第23話 エブリ視点 試合

文字数 648文字

 闘いとは相手をかわし、打ち負かした方が楽である。先手を取る方法もあるが、それではルナに先読みされてしまう。
 だから取る戦法は一撃必殺にする。抜刀術で決まる。
 ルナは動かない。いや、動けないのだ。先に動けば一撃必殺の技を決められてしまうおそれがあるからだ。
 ルナが構えるのを止めた。諦めたとは思えない。剣を下に構え、両手は祈る姿勢を取る。あの型はもしや。
 自分も同じ姿勢を取る。
 大地がゆれる。それでもルナは姿勢を崩さない。
 
 やはり神光の型か。

 奇跡の型とも呼ばれる型。使い手をあらゆる災厄から護る型。

 危うかった。抜刀術で対応していたら切り返されただろう。
 地上が小刻みに揺れる。自分達の周囲に光の刃が現れ始める。それも幾千もの数だ。光の刃は円を描く様に他の刃達と交わっていった。
 形勢は互角か。
 神光の型は自分達の思うように動かすものではない。神聖な力そのものが光の刃を誘導するのだ。
 しかし、技量が同じなら神聖な力も働き加減も同じようで一向に決着がつかない。
 それでも体力の消費が激しい型だ。ルナは自分程丈夫ではない。

 さて、ルナはどう出るか? 答えは明快。

 短期決戦だ。

 全ての聖気を注ぎ込む気だ。その証拠に刃の動きが激しくなっている。呼応しているのだ。
この手は見せる気はなかったが、ルナがこれ程の使い手なら相応しい。
「神光の型・極限」
 こちらの光の刃は極限まで輝く。太陽の如く、相手の刃を呑みこむ。
 それでもルナはあきらめない。
 幾千の刃がルナに迫ろうとする中、不意に意識が途切れる。
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