第2話 クラスカースト

文字数 1,223文字

 スクールカーストという言葉は知っていた。小学生の頃は仲のいい子たちでよく集まっていたけど、そのグループに優劣はなかった。だけど中学に入ったら自然と仲良くなったクラスのグループ間に優劣がついていた。これがスクールカーストなんだとあたしは初めて身体で理解した。あたしは女子2軍。入学式のときに声をかけてくれた前田さんも2軍。2軍とは陽キャでも陰キャでもないごく普通の生徒の集まりだ。3軍は陰キャや気の弱い子が中心になっている。そこはあまり小学生時代と変わらないけど、大きく違っていたことは中学ではあたしたちの方から陽キャでかわいい子が中心の1軍女子に話しかけにくい雰囲気に変わっていたことだ。1軍は2軍、3軍に話しかけてあげる。逆に2軍、3軍は1軍に話しかけさせてもらう。そんなルールが自然と出来ていた。もちろん男子と話をするのも自分の所属する軍のレベルに合わせないといけない。もしあたしが1軍男子としゃべると1軍女子からの圧力がある。あからさまな嫌がらせはないけど、裏でLINEとかを使って悪口を言われる。直接あたしの耳に届くことはないけど、やっぱり嫌な気持にはなる。何だか大人になるって思った以上に大変なんだなぁとしんみりと実感する。バレー部に入った前田さんが言うには部活にはクラスのようなはっきりしたカーストがないそうだ。やはり2年生、3年生がいるからかなぁなんてあたしは思ってみたりした。美術部幽霊部員のあたしにはクラスが学校の中心なのでよくわからないけど。

 あたしは身長のことでよく男子にいじられた。バレー部じゃないの? とか何で美術部なん? 身長高い意味ないやんとかいろいろ。でも1軍男子からいじられるのはある意味仕方がないことで、もちろん覚悟はしていた。小学校の頃から男子はいつもそんなものだった。だけど女子がみんなでかばってくれた。しかし中学では直接かばってくれることなく1軍女子からは鹿渡は無意味にでかいだけで運動音痴なんだよって笑われた。小学校の友達の花房(はなふさ)さんから笑われたときはショックだったけど。昔は「でか」はスタイルがいいからうらやましいとか言ってくれていたのに。でもこの容姿は自分で何とか出来るものではないので、あたしはそんなに気はしていなかったけど2軍女子のグループLINEで慰められるたびに、そんなに気を使わないで欲しいなぁとすごく感じる。

 そんな中でも私の中学生活は比較的良いスタートを切れなのかな。自分の部屋のベッドに横たわりスマホをいじりながら、あたしはひなちゃんのことを考える。ひなちゃんは無茶苦茶かわいいのでもちろん1軍なんだろうな。あれ、でもひなちゃんって男の子だから男の子のグループの中では異質なんだよね。仲間外れにされていないかなと思うけど、ひなちゃんにはいつも一緒にいる男の子がいるので大丈夫か? そうだ明日のお弁当に卵焼きを入れよう、卵あったのかなぁと考えが脱線し始めたあたしは部屋の電気を消した。
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