第1話 Ingressってなに?

文字数 623文字

体重が57キロ、身長が149センチ。
 足の付け根の関節が、不完全であるという。ドクターは言った。
「このままの体重だと、歩けなくなるぞ」
やばい。減量しなくちゃ。

 子どもなし、仕事なし、おまけに病気で具合が悪い。朝起きてスーパーに通う、それが精いっぱいだった。まさかこんな小旅行ゲームをすることになろうとは。

 夫が、位置ゲームIngressの話をしたのは、ちょうど2014年初春のころだった。無料でできるスマホゲームで、これで10キロ以上やせた! という人もいるらしい……。

「ゲーム? 室内でするやつ?」
 ファミコンゲームで、スーパーマリオブラザーズとか、ドラクエとかをやったことがある。室内にダイエットマシンを持ち込んで、ゲームするのだろうか?
 夫は、じれったげである。
「とにかくやってみろよ、面白そうじゃないか!」

 まあいいか、減量のためだ。スマホへゲームをインストール。

 ネットに、ゲーム専用地図があると知って、広げてみた。しかし敵チームの陣地がない。
「つまんない」
 陣地を張る敵をやっつけ、自分の陣地にするのがこのゲームの醍醐味であるという。そのために歩くのだと聞いていたわたしは、軽い失望を感じながら、あらためてスマホをながめ、眉をつり上げた。

「――なにこれ、ミッション?」
 広島という土地を深く知るきっかけになったIngress。出会いあり、イベントあり、グルメあり、飲み会ありのゲームに関わる、これが最初のきっかけであった。
 

 
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