第20話 エブリ視点 ルナの小麦に対する考察

文字数 519文字

 そういう点では自分達は恵まれている。村にいた頃は食事も困ることもあった。母が山に籠って野生動物を狩って大判振る舞いしてくれなければ飢え死していたであろうし、今は父の庇護下にあるから食料に困ることはない。

 食料のことで思い出せた。
「ルナ、ところで小麦の交配は上手く行っているのか?」
「中々手強いわ。神様がお創りになったものだもの。そうそう上手く行く訳ないわよね」
 貧困を解消しようとルナが始めたのが沢山収穫出来る小麦の作り方だった。

 何でも小麦の中で現れる実りの多い品種を見極める為に農家の土地を借りて栽培しているのだが。子女がやることと言うより、学者がやることに近い。ルナはそれ位には知的ではあるのは確かだが。ルナの語ることは時々不可思議めいていた。

 小麦は一粒一粒が異なるものだと言うのだ。

 自分からすればパンにすれば全部一緒じゃないかと思うのだが、ルナにとっては違うらしい。

 一粒一粒が特性を持っているらしいのだ。だからルナは小麦の中には実りを増やす種も混じっているとみている。本当だったら大した話だ。貧しい諸国にも援助が出来る。

 驚いたことに古い賢老の中にも意見を同じくする者達がいると言う事実だ。ルナの洞察力にはまいるしかない。
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