第35話 コロナ禍でのミッション:(続き&ヒバゴン・ミッション)

文字数 653文字

 田中佐知男のミッションは、とびしま街道をめぐるコースである。コロナさえなければ、
心おきなく旅が出来たはずだった。
 とびしまの松濤園(しょうとうえん)で、見つからないチェックポイントを探してウロウロすること30分。

「お探しものですか」
 話しかけてきたのは、財団の人。親身になって、目標モニュメントの画面を見る。
 30代前半か。眼鏡なし、ひげなし、衣装はラフなジャンパー姿。この辺のことは任せておけ、という態度。頼もしい。

「えーと、これですか?」
 スマホをチラ見して即答。
「わかりませんねえ」
 がっくり。

 そんなこんなで、田中佐知男のミッションは、悪銭苦闘の末、完遂。
 次に行ったのは、庄原(しょうばら)のミッションであった。

 これは、ヒバゴンと呼ばれる類人猿に似た怪物が、庄原付近に出没したと報道されて50年目を記念して作られたミッションである。

 メダルアートは、このヒバゴンをイメージしたイラストが18連になっているもので、三頭ヒバゴンがいる。三頭ともそれぞれ表情が豊か。リュックを背負っていたり、前の怪物に抱きついていたりと愛嬌もたっぷりだ。

 ミッションそれ自体も、歯ごたえがあってなかなか良かった。お地蔵さんの前に、ベンチが並んでいたり、ライオンの像のある公園、かと思うと、二つの乳房が垂れ下がったヒバゴンの像もあった。(ヒバゴンってメスだったのか?)
 一番なやまされたのは霧で、一寸先も見えない中を、バイクで走る夫はきっと、つらいものがあったはずである。

 庄原は、備北丘陵公園しか知らなかったから、いろいろなものが見れたのだった。

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