第3話 同じクラス

文字数 1,013文字

 中2になったあたしはひなちゃんと同じクラスになった。席もとなり。こんなにドキドキして嬉しいことはなかった。いつも遠くから見つめていたひなちゃんがすぐとなりにいる。あたしはホームルームの先生の話も聞かずにずっとひなちゃんを見つめていた。相変わらず体操服だけど。女の子の制服を着たらめっちゃ可愛いんだろうな。まじかで見ると初めて見たときと比べて子供ぽっさが抜けて完全な美少女になっていたひなちゃんはくっきり二重でまつげも長い。一重瞼のあたしと全然違う。唇も柔らかそうだなぁ。そんなことをとめどなく思いながらひなちゃんを見つめていると、急にひなちゃんがこっちを見てあたしに言った。
「さっきからなにジッと見ているんだよ、そんなに俺が珍しいか?」
その声がまたかわいくて本当は女の子じゃないかと思ったけど、内容は思いっきり泉州弁丸出しの男の子の発言だった。あたしが戸惑っていると「鹿渡やったけ、何か前から俺のこと見てくるな」と言い、ひなちゃんはあたしの名前知っていてくれたんだとますます嬉しくなった。
「ひなちゃんはかわいくて目立っているから、つい見てしまうねん」
「そういう鹿渡かって目立っているぞ」
「身長がね。173あるから。でもバレー部じゃあないよ」
「そんなん知っているし。それになんで身長だけでクラブ決まるねん。それやったら俺、何部に入らんなあかんのや。145やぞ」
「ごめん。みんなに言われるからついネタで」
「なんで謝るん。身長なんて人それぞれや。他人にとやかく言われる筋合いないし、俺もそんなつもりで目立っているって言った訳やないから、そこは悪かった。ごめんな。なんかいつも笑っているなぁと思っとっただけやから」
「ひなちゃん見てたら笑顔になるねん」
「なんやそれ?」
「分からん」
「俺の方が分からんわ」
そんなやり取りをしていると先生に怒られてひなちゃんとの初めての会話は終わった。

 休み時間になるといつも一緒にいる西野君が来てひなちゃんと楽しそうに野球の話をしていた。ああそうだ、西野君も同じクラスやったなぁ。自己紹介で西野新太、野球部ですって言っていたな。あたしは野球全然分からないけど、ひなちゃん野球が好きなんだ。1年のときに前田さんが言っていた通り見た目はあんなにかわいいけど、中身は男の子なんだなと思った。それでもあたしはひなちゃんとは友達になりたい。そのためには2年のクラスカーストが決まる前に積極的に話しかけようと決めた。
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