黒猫マート
文字数 1,171文字
－PM11時15分－
《二ツ神駅前－黒猫マート》
よしっと···
もうこんな時間か···
おい、佐助··
···ん？
どうした黒鉄？
今日はもう店じまいをした方が良いのではないか？
···黒鉄
ここは24時間営業が売りのコンビニだぞ··？
···20年前にレンが閉じた鬼門が、最近になって開き始めておるのだ
····え？
今更か？
ああ、今更だ··
だが何故かは知らぬ
レンの結界が不完全だった訳ではない
因みに···
鬼門が開くとどうなるんだ？
まぁ···、冥界からの死者が人に紛れてこの店に買い物に来るやもしれぬな
·············
何の問題もないな
···わしは知らんぞ？
···何かあったらお前が守ってくれるんだろ？
··········
当然だ
と、その時···
ピーンポーン
っ！！！
ビクビクするな佐助
客が来たぞ
············
陵さんっ！
こんばんは！！
あっ、アスマくんっ！？
陵さん！お久しぶりです！
レンちゃんまで！！！
良く来たね！！
ホントにお久しぶりですー！
ビックリしたよー！
一体こんな時間にどうしたんだい？
先日、うちの息子が二ツ神温泉からお祓いの依頼を受けて仕事をしに行ったんですが
その後の様子を見がてら温泉に浸かって、夕ご飯を食べて来たのです
あまりにも心地よくて、のんびりしていたらこんな時間に～
ははっ、成る程ねっ！
二ツ神温泉は人気ある温泉だからねぇ！
···ふんっ
オウマも小娘も、女の霊に翻弄されておったがな
···まだまだ未熟すぎるぞレン
っっ！！！
申し訳ありません黒鉄さんっ！！
先日は本当にお世話になりました··
良いんだよレンちゃん
黒鉄が退屈しないでいられるのは君達のおかげなんだから
最近じゃ黒鉄もうちに入り浸ってるからなぁ
ホントにね
俺の守護はそっちのけかー？
佐助、お前に何かあればすぐ分かるからな··、店番させられるよりはオウマの子守をしとる方がまだましだ
ははっ
なるほどな！
因みに今日は、何年か前に一家惨殺事件が起きた屋敷の地主から依頼が来てまして
その対応の為にオウマとマナちゃんが向かいましたよ
····殺人事件か
この世にはまだまだ様々な理由で成仏出来ない霊が沢山いるんだな··
···そうですね
この辺りもまた、少し嫌な気配がしてきています··
黒鉄さんが居る時は大丈夫でしょうが、居ない時は陵さんも気を付けて下さい
·········
うん
有り難うレンちゃん
それじゃあまた～っ
と言って二人は帰って行った···
···何故レンに言わなかったのだ
あの子達はもうこの辺に住んでいる訳じゃないし、レンちゃんが鬼門を閉じたのはアスマ君の為だったからね
二人でようやく幸せを掴んだのに、こんな事に巻き込めないでしょ
·········
···そうか
···だが、結局このあと
黒鉄が心配する様な事になろうとは
今はまだ知るよしもなかった
