第6話 不気味な視線

文字数 495文字

「バルジ」
 小声でささやくと老騎士は頷いた。
 やはり感付いていたのだ。遠方からの視線を。何か得体の知れない強大な術者の存在に気付いていた。
 やはり、この子達には何かある。生かしておいてどうするつもりだったのか? その究明には時間がかかる。だが、放っておく訳にはいかない。だから養子という案は手元に置くということは安全面でも良い意味だ。
「坊主、お主が騎士王の養子になればあれ位の芸当はすぐに出来るぞい」
 老騎士が少々大袈裟に語る。少年は興奮して浮かれている。
「やったー!」
「本当にすみません。騎士王様。私達の身を引き受けて下さるなんて」
 ルナは教養がありそうな少女だ。多分すぐに基礎を覚えるだろう。
「ルナ、お前、お嬢様じゃないだろ。俺と同じ位打ち合えるのに何遠慮してんの?」
「ナッ、馬鹿エブリ! 何て心無い言葉を口にするの? 少しは気遣ってよ!」
「ルナ、君も流水の型を?」
 自分の率直な疑問にルナは慌てて答える。
「ま、まあ、エブリの相手に出来る位には。ですけど、私はお母さんからまだまだと言われていましたから!」
 そりゃ、そうだろう。次期騎士王と目された人物からすれば上位の者でもまだまだだ。
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