第11話
文字数 1,444文字
「みすずを、待って、ようか。」
教室についたとき、ゆりちゃんはそんなことを提案した。
「なんで……」
私は行きたくなくて渋った。
「だって知りたいじゃない。なんであんなに怒ったのか。」
「みすずちゃんはは言いたくないかもしれない。」
「聞いてみなければわからないかもしれない」
私は確かにそうだという気持ちと、行きたくない気持ちであいまいに頷いた。
「待ってみようか。」
私たちはみすずちゃんのクラスに行った。四組は二階にあり階段を上らないといけない。
目の前にはたくさんの机が同じように並んでいる。
「どれがみすずちゃんの机かわかんないね。」
「そう、じゃあ座る?」
「そうさせてもらう。」
私とゆりちゃんは短い会話を交わすと、教卓のある少し高くなっている場所で隣同士に腰掛ける。私もその並びに座った。ゆりちゃんはひっそりと喋りだす。階段には秋の夕暮れの強い日差しが差し込んで眩しい。
「私、みすずちゃんのことこれっぽちも知らないなあ」
「私もだよ。来ないね、みすず。」
私には理解できない話。ゆりちゃんは階段の下のほうをぼんやり見ている。夕日はだんだんと落ちてくる。みすずちゃんはまだ来ない。ゆりちゃんの横顔が夕日に照らされている。何を考えているんだろう?本人にしかわからない。
「ゆりちゃん、何を考えてるの?」
ゆりちゃんは一瞬だけ視線を私に向けて面白くもなさそうに言った。
「なんで私は嫌われ者なんだろうと考えてた。」
「私はゆりちゃん、好きだよ。」
ゆりちゃんは頭を掻いた。
「でも嫌われてる、んでしょう。いきなり殴りかかったり、煽ったり。心当たりはたくさんあるよ。」
そういいながらもゆりちゃんは釈然としないような様子だ。頬杖をついて遠くを見ている。遠くより少し沈んだ足音が聞こえてくる。みすずちゃんが来たのだ。
泣いて泣いて目が赤くなっている。守るように胸に筆箱とファイルを抱えてゆっくり歩いてくる。みすずちゃんが私たちに気が付いた。
「私のことバカだって思ってるんでしょ?」
「そういうんじゃないよ。ただ、よかったら座らない?」
私が言う。みすずちゃんは瞬きした後、ぎゅっと目に力を入れて私の隣に座った。四人が並列に座っている。座るとみすずちゃんが話始める。
「私、最低なの。今まで何も言わなかったくせに今になって思っていたことを全部、言ったの。でも今もちっとも謝る気なんてないんだ。私が委員長引き継いでやったっていいって思ってるのよ。おかしいよね。悪いと思ってるのに。」
わかるよ、みすずちゃん。
「私、人の少ない村から来ててね。初めての大きな校内行事で、楽しみだったのよ。お兄ちゃんにも自慢してさ。とっても素敵なものにしたかった。そう思ってたのは私だけだったのかなぁ。」
みすずちゃんほどの熱量はなかなか持てないと思う。私もなんとなくでやってるに過ぎないし。
「いえ、きっと私が皆を置いて行っていたのね。自分がやりたい事ばっかりで。拍手がなかった時、裏切られたと思った。だってみんな横暴だっていつも言っていたんだもん。でも実際に裏切ってたのは私だったんだね。委員長には酷いこと言っちゃったなあ。だって……」
その先は聞こえなかった。
「まだ、わかんないよ。」
私はそういう。
「さ、帰ろうか。もう日が落ちるよ。」
「うん。」
ゆりちゃんは静かに頷いた。
教室についたとき、ゆりちゃんはそんなことを提案した。
「なんで……」
私は行きたくなくて渋った。
「だって知りたいじゃない。なんであんなに怒ったのか。」
「みすずちゃんはは言いたくないかもしれない。」
「聞いてみなければわからないかもしれない」
私は確かにそうだという気持ちと、行きたくない気持ちであいまいに頷いた。
「待ってみようか。」
私たちはみすずちゃんのクラスに行った。四組は二階にあり階段を上らないといけない。
目の前にはたくさんの机が同じように並んでいる。
「どれがみすずちゃんの机かわかんないね。」
「そう、じゃあ座る?」
「そうさせてもらう。」
私とゆりちゃんは短い会話を交わすと、教卓のある少し高くなっている場所で隣同士に腰掛ける。私もその並びに座った。ゆりちゃんはひっそりと喋りだす。階段には秋の夕暮れの強い日差しが差し込んで眩しい。
「私、みすずちゃんのことこれっぽちも知らないなあ」
「私もだよ。来ないね、みすず。」
私には理解できない話。ゆりちゃんは階段の下のほうをぼんやり見ている。夕日はだんだんと落ちてくる。みすずちゃんはまだ来ない。ゆりちゃんの横顔が夕日に照らされている。何を考えているんだろう?本人にしかわからない。
「ゆりちゃん、何を考えてるの?」
ゆりちゃんは一瞬だけ視線を私に向けて面白くもなさそうに言った。
「なんで私は嫌われ者なんだろうと考えてた。」
「私はゆりちゃん、好きだよ。」
ゆりちゃんは頭を掻いた。
「でも嫌われてる、んでしょう。いきなり殴りかかったり、煽ったり。心当たりはたくさんあるよ。」
そういいながらもゆりちゃんは釈然としないような様子だ。頬杖をついて遠くを見ている。遠くより少し沈んだ足音が聞こえてくる。みすずちゃんが来たのだ。
泣いて泣いて目が赤くなっている。守るように胸に筆箱とファイルを抱えてゆっくり歩いてくる。みすずちゃんが私たちに気が付いた。
「私のことバカだって思ってるんでしょ?」
「そういうんじゃないよ。ただ、よかったら座らない?」
私が言う。みすずちゃんは瞬きした後、ぎゅっと目に力を入れて私の隣に座った。四人が並列に座っている。座るとみすずちゃんが話始める。
「私、最低なの。今まで何も言わなかったくせに今になって思っていたことを全部、言ったの。でも今もちっとも謝る気なんてないんだ。私が委員長引き継いでやったっていいって思ってるのよ。おかしいよね。悪いと思ってるのに。」
わかるよ、みすずちゃん。
「私、人の少ない村から来ててね。初めての大きな校内行事で、楽しみだったのよ。お兄ちゃんにも自慢してさ。とっても素敵なものにしたかった。そう思ってたのは私だけだったのかなぁ。」
みすずちゃんほどの熱量はなかなか持てないと思う。私もなんとなくでやってるに過ぎないし。
「いえ、きっと私が皆を置いて行っていたのね。自分がやりたい事ばっかりで。拍手がなかった時、裏切られたと思った。だってみんな横暴だっていつも言っていたんだもん。でも実際に裏切ってたのは私だったんだね。委員長には酷いこと言っちゃったなあ。だって……」
その先は聞こえなかった。
「まだ、わかんないよ。」
私はそういう。
「さ、帰ろうか。もう日が落ちるよ。」
「うん。」
ゆりちゃんは静かに頷いた。