第7話 マリホ、マリホ、らりるれろ

文字数 617文字

  海をモチーフにしたアウトレットモール、マリーナホップ(通称マリホ)。だが、チェックポイントの「空とぶくじら」が見つからない!

 あるのは、日向の猫のような「マリーナホップ入口」と書かれたアーチ。
「これは、人魚の絵だね」

 長髪の銀色人魚である。この、ひとり上手め。海の藻屑となればいい。
入口から、ぐるっとまわって外へ。

 淡いタッチのイラスト壁画が、三つばかり並んでいる。ドルフィンの絵、群れなす魚、大きな船。しかし、目標とするチェックポイントはここではない(一応、ここもチェックポイントだが)。

 ま、マリホには猫カフェもあるしね。覗いてみてもいいかもと思いつつ、テナントの道へ入っていった。すると声が。
「きゃあ!」
 電気のように振り向き、腰を抜かした。

 ジェットコースターだ。レールの上を激走している。子どもたちが乗っていた。周囲を見れば、遊園地にありがちな、小さな自動車やかぼちゃの馬車の置かれた一廓がある。

 子どもたちが歓声をあげる。ジェットコースターも小さな汽車も、遊具たちも、みな対象は10歳ぐらいのようだった。別の子どもたちは、ラジコンカーを競っている。


「参加してみる?」
 夫が、ニヤリと笑った。わたしは、クマのようにうなってみせる。
「子どもじゃないもん!」

 空欄のまま、空とぶくじらのチェックポイントの確認画面をタップする。
 空とぶくじら、見たかったなぁ。
「楽しかったね。食べに入ると高くつくから、やめておくよ」
がっくし。
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