第26話 エブリ視点 暗黒面との邂逅
文字数 562文字
馬は要らない。走りで旅を続ける。その方が修行にもなるからだ。王都を出て半年経った。目指すは辺境の地。もうそろそろ人里に着く筈だが。
一瞬、異様な気配を感じ取った。人里に何かいる?
足音を消し、最速で人里に向かった。森を抜けると異臭が漂う。
血の匂いだ。
倒れている村人を発見して脈を探ったが、手遅れだった。
全体的に小さな集落の中で生き残りはいそうにない。ただ一人、首謀者と思しき人物を除いては。
不気味な人物だった。黒いローブをまとい、顔も明らかになっていない。口元が見えた。不気味な嗤いを浮かべていた。
「エブリ・バディ」
しわがれた男の声でそう発せられた。
「何者だ? 俺の名を知っているのはどういう訳だ?」
「親は子供の名を憶えているのじゃよ」
親? 今そう言ったのか? この男が自分の親だと言うのか? だが、この感覚に訴えるものは。
「気付いておろう。お主は。気の流れの酷似。わしの系譜であることに」
「お前は一体……」
「余の名はカイン。最初の人の長子にして闇の王よ。聖典は読んだこともあろう」
「馬鹿な。それは何千年も大昔の出来事だ。そんなに人は生きられないし、洪水で滅んでいる筈だ」
「余は生き抜くために魔導を極めた。不老長寿の力を得ておる。神の洪水とて我が身は滅ぼせぬ。しかり、お主がわしを倒せぬことも定められたことよ」
一瞬、異様な気配を感じ取った。人里に何かいる?
足音を消し、最速で人里に向かった。森を抜けると異臭が漂う。
血の匂いだ。
倒れている村人を発見して脈を探ったが、手遅れだった。
全体的に小さな集落の中で生き残りはいそうにない。ただ一人、首謀者と思しき人物を除いては。
不気味な人物だった。黒いローブをまとい、顔も明らかになっていない。口元が見えた。不気味な嗤いを浮かべていた。
「エブリ・バディ」
しわがれた男の声でそう発せられた。
「何者だ? 俺の名を知っているのはどういう訳だ?」
「親は子供の名を憶えているのじゃよ」
親? 今そう言ったのか? この男が自分の親だと言うのか? だが、この感覚に訴えるものは。
「気付いておろう。お主は。気の流れの酷似。わしの系譜であることに」
「お前は一体……」
「余の名はカイン。最初の人の長子にして闇の王よ。聖典は読んだこともあろう」
「馬鹿な。それは何千年も大昔の出来事だ。そんなに人は生きられないし、洪水で滅んでいる筈だ」
「余は生き抜くために魔導を極めた。不老長寿の力を得ておる。神の洪水とて我が身は滅ぼせぬ。しかり、お主がわしを倒せぬことも定められたことよ」