第29話 呉ツアー(その2)歩くこと10時間以上!

文字数 633文字

  バスを乗り継いで、歩け歩け歩け、ひたすら歩け、である。
 途中にあったモニュメントも、もはや疲労のあまり写真に撮るのも上の空だった。
「ここは、アニメ映画『この世界の片隅に』の舞台になった階段です」
 シンさんは、小高い丘に刻まれている階段を指さす。

 かと思うと、Mさんが、
「あの倉庫は、武器が入ってます。写真に撮ったらヤバいことになるから、辞めましょう」
 と指さし、ツアーの人は、

「ネットにあげると、敵から攻撃されるんだねっ」
 と不穏なことを口走る。

「このミッションが終ったら、フロに入れますから……。がんばって!」
 シンさんは、力づける。

旅も後半になってくると、心臓破りの階段を駆け上がって、音戸ノ瀬戸の渡し守に通じる道(観光出店あり)を行く。
 檸檬(れもん)サイダーが、観光出店で売られていたので、遠慮なく買った。汗がびっちりである。秋風がここちよい。

 この丘の上から見える赤い橋と、その下に広がるおだやかな海が綺麗だった。
 舟が海を渡って、サギが飛びさっているのを眺めながら、すでに14時になっていることに気づいた。

 昼食は、税別1500円の日招き定食を食べたが、ツアーの人たちは、それぞれ好きな定食を頼んでいた。ちなみに日招き定食は、刺身や汁物が入っている海鮮定食で、非常においしかった。魚だから太らないのだ!

 食事後、さっさとバス停へと歩き続ける。
 トイレが行きたくなってきた。店で借りればよかったと、いまごろホゾを噛んでしまう。
 旅の途中でトイレがあるのだろうか。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み