うおっ？！
起きてるなら起きてるって言えよ··
ビックリすんだろ
···すみません
てか、相変わらず重いなお前
····何とでも言ったら良いです
自分で歩くよりは愚痴られた方がマシなので
·····そんなにダルイか
···正直今日は本気でシンドイですね
···じゃあ、布団敷いてあるし先に寝とけ
····はい
俺は風呂に行ってくるからな
ごゆっくりどうぞ··
ガラ－··パタン
ふぅ···
熱が上がってきたかな··
テクテクテクテク－··
(···何の音？)
··········
···小娘
大丈夫か？
····黒鉄さんです？
うぬ··
···ちょっと、宜しいです？
····あ？
ギュウゥゥゥゥ－
っっっっ？！！！！？！
なっ、何をするかっ！！！
···ふふ
ふわっふわぁ～··、温かくて幸せです～···少し抱き枕になってて下さい
····なっ？！
···ｽｰ ···ｽｰ
···早っ
······ふん
仕方あるまい··少しだけだからな
－AM2時50分－
『鬼灯の間』
ガラ－ ﾊﾟﾀﾝ－··
···········っ？！
な···、何してんだよ
黒鉄っっ？！
あ～···？
何だ···逢馬？わしはただ寝ていただけだぞ？
そっ、それが大問題なんだよ！！
···意味が分からん
····ﾜﾅﾜﾅ
人型で十朱と添い寝してんじゃねえっ！！！！
···ぬっ？！
····くっ
ありゃ～···しまった··
つい···な？
そう言う事もあろうがw
ｽｰ··ｽｰ··
