第16話
文字数 566文字
「藤田。」
「あ、蔵本か?」
「さっきの委員会で決まったよ。マッスル・パーティーの承認が降りたの。だから、これからはひたすらマッスル・パーティーを作っていくだけだよ。藤田はみゆうちゃんたちと教室の割り当て作ってたんだよね。どうだった?」
「まあ、順調。思った以上に剛のこだわりと下松の色への執着がすごくてさ。なんか赤を効果的につかいたいんだとさ。宴の演出だとか……。みゆうちゃんも委員会の話し合いに出なくてよくなってからは文化祭の出し物の音頭をよくとってくれてるよ。今日なんかつるタンと話してたしな、もうお互い気にもしてないみたいでさあ。」
「良かった。」
藤田は空を見上げた。秋も深まってもう空は高い位置に行ってしまった。
「蔵本って初めてあった時よりだいぶスムーズに喋るようになったよな。」
「そうかな?」
「うん。全然違う。もう人としゃべるのに緊張せずに済むんじゃない?」
「そうでもないよ。でも藤田には慣れたから普通に話せるよ。」
「久しぶりにアイス食べたくなってきた。コンビニ行こうぜ。付き合えよ。」
「ゆりちゃんも誘っていい?」
「じゃ、昇降口で待ち合わせ。」
「すぐ行くね。」
あ、と歩き始めた藤田が振り返る。
「ケガするなよ。」
「わかってるよ。」
そして私は走り出した。