第2話 木霊

文字数 1,377文字

眷属がスライムだけでは心もとないので、他にも眷属になって貰えそうな魔物を探してみよう。

歩き出すと、スライムと白蛇がついてくる。

しばらくすると、木の根元に見知らぬ生物が見えた。

色は茶色っぽいのか緑っぽいのか良く分からない。
なんだか後ろが透けて見えるようで存在感が薄い。

三頭身ぐらいの身長。
目と口はあるが、鼻はよく分からず。
目と口も薄らとして認識し難い。
髪の毛はない。
首を(かし)げてこちらを見ている。

とりあえず「テイム」してみた。
木霊(こだま)をテイムしました。>
頭の中にメッセージが流れる。
木霊(こだま)は嬉しそうだ。

(ヒロトだ。宜しくね。)
雌で名前が無かったので、名前を『レイ』とした。

(レイは何が出来るの?)
(植物・・・一体化・・・。)
レベルが低いとあまり有効なスキルは無いようだなぁ。

(始めに見たとき、後ろが透けて見えたんだけど、今はしっかり見えているね)
(・・・よく分からない。)

ん~、認識阻害のスキルかな?
話は苦手みたいだ。

まあ、スキルの確認は後でするとして、他にも仲間を探さないと・・・・・。

その後また森を歩き始めたが、レイは歩くのが遅く、すぐ離れてしまうので、近くにあった(つた)の様な植物と一体化し左手に巻き付いてもらった。

スラオは左肩に飛びつき、くっついた。
白蛇は右足の横を歩いて?
・・・にょろにょろとついてきている。

そのまま歩き始めた。

前方の草むらでガサガサっと音がした。
音が出ないように、ゆっくりコッソリ音がした方に歩く。
木の影から見つからないように顔を半分だけだして様子を(うかが)う。

大きな猪。
どう考えても、日本の動物園の猪より大きい。
体長は3mはありそうだ。
黒褐色の剛毛。黒い(たてがみ)
赤い目。
(あご)の牙が鋭い。
フゴフゴと(うな)りながら地面を掘っている。
怖い。

思わず掴んでいた木の枝に力が入る。
ポキッっと音がして、木の枝が折れた。
腐ってたのか?

猪がこちらを見た。(にら)む。

「ぎゃあああああ!逃げろおおお。」
慌てて駆け出す。
猪が追ってくる。
凄い足音と鼻息が聞こえる。

さっきまでちょっと距離があったのに、猪って速い!
直ぐ近くまで来た感じだ。
後ろは怖くて振り向けない。

木の根っこに(つまづ)(ころ)ぶ、(ころ)がる。
絶体絶命!

その時、猪も何かに(つまづ)く。
俺と反対の方に転がった。
ドスンドスン!バキバキ!ゴロンゴロン!
迫力ある音がする。

急いで起き上がると、猪と反対の方向に走り出す。
レイ(上手く、いった。)
え!
立ち上がった時、左手にレイが戻って来たのが分かった。
暫く走り息が切れる。
足が重い。
転んだ時の擦り傷が痛い。
転んだ時に着いた汚れを叩いて落とす。

「はあ、はあ。」
両手を膝について荒い息。
もう大丈夫だろう。
ゆっくり深呼吸して息を整える。

(レイ、君が猪を転ばせたの?)
レイ(そう。(つた)、なった、転んだ。)
(おお!有難う。助かったよ。)
レイは心做(こころな)しか嬉しそうだった。

スラオは左肩で震えている。
白蛇は足元にいた。
不思議そうに首を(かし)げて見てる。

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登場人物紹介

佐藤 大翔(サトウ ヒロト)年齢35歳。

異世界転移後は見た目14歳ぐらい。

淡々と物事を進めるタイプ。

女性に言いたい事を言えない。

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