第24話 みたらい……

文字数 592文字

 ミッションの説明によると、菅原道真公が太宰府に流刑に遭ったとき、この島に立ち寄って手を洗った、という伝承があるという。祟り神になる前の道真公は、歌もよめば食事もし、手も洗う普通の人だったのだね。 
 そんな御手洗(みたらい)は、古い町並みの美しい島だ。道真公を祀った小さな神社もここにあるが、そこの井戸の水で字を書くと、字が上手になるそうな。
 手水がある神社はよく聞くが、井戸があるのは初耳だった。御手洗には、写真館もあるというので、行ってみることにした。

 観光案内看板が入口付近に掲げられている。すぐ隣は駐車場になっていて、その前は紺碧の海。
さっそく御手洗を探索する。町並み保存地区の古い家並みが、まるで竹原を連想させる。竹原とは違って、御手洗の民家では、壁に竹筒で、生け花を飾っている。美しいなだらかな海が、青い鏡をしている。心がなごむ。

写真館の方へ行く。英国系の人が出している写真館で、絵はがきも売られているそうだ。
絵はがきは、欲しいな。
地元の人に聞いてみたら、指さした。
「すぐそこです」

 スコーンを売っている喫茶店のようなところだ。
「土日、月曜はお休み。不定期に休みます」
 と、書いてあった。
 ショックだった。これでは、目的の絵はがきが買えない。

 写真館って、平日の方が儲かるのかしら、それとも店主は外国人、もしかして日曜は教会にでも行っているのかなと思いながら、わたしたちは帰宅した。
 
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