第８９話 １２月２５日
文字数 2,019文字
冬休みに入った24日の昼頃、あたしはひなちゃんのパソコンにメールを送った。明日どうしてもひなちゃんと会いたいねんけど、会える？ って。するとすぐにスマホが鳴った。スマホを見てみるとひなちゃんの自宅からだった。あたしはすぐに電話に出る。
「あっ、ひなたやけど」とひなちゃんがかわいい声で言う。
「ひなちゃん、番号見たら家電やったけど大丈夫なん？」
「母さんがな、鹿渡さんやったら電話使ってもいいって言うから」
「そうなんや。あたし、ひなちゃんのお母さんに害のある存在って思われてへんのや」
「害のある存在って…。まあ、それはどうでもいいけど。明日なんかあるの？」
「あるよ。だからひなちゃんに絶対直接会いたいねん」
「そうなん。わたしは予定ないから別に問題ないよ」
「良かった～。それやったら明日の昼の１時におりいぶ公園で待ち合わせってどう？」
「うん。わかった。１時におりいぶ公園に行く」
「ありがとうひなちゃん。関係ないけど、ひなちゃんってうちではそんな話し方なんや」と言うとひなちゃんは小声で「母さん居るねん」とささやいたので、あたしはひなちゃんも大変なんやなぁって思って電話を切った。
25日にあたしがおりいぶ公園に行くといつものベンチに座っているひなちゃんがいた。ひなちゃんは白いダッフルコートに黒チェックのストレートパンツ、白とグレーの厚底スニーカーを履いていた。私服のひなちゃんはやっぱりかわいいなぁと思いながらひなちゃんに近づいて行くと、ひなちゃんがあたしに気が付いてベンチを立った。
「今日はちょっと寒いな」とひなちゃんはあたしに声をかけた。その姿があまりにもかわいくて思わず抱きしめたくなるのをぐっと我慢してあたしは「そやな、ちょっと寒いな」と答えてひなちゃんの右側に座った。ひなちゃんも座る。
「どうしても今日会いたいって、何かあるん？」
「今日はひなちゃんの誕生日やろ？」
「あれ？ 俺、鹿渡に教えたかな？ 言ってないと思うんやけど」
「何言ってっるん、ひなちゃん。メールアドレス見たらだれでもすぐわかるわ」
「あ～そうか。確かにhinata1225やもんな」
「ひなちゃんお誕生日おめでとう。それでこれ、誕生日プレゼント」とあたしは持っていた大きめの紙バッグを渡す。
「ありがとう。なんか悪いな、気使ってもらって」とひなちゃんは言う。
「いいえ」
「早速開けてもええかな？」
「ええよ。ひなちゃんが気に入ってくれるとええんやけど」
するとひなちゃんは紙バッグからビニール袋を取り出して中を確認してプレゼントを取り出した。
「これ、マフラーやん。俺、マフラー持ってなかったからめっちゃ嬉しいわ」と白メインに薄いグレーの模様の入ったマフラーを空に掲げて嬉しそうに笑う。その姿を見たあたしはひなちゃんにプレゼントを気に入ってもらえたことに安堵する。
「その太フリンジマフラーな、ハニーズのやからひなちゃんに似合うかなって思ってん」
「こんなん貰ってええの？ 高かったんちゃう？」
「選んだのはあたしやけど、実はお金出してくれたのはお父ちゃんやねん。それにそこまで高いやつやないよ」
「ありがとうな、鹿渡。お父さんにもお礼言っといてな」とひなちゃんが言うとマフラーを首元まで持ってきて「早速巻いてもええ？」とあたしに聞いた。
「もちろん、ええよ」とあたしは答えると、ひなちゃんはマフラーを巻いた。その姿がめちゃくちゃかわいくて「ひなちゃんめっちゃかわいいよ」と自然に言葉を漏らしてしまう。もうかわいすぎて思わず暴れてしまいそうになるくらいひなちゃんに似合っていた。
「かわいいじゃない。似合ってるや」とひなちゃんが言うのであたしは言いなおして「ひなちゃん、そのままこっち見てて」とスマホを取り出して写真を撮りまくる。ひなちゃんもあたしに写真を撮られるのを完全に慣れ切っているかのようにとてもかわいく微笑んでくれていた。
「これで写真は終わり。鹿渡のお父さんに頼まれてたんやろ？ サービスはここまで」
「バレてた？」とあたしはスマホをダウンジャケットのポッケにしまう。
「鹿渡からのプレゼントやけど、鹿渡のお父さんからのプレゼントでもあるしな」
「まあ、ある意味そうやな」
「でも、ホンマにありがとな」とひなちゃんはベンチを立つ。あたしもベンチを立った。
「今日は寒いからな。これくらいにしとこうか？」
「うん、そやね」とあたしは答えてひなちゃんに抱きつく。だけどひなちゃんは何も言わずに素直にあたしに抱きつかれていた。
「今度は2年参りのときやね」
「そやな、深夜やからあったかいかっこして来や」とひなちゃんはあたしの胸の中で言う。
