第16話 合格招き猫と銀の尻

文字数 629文字

 広島駅前に銀の尻なるものがあるとゲーマーから聞いて、ミッションがてら行って見た。

 広島は少し変わっていて、JR駅前よりも紙屋町、八丁堀という、中区の方が賑わっている。それはそこが、広島城下だったといいう歴史があるためなのだが、駅前もかなり面白そうだ。銀の尻! 警察に捕まらないのだろうか。

 というわけで、わたしは駅前に立って、さっそくミッションを開始。
 ローソンが、郵便局の隣にある。どこにでもコンビニはあるものだが、このあたりには銀の尻というものは見当たらない。

 その前を東の方へ歩いて行くと、進学塾が見えてきた。
 招き猫のモニュメントだ。足元を見て噴き出してしまった。本が何冊もあったのだ。

「合格まねき論」「幸福まねき論」「恋愛まねき論」「金運まねき論」。

 大黒さまや、恵比寿さまなども、この本で学ぶのかな。
 そこを引き返して、駅前へ。

 南の方へ行くと、昭和7年に市議会議員の徳永信男という人がつくったという、駅前橋記念碑が、見えてくる。

 そこから東へと行くと、駅前大橋を渡って隣に猿候(えんこう)川。猿候川には昔、カッパがいたという伝説がある。

駅前まで引き返した。指示にしたがって、地下道そばの噴水を訪れる。
 銀の尻が、そこにあった。

 いや、正確には、銀のお椀型噴水が、二つ並んでいるだけである。しかし、伏せたお椀と言うよりたしかに尻に見える。しかも、悪女の尻だ。滴る液体が、なまめかしい。
 噴水のそばに寄りそう恋人たち。
 銀の尻のそばで、何を思うのやら……。
 
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