(終)神の眷属~消える世界~
文字数 5,186文字
この世界の光と影、暗部、不都合な真実をご紹介するー
同じ事、似たような話の繰り返しだからさ、堂々巡りで抜け出せない牢獄みたいなものだからさ。
バス・鉄道乗りつぎ旅、食べ物ランク付け、秘境の一軒家、動物&おつかい子どもにハズレなし・・テレビは人気が出れば、すぐマネをする、どのチャンネルも似たような番組ばかりになる。ラノベも同じ、異世界はいつのまにかテンプレになってしまった。なぜ異世界は中世で
”これからの小説”は知識や説明というものはあまり必要ないだろう、AIに奪われるからな。自称、物知り・天才、なオレ(私)と思うのなら、構成やストーリーの方に頭を使え、創作力だけはまだ人間の方が上だ。
しかし只のうんちく話、知識・説明話は必要なくなる!AI(チャットGTP等)に聞けばわかるからな、まだ間違いも多いけどAIの進化は早いから、すぐに追い越されるぞ。
出版社だってAIは使う、つまり評論・解説をつらつら書いてるだけの小説家はクビってことさ
時代は変わってきているのだよ・・昔は良かったなあ懐かしいなあ、と思いこんでるロートル「
そもそもパソコンでデータ納品すんな!小説も当然、紙の原稿用紙に書けよ!そこらへんはなぜか無視するんだよなぁ?裏方仕事をスルーして、紙の本(おいしいとこ)だけ取ろうとする
おっさんが全員、懐古好きだとでも思うのか?懐メロ聴いてると思ってんのか?断じてNON(ノン)だ!平成や昭和の青春話を書けば、歓喜の涙を流しながら”いいね”ボタン押すだろう、とか勘違いしてるんじゃねーだろな?
ひいぃぃ・・(だからって何?)
何を言ってるんだ?戦争はつづいているが、フーチン大統領はそんなバカなことはしないさ。日本は電気代もガス代も少し上がったくらいでインフラも無事だよ、EU諸国よりマシだろ、コロワウイルスも下火になりみんな忘れて、週末は飲んで騒いで、ショッピングや旅行に繰り出して平和だよ・・ククク、戦争なんて遠い国のことさ、どうでも良いじゃないか、ゲフフフ・・
直さんは手を伸ばし、鎌出の腕をとらえようとする・・・が、その瞬間、直さんは消え失せた!
とまどう、鎌出と女神・・イスに描かれた魔方陣は、まだ光っている。
だが、直さんの姿が見えないのだ?
あぶないところだったな、鎌出・・
いつの間にか半開きの
ドアが開くと、マジ顔のアッセン先輩が両手をカウンターに向けながら立っていた。
よく見るとイスの上の魔方陣の空間がぼやけている、ゆがんでいる・・
しかし直さんの声は、まだ聞こえるのだ
なんじゃこりゃー?「Bar」が見えんぞー、どこへ行った~~?
ぐぬぬぬ・・・
ぼわああぁぁ..
気体のような淡い光のような、妙な空気がイスを包んだかと思うと・・
次の瞬間、再び直さんが実体化した!
ギヒヒヒ・・神々よ、お前たちを信じれば、ロシアとウクライナの戦争は終わり、祈っていれば犠牲になった者が生き返るのか?
ロックミュージシャンはなぜファ●キンな神の歌を
ヒヒヒ・・神様なんていないよ
宗教はだいたいそうだろ、唯一神はウチらだけだと?それを他人に押しつけ合うから戦争になるんだよ!いいかげん都合の悪い事実を受け入れろよ・・
(小さくうなずく神々たち・・直さんはまだ気づいていない?)
そうだ!ヒマワリの種、パイナップル、フィボナッチ数列や黄金比が自然界に入っているということは、この世界は誰かが数学で構築した世界とも考えられるのだ。自然法則の[定数]は数式で表される。
ラノベに例えれば「魔法世界」ではなく「数学世界」の異世界なんだよ、人間の世界はな・・・
ぴくぴくと、手が震えている女神長が言葉を発する
おだまり~! (ドロン・・と化ける女神長)
~~ヴァジュラ~~(女神長の合わせた手のひらから、ピカッと光が発した)
光のあと、ペルセポネの手からは黒い塊が発生し、手をはずしても、だんだんと大きくなってくる、
それは真の黒、漆黒の闇のように周りを溶かしてゆく・・・
(驚きもしない直さん)
ここはシンバシと言ったね?ただオレは、ここへ来てから一度も電車の音を聞いたことがないのだが・・オーナーさんも含めて、鎌出も、女神ちゃんも、先輩も、皆あのドアから入ってくるよな(ちらりと扉を見る)普通の店ならば、裏口から従業員や業者が出入りするものだろう?
なぜ店の扉から全員が入ってくるのだ?
突然、直さんは立ち上がり、おしりに椅子を付けたまま扉に向かって走り出した!
初めて場所を移動したのである、店の外へ、扉をあけて・・・
バタン・・・
本当に厄介だね特異点・・ここはエルゴ領域にある「シンバシ」なのさ、特異点がここにいること自体、何かの間違いなんだよ!
女神長の後ろからは、神々たちがそろって出てきた・・・
黒い球体は大きくなり、店の半分は球体に飲まれ溶けかかっていた
直さんの体はちぎれ、バラバラになり、角から消えてゆく・・
UOOOO..暴風のような音と光のなかで、シンバシ全体が・・家も店もイスも魔方陣も道も・・総てがバラバラ、チリになり、光の粒となり、黒い球体に飲み込まれていった・・・
シンバシは・・・虚空に浮かぶ小さな箱庭だった
まさに創造主(神)である
暗く、なにもない宇宙のような空間に浮かんでいる五人の神々たち・・
肩で息をしている女神長、
ハアハアハア・・
もう・・
アッセン先輩が空間ゲートを広げる・・・宇宙空間に光の穴が開いた、
女神長を先頭に、光の中に次々と入ってゆく神々たち・・・
最後の方で鎌出はふと、直さんの消えた虚空を見つめた、もう何も無い宇宙に戻っていた
万能の神でも「事象の地平面」に消えた情報の再構築は不可能なのである。
(いつかまた・・会えないかな?)そう思いながら鎌出は光の中へ消えていった。最後に先輩が入ると、ゲートはゆっくりと閉じられてゆく・・・
シンバシの夜が明けることはなかった
なぜならここは暗い宇宙だったから、ずっと夜の世界だから・・
虚空に浮かぶ小さな箱庭、星ですらない、その箱庭が復活することは二度とないだろう。
ー了-