「わかった」と言ってあたしはひなちゃんをゆっくり離した。だけどダウンジャケットの上からでもひなちゃんのぬくもりを感じてあたしは何だか心地よくなりながらもひなちゃんと別れる。だけど帰り道にさっき撮ったばかりのひなちゃんの写真を見ていると寒い今日がすこし暖かく感じた。
「あっ、ひなたやけど」とひなちゃんがかわいい声で言う。
「ひなちゃん、番号見たら家電やったけど大丈夫なん？」
「母さんがな、鹿渡さんやったら電話使ってもいいって言うから」
「そうなんや。あたし、ひなちゃんのお母さんに害のある存在って思われてへんのや」
「害のある存在って…。まあ、それはどうでもいいけど。明日なんかあるの？」
「あるよ。だからひなちゃんに絶対直接会いたいねん」
「そうなん。わたしは予定ないから別に問題ないよ」
「良かった～。それやったら明日の昼の１時におりいぶ公園で待ち合わせってどう？」
「うん。わかった。１時におりいぶ公園に行く」
「ありがとうひなちゃん。関係ないけど、ひなちゃんってうちではそんな話し方なんや」と言うとひなちゃんは小声で「母さん居るねん」とささやいたので、あたしはひなちゃんも大変なんやなぁって思って電話を切った。
25日にあたしがおりいぶ公園に行くといつものベンチに座っているひなちゃんがいた。ひなちゃんは白いダッフルコートに黒チェックのストレートパンツ、白とグレーの厚底スニーカーを履いていた。私服のひなちゃんはやっぱりかわいいなぁと思いながらひなちゃんに近づいて行くと、ひなちゃんがあたしに気が付いてベンチを立った。
「今日はちょっと寒いな」とひなちゃんはあたしに声をかけた。その姿があまりにもかわいくて思わず抱きしめたくなるのをぐっと我慢してあたしは「そやな、ちょっと寒いな」と答えてひなちゃんの右側に座った。ひなちゃんも座る。
「どうしても今日会いたいって、何かあるん？」
「今日はひなちゃんの誕生日やろ？」
「あれ？ 俺、鹿渡に教えたかな？ 言ってないと思うんやけど」
「何言ってっるん、ひなちゃん。メールアドレス見たらだれでもすぐわかるわ」
「あ～そうか。確かにhinata1225やもんな」
「ひなちゃんお誕生日おめでとう。それでこれ、誕生日プレゼント」とあたしは持っていた大きめの紙バッグを渡す。
「ありがとう。なんか悪いな、気使ってもらって」とひなちゃんは言う。
「いいえ」
「早速開けてもええかな？」
「ええよ。ひなちゃんが気に入ってくれるとええんやけど」
するとひなちゃんは紙バッグからビニール袋を取り出して中を確認してプレゼントを取り出した。
「これ、マフラーやん。俺、マフラー持ってなかったからめっちゃ嬉しいわ」と白メインに薄いグレーの模様の入ったマフラーを空に掲げて嬉しそうに笑う。その姿を見たあたしはひなちゃんにプレゼントを気に入ってもらえたことに安堵する。
「その太フリンジマフラーな、ハニーズのやからひなちゃんに似合うかなって思ってん」
「こんなん貰ってええの？ 高かったんちゃう？」
「選んだのはあたしやけど、実はお金出してくれたのはお父ちゃんやねん。それにそこまで高いやつやないよ」
「ありがとうな、鹿渡。お父さんにもお礼言っといてな」とひなちゃんが言うとマフラーを首元まで持ってきて「早速巻いてもええ？」とあたしに聞いた。
「もちろん、ええよ」とあたしは答えると、ひなちゃんはマフラーを巻いた。その姿がめちゃくちゃかわいくて「ひなちゃんめっちゃかわいいよ」と自然に言葉を漏らしてしまう。もうかわいすぎて思わず暴れてしまいそうになるくらいひなちゃんに似合っていた。
「かわいいじゃない。似合ってるや」とひなちゃんが言うのであたしは言いなおして「ひなちゃん、そのままこっち見てて」とスマホを取り出して写真を撮りまくる。ひなちゃんもあたしに写真を撮られるのを完全に慣れ切っているかのようにとてもかわいく微笑んでくれていた。
「これで写真は終わり。鹿渡のお父さんに頼まれてたんやろ？ サービスはここまで」
「バレてた？」とあたしはスマホをダウンジャケットのポッケにしまう。
「鹿渡からのプレゼントやけど、鹿渡のお父さんからのプレゼントでもあるしな」
「まあ、ある意味そうやな」
「でも、ホンマにありがとな」とひなちゃんはベンチを立つ。あたしもベンチを立った。
「今日は寒いからな。これくらいにしとこうか？」
「うん、そやね」とあたしは答えてひなちゃんに抱きつく。だけどひなちゃんは何も言わずに素直にあたしに抱きつかれていた。
「今度は2年参りのときやね」
「そやな、深夜やからあったかいかっこして来や」とひなちゃんはあたしの胸の中で言う。
「わかった」と言ってあたしはひなちゃんをゆっくり離した。だけどダウンジャケットの上からでもひなちゃんのぬくもりを感じてあたしは何だか心地よくなりながらもひなちゃんと別れる。だけど帰り道にさっき撮ったばかりのひなちゃんの写真を見ていると寒い今日がすこし暖かく感じた。
