第5話 妖怪ミッション・もののけツーリング

文字数 628文字

 中区には、妖怪に関するミッションがある。
 2015年ミッション・ナビは英語(その後日本語になったが、いまはない)だった。ナビは女声で言う。

「ターゲット・サウスイースト・500メートル」
 ナビに導かれて、バイクで走る。
「サウスイーストってどこだ! 北か?!」

「北西ですっ!」
「ウソだろ、ESSだったくせに!」
「判ってるならいうなっ」

ゴミゴミした街並の角を曲がろうとする。
「この先100メートルが、チェックポイント!」
 タンデムしていたわたしがいうと、
「そこは進入禁止!」
 夫は、絶望的に叫ぶ。
「いーじゃん、だれも見てないよ」

 わたしが誘惑すると、夫はマジな顔で、
「お天道様が見ている」
 空には雲しかありませんが?

 ツーリングを続ける。ただでさえ英語、方向が判らず、回り道したりUターンしたり。さすが妖怪ミッション、ただでは完遂させてはくれない。

 広島にも妖怪伝説はある。稲生(いのう)物怪(もののけ)録、という。主人公平八郎は、次々おしよせる妖怪の退治を実行。妖怪の大将(魔王)・山本五郎左衛門からもらった木槌を、広島浅野藩の菩提寺である國前寺に預け、以来、寺宝となったといわれている。

 このミッションにふくまれてなかったが、広島にはこの故事にちなんだ神社も存在し、水木しげるや荒俣宏が訪れたという逸話もある。
 このミッションでは、平八郎の菩提寺だというお寺の門を訪れた。寺の入口からのぞき込んでいると住職が、
「なにかご用ですか」
 すたこらサッサのさ~♪
 

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