大切な人の為に
文字数 1,157文字
－PM4時55分－
《セントラル病院－206号室》
···しかし何の根拠もありませんが
··········
もし、仏眼が関わっているとしたら
何が目的で鬼門を開き、陵さんを狙うんだ？
ﾓｿﾞﾓｿﾞ――··
この間の二ツ神温泉でな··
小汚ない鏡を割る前に、仏眼が鏡の中に姿を表したのだ
っ！！
···なっ？！
マジで？！
その時に、あやつはわしを認識している··、邪魔なヤツが現れたと思ったはずだ
···それで、俺を人質にして黒鉄に邪魔をされないようにしようとしたって事か？
···その可能性は高い
···鬼門は
····ん？
鬼門とは···、鬼が出入りすると云われている門ですよね
····ああ
···伊吹君のお父様とお母様がお若い頃、二ツ神に住んでおり
そして、お父様の為に鬼門を閉じたとおっしゃっておりましたが··
···うん、そうだよ
アスマ君が小さい頃に受けた重たい運命をレンちゃんが救ってきたんだよ
···おぉ
素敵ですね··
鬼門ってのはさ、北東の方角にあって
未だに忌み嫌われてんだろ？
まぁ··、人は表鬼門(北東)と裏鬼門(南西)を確実に避けて生きているのは確かだ
そして、その表鬼門がまさにあの辺に存在している··当時レンが鬼門を閉じるまでは百鬼だらけだった
当時のアスマにとっては死と隣り合わせだったはずだ
···俺はまだ、父さんの事情をよく知らないんだよな··
···と、言っても当時のレンとて未熟者には変わりないからな、半径1㌔程度しか閉じてはおらぬぞ
あの時、アスマ君が住んでいたアパートを中心に半径1㌔だから、うちの店から二ツ神駅まで含まれてんだよね
···なるほど
何気に黒猫マートも守られてたんですね
···伊吹君のお母様って、実は凄い方だったのですね
···ふん、そんなもん無くとも佐助はわしがずーっと守ってきたのだ
それがまさかのマタタビごときにやられるとはね～
····ぬぅ··っ
佐助の珈琲を疑う事などあるはずもないのだ！
まあまあ··
取り敢えず、そのぶつげん？って奴の目的を知る必要があるよね？
···うぬ
それについてはわしが調べる
···それでは、また何かの時は微力ながら助太刀致しますので遠慮なくおっしゃって下さい
···だな！
よしっ、陵さんも元気になったし今日はこれで失礼します
うん！
わざわざ来てくれて有り難うね～
ガラ――··· ﾊﾟﾀﾝ
···まったく面倒な事だ
俺にもあの子達の様な能力があれば、黒鉄にだけ苦労をかけずにすんだのにな··
···その必要はない
面倒ではあるが、それがわしの生き甲斐でもあるのだ
ははっ
ほんっと可愛いなぁ黒鉄は～っ
·········
そして黒鉄は少し照れ臭そうにしながら
静かに布団の中に戻って行った··
