第10話 上級州国民について知っていること

文字数 1,087文字

ポカンとした女子3人を見たサンショウは、嬉しくなりテンション高めで説明をはじめた。
上級州国民、特権階級だよ。

俺達がいる場所が泥の中なら、蓮の花の上のカースト最上位。そういう例え、聞いたことねえのかよ。


そんなチンケなわいせつ行為なんて、奴らにとっては野良猫にイタズラしたようなもん。簡単にもみ消せるよ。

野良猫って……
上級州国民のことは知っているよ。


みんな年寄りばっかじゃねえか。

春と秋に授賞式やっているヤツら、大学教授とか会社の社長とか、ジジイとババアばっか。

おまえらって本当にバカ、生粋のヤンキーなのな。地元しか見えてねえのかよ。


上級州国民は3親等までいろんな優遇措置受けられて、州国の利権と資本と先端技術を牛耳っているんだぜ。やりたい放題だよ。

なにそれ。関係ない、私は許さないんだから。
シナモン、上級州国民の3親等以内の若い男を探そう。


しらみつぶしに当たっていけば、見つかるはずだ。

マジかよ、やめとけ。


上級州国民に逆らったら生きていけない、死骸化調整区域に廃棄されるぜ。実習生になるとき作ってもらったスペアごとな。


もしくは思考を矯正されてリモート化されてしまうか。

どっちにしろ”自分”は無くなるね。

なんかオマエ、大袈裟だな。

上級州国民っていったって、同じ人間だろ? 


オマエ、ビビりすぎ、ダセえよ。

なっ、なんだと! 

俺はおまえらとは違うんだ。絶対にこんな下層から抜け出してやる。


俺は上手く立ち回るからな。

損することに首を突っ込むつもりは無い。

でもよ、自分達の都合のいいように、被害者の方の記憶を操作するなんて、おかしくねえか?
そうだよね。

了解をとらずに勝手に記憶をいじるなんて、俺だって怒るよ。

呆れかえったように、コウジとゴマを見るサンショウ。
おい、おまえら、正気かよ! 冷静になれって。

結果的に、自分だけが浮きまくっている状況に気づき、サンショウは焦る。


『デキる男』と思われたいサンショウは、奥の手を出した。

俺はこの件から抜けるけど、いいこと教えてやる。


冬休みにな、有名私立リリー高校の上級州国民の娘、渡辺ローズマリーがここへ交流研修に来るみたいだぜ。


そこで上級州国民にコネクションが作れるかもよ。

まあ、おまえらみたいな問題児は、近寄れない可能性の方が高いけど。

オマエけっこう詳しいな。


高飛車なのは気に入らねえけど、意外と使える男じゃん。見直した。

え、あ、そう? どうも。(照れ)


なんてったって俺の最終目的は上級州国民に成り上がることだし、そのための情報収集は欠かせないからな。

なんか、ダセー目標。
宇宙飛行士になるのと同じくらい無理なんじゃない?
(なんかおもしれーヤツら)
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